だらだらノマド。

趣味、日常をゆるゆる綴るライフログ。

スリープノーモア@上海に人生を狂わされてしまった気がする話。

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昨年、USJのホテルアルバートで、”イマ―シブシアター”というジャンルに興味を持ってから、いつか行きたいな…と漠然と思っていたスリープノーモア。

www.sleepnomore.cn

フットワークの軽い先輩につられて、思いがけず行ってしまいました…。アルバートを基準の1とすると10くらいのクオリティかなと期待していたら、余裕で100でした。甘く見ててすみません。薄気味悪いのに、美しくて何よりセンシュアル。ヤバイです、麻薬です。新しい扉を開けてしまいました。帰国してからもずっと役柄や音楽や動画、しまいには上海行きの航空券をうっかり探している。下手したら国内旅行より安く、週末にサクッと1泊2日でも行けちゃうので、少しでも興味持たれた方は是非行って欲しい。というか、一緒に行こう!!!(高まりすぎ)
今回の旅行中も、実はトム・サザーランド版「タイタニック」の招聘が上海にきてたんですが、招聘ものをかなりコンスタントに上演しているようで、近々ならマチルダ、シカゴなどの予定も。しかも、最近はドイツ語圏ものも日本から上海に拠点を移しているので、それとハシゴできると、めっちゃ充実度高いと思う。(打って変わって冷静に勧めてみる)

www.smartticket.cn

まずはこれから行かれる方、興味を持ってる方むけのネタバレなし情報から。

<場所>

Mckkinon Hotel(上海北京西路1013号麦金侬酒店)

地下鉄 南京西路駅から徒歩5分ほど。

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高級ブランド街で人通りも多いし、大通り(北京西路)沿いなので危険な感じはない。近くに伊勢丹もある(日本語いっぱい)ので、不安だったら伊勢丹で時間潰すのがよさそう。ただし、ソワレの場合は終演が22時なので、不安な場合は近くのホテルにすると良いかも。ちなみに、すぐ隣に、The Dramaっていうシェイクスピアモチーフの素敵なホテルがある。↓右手がsleep no moreへの入り口。左手の建物がThe DRAMA。

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www.booking.com

<チケット>
購入についてはこちら。

kotobanomado.hatenablog.com

同じパフォーマンスを3回繰り返すため、15分刻みで入場できるチケットを販売している。今回は1番高い3回フルで観られるチケット(750元)を購入。開演前、Manderley Barでジャズを聴いたり、お酒(ノンアルコールもある)を飲んだ後、案内されます。バーで自然と世界観に引き込まれるし、時間差でお客さんがどんどん増えていくので、初見はこのチケットが良い気がする。

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事前にチケットさえ買っていれば片言の英語でのりきれる。日本語がいけるスタッフさんも一人見かけました。

<バラバラで行動、待ち合わせ場所は決める>
パフォーマンス中は他人に構ってる暇は全くないし、各々どっぷり世界に浸かって、それぞれの体験をあとですり合わせるのがまた面白いので、一人で回るべき。ただし、体験後はグッズショップがあったりクロークで荷物を受け取るのに長蛇の列になるので、どこで待ち合わせるか事前に決めた方がいい。

<絶対スニーカー、パンツ>
めっちゃ歩く。というか、もはや走る。3時間ノンストップで階段上り下り、ほぼスポーツ。ヒール履いてきたら地獄を見るだけ。

<腕時計必須>
スマホが使えるのはバーまで。バーから出る時、予め渡されたスマホ用ポシェットがロックされる。居る場所によってはパフォーマンスがリピートされる切れ目が分かりにくいし、体感時間が掴みにくい(3時間あっという間)ので、時計は必須。

<アリペイ、入れたほうがいい>
体験後、スマホポシェットのロックを解除してもらった後(クロークで荷物を受け取る前)、グッズショップがある。ここはスマホ決済のみっぽかったので、アリペイ必須。(ちなみに外のチケットボックスでもグッズが売ってました。が、終演後は閉まってた。)

雰囲気のある写真、作品の謎とリンクした地図や写真などの小道具が挟まっていたりで、テンションがぶちあがるパンフ。(が、キャスト情報は不完全。明らかに載っていない人が出てた)重いけど買って帰ってよかった!

<困ったら黒仮面に>
冒頭、さらっと中国語&英語で説明されるのですが、各フロアに黒いマスクをした、パフォーマンスの進行を見守る係員がいて、途中、トイレ行きたい場合や体調不良の時は伝えたら助けてくれるみたい。ちなみにトイレは一回迷った時にたどり着いたけど、世界観が統一されてて一瞬トイレと分からなかった。

<ハマりそうな人(独断と偏見)>
これは完全にわたしの独断と偏見なんですが、演劇という側面よりむしろインスタレーションっぽいので、サイトスペシフィックアート/パフォーマンス、シュナイダーが好きな人がハマる気がする。

kotobanomado.hatenablog.com

あと、やっぱりテーマパーク好きも。それに、ヒッチコック、フィルムノワール、ホラー映画、荻田先生のショー(!)が好きな人とか。あと、ウィーン版エリザ、アルジェンタンゴのエッセンスも感じた。以前、会社の先輩と喋っていて、自分がストーリーよりもそのメディア(映像なりライブパフォーマンスなり)ならではの特性を感じられるものに惹かれるんだ、と自覚した。たしかに、だからこんなにハマってるんだなぁと納得。なので、逆にいうと、ストーリーをかなり重視するタイプとかストーリーを完全に理解しないとフラストレーションがたまる人には向かない。演劇としては不完全です。

<ネタバレは見ない>
内容理解が第一目的ではないので、モチーフになってる「マクベス」と「レベッカ」は別にして、建物の間取りとかシーン、登場人物に関するネタバレは極力見ず、なんじゃこりゃ!?を楽しんだ方が絶対面白い。一度体感した今、リピートしたい欲も情報を得たい欲もすごいですけど、それ以上に、記憶を全部消してあの衝撃に出逢い直したいという気持ちなので。ベースとなる2作品+「白いマスクをつけて1時間×3回のパフォーマンス中、建物内を自由に歩き回る」「言語、わからなくてOK!」レベルだけで体験してほしい。そんなうっすい情報だけで上海までいけるかい!と言われそうですけど、とにかく、とにかく面白いので、↑に書いた嗜好性の方とかこのブログにある程度共感してくださってる方は、まずは行って欲しい…。初見は1度きりなので…(泣)

ネタバレなしは以上!
なかなか魅力を伝えづらいのですが、一人でも多くの方に体験していただき、1日でも長くロングランして欲しい…!

以下は体験済みの方、行く予定のない方向けですので、注意!

 

 

 

 

 

 <作り込まれた空間>
事前に配られたトランプの数字に応じて、時間差でエレベーターに案内される。ただし、同じ数字でも少人数ずつ下ろされていくので、体験のスタートがどの階になるかは運任せ。わたしが下ろされたのは1番大きなパフォーマンスエリアがある1番下のフロア。ウロウロできたのは4階分かな。単純に上まで上がっていけるようになってなくて、迷路みたいに入り組んでいて恐々歩き進めていく。(方向音痴なので迷いまくった)それぞれの階に膨大な空間が広がり、インテリアや小道具に自由に触れられる。4階は病院ぽくて黒沢清の映画に迷い込んだみたい。竹藪があったり、アンティークなお部屋だったり、ホテルのフロント、ダイニング、墓地だったり、街並みだったり。英語だけじゃなく中国語の文字情報やポスターも入り混じっていて、それがまた趣深い。全体的にキリスト教のモチーフ、十字架やマリア像が散在している。全体的に薄暗く、めちゃくちゃ不穏で、まるで「コクソン」の國村さんの隠し部屋みたい。部屋のラジオから流れるBGM、場所によって異なる匂い、温度、足場の質感、五感を刺激する仕掛けが盛り沢山で、ただ歩いているだけで面白い。

music.apple.com

パフォーマー
パフォーマーは全エリアを自由に動き回って踊ったりお芝居したりしている。まったくキャラ紹介も何もないところからのスタートで、セリフもほとんどないので(基本ノンバーバルですがたまーに喋る)人となりどころか、名前すら、総勢何人いるのかすらわからない。誰かわからない人を凝視し、付いていく。それが面白い。ひたすら推察を繰り返して、人物像を構築していく。今思えば20人くらいいた?欧米系、アジア系、みんな雰囲気あって、一気に世界観に引き込んでくれる。こちらは白のマスクを付けていて向こう側からは見えない設定(アノニマス)なので、気になった役者さんのパフォーマンスを好きなアングルからひたすら眺めることができる。これ、単純なようでいて、体験してみるとめっちゃ新鮮。時には至近距離まで近づいて、タイプライターで打った小さな文字を読むことさえできてしまう。わたしは2回目の途中くらいまで空間への興味が勝ってしまったのと、マクベス夫妻らしき人たちにものすごいギャラリーがついて回っていて、人垣の後ろから眺めるのは辛いなと思ったので、場を探索しながら偶然出くわしたパフォーマンスの断片を見ていた。2回目後半ぐらいから、この人についていけば何か謎が解けるかも?しかもギャラリー少なめ!と思って、探偵っぽい人について行ったけど、そんな甘くはなかった。探偵にはひたすら鳥を見せられましたね…(遠い目)あと、女性の依頼者が来た。彼女が持ってきた中国人女性の写真が探偵のファイルから出てきた写真と一致。で、その後、突然キスし始めた…なんでやねん…(全体的にいちゃいちゃしがち)他にも謎めいた写真を持っていたり、意味深な言葉(「因果応報」)をタイプして切り取ったり、手首を切ろうとしたり(アノニマスの一人がNO!と止めた)。秘密めいた素振りで、誰かと出逢い謎が増しては別れていく。思わせぶり、最高!不思議なのは、こんな複雑な動線でも役者同士の出会うタイミングが完璧なこと。BGMでキッカケをつかんでるんだろうか。電話の鳴るタイミング、照明の切り替えも完璧だった。スタッフ数えげつなさそう。

<1 on 1>
パフォーマーがお客さん一人をランダムに連れ出すイベントが発生する情報を見聞きしてしまっていたんですが、2回経験しました。最初、エレベーターから出た広いエリアで男女がダンスしているのを横目に見つつ、よし探索しよう!と一階分上がると、ホテルのフロントが。そこでも電話ブースあたりでパフォーマンスをしていてそれを見ようと近づくや否や男性フロント係(The Porter)にいきなり手を取られ、小部屋に連れて行かれた。開始5分のいきなりすぎる展開に軽くパニック。しかも後を付いてきたアノニマスは制止され、鍵をかけられた小部屋に2人きり。すると、あれだけどんな時も外さないように、と言われたマスクを外された!見えざる者の呪いを解かれたようで、めっちゃ見つめられる。デスクの上にはミラーが置いてあって、鏡越しに目線が合うようにお互い椅子に座ると、いきなり赤リップを塗り始めた!しかもずっと目が合いながら!怖い!何プレイ!と混乱してると、黒のウィッグも装着。ここから混乱して前後が曖昧ですが、指輪を取り出して嵌められた。そして、立たされてハグされ、嘘でしょ!?と思ったら、いきなり打ちひしがれたように、壁にもたれかかって。ここで、あまりの事態に手探りで仮面を探すわたし。逃げたい…!(必死)すると、口紅ついた状態で、手の甲にかなりぶちゅっとキス。(手の甲キスバージンと指輪バージンを女装に奪われた)うぶなわたし(自分でいう)、完全硬直。そしたら、メイクオフし、再びマスクをつけられ、部屋から出されるという流れでした。あまりにも硬直してたからか、大丈夫?的な声かけされたかも。これ、言葉の通じない異国人同士だからまだあれですけど、例えば日本人キャストにやられるとものすごい生々しそう。しかし、吊橋効果もあって、久々に男子にハグされて(素直)、あれ…わたし、この女装オヤジのこと好きなのかもしれない…とすら思った。
2回目は、パフォーマンスの後半戦で追っかけていた探偵(Malcom)に呼ばれ、小部屋に入った。ここも記憶があいまいなのですが、やはりマスクを外され、鳥の写真をいっぱい見せられ、引き出しの中に入ってる卵を握らされて、黄身出てきたらどうしよう…!?とパニックになっていると、中から砂が。その後、なんか虫眼鏡越しだったかで顔を覗き込まれ、しばらく英語で何か言われたのですが、わからん。(マクベスからの引用かも)そして、途中で途中でせき込み、少し移動して、けほっと吐いたのが、砂?泥?ここちょっと混乱していてわからかったです(常に混乱している)

<わからないことが楽しい>
びっくりするくらい話がわからないし、自分が追ってた人物が誰なのかもはっきりわからないから、逆に普段見ている演劇を演劇たらしめている条件が浮き彫りになる。名前、関係性、対話、口調、服装、仕草。これらが組み合わせることで、人物や物語を把握、理解できるようになる。そもそも、最初にエレベーターから下ろされた時には既に1回目のパフォーマンスが始まっていてド頭を知らないので(仮に見れたとしても同じタイミングを同じ場所で観れる確証はないので)どこが切れ目か分からなくなってくる。しかも3回繰り返すと、どれが何回目の体験だったかとか、前後関係もあやふやになり、時系列が歪んでくる。(さらにわたしは記憶力が悪い)夢の中にいるような曖昧な感覚。そして、人それぞれに違った空間で違った人やものを見ていて共有体験が限りなく少ないので、友達と話し合ってもカオスすぎて面白い。例えば今回一緒に行った3人で体験をすり合わせるのも至難の技で、まず登場人物や部屋の特徴を言い合って、見てきた世界の糸口を探り合う。いちゃいちゃしてた方のキングサイズベッドと殺された方のキングサイズベッドとか、とにかく名付ける。ちなみに、私たちの場合は、「山村紅葉似」と「探検家」と「依頼人」が同一人物と判明するのに1日かかりました。とある一面やビジュアルからキャラクターを推察すること、それがいかに脆いことか。The Porterに小部屋に連れ込まれたわたしは彼には女装癖があり、精神不安を抱えていると知る。でも口紅を拭って小部屋から一歩外に出れば、一瞬にして冷静沈着なホテルマンに戻る。一筋縄ではいかないのが、また面白い。そう、複数人で喋っていると、シーンだけでなくて、部屋や登場人物すらまるごと知らない!という話にすらなる。私たちの場合は、一人は主人公夫婦に付いていってるので、マクベスのメインストーリーに沿って観れている。もう一人は赤いドレスの女について行き、謎めいた行動を見、わたしが探偵局の依頼人として一瞬見た山村紅葉のバックグラウンドをよく知っている。わたしは適当にウロチョロして断片シーンを観て1 on 1に遭遇している。まったく違う体験をしているのに、補完しあっても全体像は全然わからない、でも、というより、だから、面白い。

<好きなものが詰め込まれてる>
ここ数年特に、ブラックボックス/ホワイトキューブ外のサイトスペシフィックな(場の力を借りた)もの全体に興味があって、その一環としてのイマーシブシアターに興味があるのですが、同じイマーシブシアターと言えど、いろいろな種類があるんだなぁ、と勉強になった。観に行くキッカケは、ホテルアルバートのオリジナル(上位互換)としてスリープノーモアの名前が上がっていたからだった。確かに、スリープノーモアの方が比べ物にならないくらいクオリティが高いし、ホテルアルバートがスリープノーモアのテイストを踏襲しているのも実感した。ただ、ちょっと語弊がある。ホテルアルバートやAlice's Adventures Undergroundが、お客さんに向けてアイコンタクトやコミュニケーションを取りながら、物語への参加を促す一方で(今度韓国に来るギャツビー もこのタイプ)、スリープノーモアはさっきも書いた通り、お客さんは白いマスクを被り匿名のアノニマス(見えざるもの)として物語に組み込まれることなく、自由に存在させられる。方向性が全然違う。つまりスリープノーモアの場合は、固定の第四の壁はなく役者と客がお互いに動いて距離感を常に変動させながらも、見る見られるの関係性は通常の演劇と変わらない。むしろこんなに近いのに向こうからは見えてない設定なので、親密さと疎外感が不思議に入り混じる。なので、一括りにイマーシブシアターだから、とか、イマーシブシアターの元祖的存在で面白い、というより、イマーシブシアターの中にもいろいろなタイプがあって、わたし自身がうぇーいと積極的に参加したいタイプではなく(客席いじりとか観客参加型がめっちゃ苦手)、あくまで彼らの世界を羨望するだけで、彼らの眼差しは彼らの中で完結するし、彼らの世界には自分たちは根差さない、という方向性が自分のこじらせた嗜好性にドンピシャだった。しかし、アノニマスとして気楽に存在していると、何の前触れもなく1 on 1に突入する場合がある。これ、ただ単に特別なパフォーマンスを1対1で観られるというだけじゃない。パフォーマーにマスクを剥ぎ取られ、強い眼差しで真っ直ぐに見つめられ、触れられる。この仕掛け、すごすぎませんか…?1 on 1を部屋の外から眺めるのは昔卒論で書いた、カストルフの見る、見られるの関係(わざとセットで死角を作る。時にはその死角部分を生の映像で見せるとか)を歪ませる死角のパフォーマンスを思い出すし、パフォーマーと対峙する人にとっては、あれだけ見つめ続けていた人の眼差しに跳ね返され、見る、見られるの関係が鮮やかに反転してしまう。シュナイダーのインスタレーションで感じたスリルにもよく似た、主体とは誰なのか(幽霊はどちらか)の混乱が生まれる。そして、このベースを彩るのが、ヒッチコック黒沢清、オギーのショー的な世界観、前にブログに書いた雄弁な不在、美しい男性同士のお耽美な絡み(これ大事!)(マスクの下でこっそり歓喜)たち。好きなものが、全てそこにある。さらには、1930年代の世界に住う人たちは皆、マクベスによって眠りを殺され(それこそsleep no more)謎の解けない世界の中で時の環に囚われた亡者に見える。それってつまりウィーン版エリザベート(宝塚版はそもそもループものとして描かれていない。東宝版はむやみに劇中劇の体裁を取る)や『ドルチェヴィータ』的なわけで。(マクベスは3回目のパフォーマンスのみ首を吊る。ルキーニのように)死と耽美が、充満している。あまりに好きなものが詰めこまれすぎていて、もはや怖い。自分がこれまで興味を持ってきたものが全て繋がりそこにある。ついに辿り着いてしまった感があって、人生が狂わされる、と直感した。

<とにかくすごいけど、日本にはこないかも>
まずこの作品のアイディア自体がすごいけど、これを実際に運営まで繋げる労力やお金を考えるとクラクラしてくる。照明、音響、小道具の仕掛け、膨大な費用と人件費がかかってるはず。上海版は中国の文化もミックスされていて、それもまた味になっているし、何より外の世界と地続きに感じられるのがいい。日本にあってもそれなりに流行るとは思うけど、世界観のリライトが難しそうだし、ペイラインの予想が全くつかない(少なくとも長期的な上演計画が必要なのはわかるけど)。あと、刺激的な内容、露出、役者との接触の多さ的に、アルバートでもあれだけ問題になってたので、日本でどう受容されるか、日本だと特に危ないお客さんも出てきそうだな…と女装にハグされて喜んでたわたしが思いました。

仮に、東京の真ん中にあったとすると、通ってしまうんだろうけど、ここまでの没入感や世界観への引き込みはないと思う。やはりある程度、外の世界との地続き感とそこへたどり着くまでの手続きみたいなものも大事なんだろうな。なので、上海くらいがちょうどいい…(と自分に言い聞かせる)来年の春あたりマチソワしに行きたいです。そんな中、バカ高いROOM802の存在を知ってしまい…色々沼が深くてもう息も絶え絶えです…。