だらだらノマド。

趣味、日常をゆるゆる綴るライフログ。

岡山芸術交流&聴象発景へ

Trans KOBEと併せて面白そうだなぁと思っていたアートイベント。JTBと日本交通で大阪⇆岡山の新幹線格安プランがあるのを知り、旅費のハードルが随分と下がったので行ってきた。日本交通の方が若干安いのだけれど、希望してた便が取れなかったので、JTBで申し込み。路面電車の往復きっぷ、後楽園、岡山城の入場券も込み込みで大阪⇆岡山が6500円。うれしい…。

www.jtb.co.jp

www.nta.co.jp

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岡山駅。街をあげて岡山芸術交流推し!7会場に加えて、提携作品やイベントが街中であって、滞在時間に応じて自由にカスタマイズして回れる。一度路面電車で「城下」まで行ってしまえば(何故かたま駅長の電車に乗った)、あとは徒歩でのんびり回れるのもいい。至る所に美術館や史跡がいっぱいあって、めちゃくちゃ文化都市だし、おしゃれショップもいっぱいあって、街歩きに最高。

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私が行ったのは6会場。メイン会場になるAの旧山下小学校と常設展示のあるDオリエント美術館以外は規模が小さいので、映像を丁寧に観ても関西からなら日帰りで十分回れる範囲。わたしは1箇所とばしたのと急ぎ足で回ったので、半日で回れてしまった。
全体を通して、ポストヒューマン的。なかでも、廃校を使っているAは場の力もあってその色が濃い。あれ、学校の怪談…?

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劣化、変形したモノが教室ごとに散在し、チューブで繋がっていて、全体がひとつの有機体っぽくすら見えて来る。体育館の作品は1カ所から伸びた管から発する振動音と数カ所に点在する道具?楽器?の音が共鳴しあい、校庭では、ティノ・セーガルのパフォーマンスがめちゃくちゃナチュラルにその場に溶け込んでいる。ピエール・ユイグによると、「超個体(スーパーオーガニズム)」がこの芸術交流のテーマらしく、タイトルの「もし蛇が」の「蛇」のように、どちらが頭で尻尾なのか向きも掴めないけど、作品同士が思わぬ形で曲線的に繋がり合い、影響しあっている。ちなみに、蛇そのものの展示も2つあり、Aにいる蛇は音に反応するらしいけど結局動かず、G林原美術館の蛇は画面上から1時間ほど消えているタイミング。残念ながら、蛇には縁がありませんでした…。Gにもティノ・セーガルのパフォーマンスがあるはずで、楽しみにしてたけど、当たらなかった…。アート好きな美容院のお姉さんの話を聞くと、めちゃくちゃ面白そうだった。

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いくつかの会場にある誘蛾灯や香りの作品は、各所に繋がりを持たせ、同時に各所それぞれで別作品との新たな関係性を結ぶ。誘蛾灯はその名の通り、光で虫を誘い出し、感電死させる。B旧福岡醤油建物の誘蛾灯に、運よくハエが吸い込まれた。バチっと大きな音が鳴って、建物全体の照明が一瞬だけ消える。普段気にも留めない虫一匹の命が終わる瞬間、私たちの暮らしが少しだけ変わる。それは去年よく考えていた、坂元裕二さん的な、あるいは柴崎友香さん的な、そことここの、表面上介入し合っていないように見えたつながりに想いを馳せること。目には見えない蛇的なものにハッとした。C天神山文化センターでは、人肌と同じくらい生暖かい柱に対して、床面には動物たちの骨粉が散らばっていて歩くたびにさらに砕ける音が響く。有機と無機が入れ替わったかのような居心地の悪い空間。ここの黒い水の中で蠢く何ものかは小学校にあった人間の皮膚が溶解したようなサーモンピンクのプールと対になってるのかもしれない。

マリンライナーに乗って、丸亀の聴象発景へ。

www.bansyouen.com

その前に、せっかくなので駅チカのうどん屋へ。ちくわ天を頼むと、1本は本物、もう1本は冷凍の2本セットだった。

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他のうどん店は冷凍ものを使ってるから本物の味を知ってほしい!というコンセプトらしいけど、普通に2本とも美味しいやつでよくない…?正直、ちくわ天はいつもきすけで美味しいのをたべているし、だしも好みの味ではなかったかな。

いざ、聴象発景@中津万象園へ。本当は讃岐塩屋駅が最寄りなのですが、電車の本数が少なかったので、タクシーで。あまり情報を仕入れないままノリで行ってしまったのですが、そもそも中津万象園とは…?

1688年、丸亀二代目藩主・京極高豊候により築庭された回遊式の大名庭園。庭の中心には京極家先祖の地である近江の琵琶湖を形どった八景池を置き、「近江八景」になぞらえた8つの島が浮かぶ。「万象園」の名は森羅万象、即ち宇宙に存在するすべてのものを意味し、それらを合わせ持つ名園と名高い。また、平家建数奇屋風に建築した「丸亀美術館」、湖畔には、庭の景観を楽しみながら食事のできるレストラン「懐風亭」も併設する。

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聴象発景は、鈴木昭男さんとevalaさんふたりのサウンドインスタレーションコラボ。視覚でのみ楽しみがちな庭園であえて音に着目という共通項に持ちながら、方向性が違う。鈴木さんは庭園内の数カ所に「点 音(おとだて)」というポイントを指定して、そこで鑑賞者が周囲に耳を澄ませてみるというインスタレーション。視覚優位の生活の中で、聴覚を鋭敏にさせる仕掛けが新鮮。無防備に色んな音を聞いてはいるけど、言葉や音楽以外で聞く→聴くにスイッチすることって確かにあまりない。耳に比重を置くと、たとえば穏やかに見える水面も鯉が跳ねたり、鳥の存在や居場所がわかったり、見えて来る景色も受取り方が変わってくるし、逆に、トラックが通ったとか、この庭園の外の視覚が及ばない世界も気づかせてくれる。一方で、evalaさんの作品は庭園や庭園が模している近江八景から自然音をサンプリングして重ね合わせたサウンドアート。複数のスピーカーで立体感のある音のレイヤーを人工的に足しこむことによって景色を宇宙的に広げてしまう。聴覚的なレイヤーを付け加えて目の前の景色を強化する、意味を与える、見え方を変える、異化するというのに最近興味を持っていたので、ドンピシャだった。

とても充実したアートツアーでした!日帰り岡山・香川、全然できてしまったので、次から調子乗って色々行ってみよう。次は香川のうどんツアーに行きたい!!