だらだらノマド。

趣味、日常をゆるゆる綴るライフログ。

TOKYO2021へ。

出張帰りに「TOKYO2021」へ。
ちょうどフェスティバルトーキョーが始まった頃に学生だった私はPort Bがめちゃめちゃ気になっていた。当時、自分の知る「演劇」に当てはまらなかったから。結局行けなかったんだけど、それからも頭の片隅にはあって、たまーに調べてた。そしたらなんと10年前のフェスティバルトーキョーで初演した「個室都市東京」を「TOKYO2021」で再演しているという情報が。うまいこと出張が入ったので、塩田千春展も捨てがたかったけど、こちらに行くことにした。東京駅からすぐの(迷いまくったので30分かかったけど)戸田建設本社ビルでの展示。建て替えが決まっているので、思う存分に壊し、改造して、空間自体がめちゃくちゃ面白いことになっていた。
un/real engine ―― 慰霊のエンジニアリング
「災害」と「祝祭」を繰り返してきたこの国の歴史の中で、文化や科学は新たな想像力や表現、技術を生み出してきました。本展ではその営みを「慰霊のエンジニアリング(engineering of mourning)」と名付け、その系譜の一部として日本現代美術史を再構成します。情報社会化がはじまった1970年代を起点に、日本現代美術がいかに同時代の文化やテクノロジーを取り入れ、「シミュレーター」として様々な災害記憶をヴァーチャル化し、unrealな領域で作り変え、投企してきたのか、その歩みをたどってゆきます。
きっと人類の歴史そのものが「災害」と「祝祭」の繰り返しなんだろうけど、中でも日本の経済成長を語る上でこの二つは切っても切り離せず、今度は東日本大震災を経て、東京オリンピック大阪万博をねじこみ「夢をもう一度」と目論んでいるわけですが。
site A 災害の国の方は、震災犠牲者の行動をデジタルアーカイブ化した渡邉英徳さんの「忘れない」、地震シミュレーションを物語に落とし込んだ宇川直宏さんのA Series of Interpreted Catharsis episode 2 - earthquakeのような災害そのものと強く結びついた作品から、飴屋法水さんのパフォーマンス、大山顕さんの団地写真まで、盛り沢山。
そして、奥に、Port Bの個室都市東京。膨大に並べられた一般人のDVDジャケットから自由に選び取って、ネットカフェ風の視聴スペースに持ち込む。約5分弱、見知らぬ誰かのインタビュー映像を見る。プライベートなことから、「日本は豊かな国ですか?」「戦争は起こると思いますか?」「風俗で働く女性をどう思いますか?」まで、前後の繋がりもない機械的なインタビューにひたすら答える見知らぬおじさん。たまたま選んだ全く見知らぬおじさんなのに、たった5分弱で、もしかしたらその人の友達ですら知らない、その人の人生観や考え方を知ってしまう。映像で、ほんのつかの間、一方的に、しかも一人で黙々と見るだけなのに、一期一会の出会いだったような気がして、呆然。胸が痛いのは、これが2009年の映像だということで、この人達はまだ東日本大震災も知らず、世界情勢の変節も知らない。視聴後、site Bの隠れ展示へと繋がる避難マップを受け取れる。
site B 祝祭の国は、祝祭とだけあってsite Aより色鮮やかで明るい雰囲気。

クラブ規制法を揶揄したHOT BEADSが面白かった。ターンテーブルをきゅっきゅ回した時だけ、静止した映像の人物が再生、逆再生でぎこちなく動き、踊らせられる。あとは、あえて祝祭の方にある、カタルシスの岸辺かな。データの瓦礫。VRは並んでいたので体験してない。ぐるっと回った後、Port Bの避難マップのゴール地点にたどり着くと、先ほど見たDVDからピックアップされた数名の2019年版インタビューが。質問は全く同じ。知らない人だけど、今も東京で生きて思考している。グッときてしまった。
 
驚くべきは、この展示、めちゃくちゃ内容が濃いのに、なんと入場料無料。建て替え後のビルにアートスペースを設けるとのことで、そのプロモーションも兼ねているんでしょうが、それにしても無料とは信じられないクオリティ…戸田建設すごい…。ハンドアウトを切らしたり、無料なのに事前登録がいったり(会場での記入もOKなのにHPには記載されてない)HPの情報量がほぼなかったり、運営的には微妙だったけど、無料だから仕方ない。Trans- KOBEと共に行けて本当に良かった展示だったし、Port Bはこれから細目にチェックしていこうと思った。