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『ダンスオブヴァンパイア』@梅田芸術劇場メインホール 感想

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脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ

音楽:ジム・スタインマン

演出:山田和也

キャスト

クロロック伯爵:山口祐一郎

サラ:神田沙也加 / 桜井玲香(Wキャスト)

ルフレート:相葉裕樹 / 東啓介(Wキャスト)

マグダ:大塚千弘

シャガール:コング桑田

レベッカ阿知波悟美

ヘルベルト:植原卓也

クコール:駒田一

アブロンシウス教授:石川禅

ヴァンパイア・ダンサー:森山開次 / 佐藤洋介(Wキャスト)ほか

セット・照明を大幅にリニューアルしたらしい。確かに、トランシルヴァニアの宿屋から伯爵のお城に至るまで、かなり嵩高くなっていた気がするし、盆が廻りながらセリ上がるなんて、宝塚以外で見たのいつぶりだろう。

祐さまは囁きパートが増したようで、ほぼ聴力検査状態だった。禅さんはお遊び控えめで安心。初見の桜井玲香さんは肺活量が圧倒的に無くなったふうかちゃんみたいな歌だった。性的メタファーとしてのお風呂、スポンジとか、役割を理解した上であざとく作って欲しいのだけど、あまりに普通の女の子として存在しすぎていて、話自体がぼやけてしまっていた。サラってかなり特殊なヒロインで人を選ぶ役だと思うので、もうちょっとキャスティングにひねりがほしい。相葉アルフレートも緩急に乏しいものの、「サラへ」は力強くてとても良かったし、意外にもヴァンパイアになってからのちょい悪な雰囲気が桜井サラと共にハマっていて、フィナーレがグッと盛り上がった。植原ヘルベルトは期待を上回る存在感。2.5次元出身者は台詞のないような短時間の出番やモブ芝居でもしっかりキャラ作りできる特技を持っていると思っている。今回は初めて植原さんを観た「黒執事」を彷彿とさせるような癖強めの役柄で、キャラ作りのうまさはある程度想像してたけど、びっくりしたのは、スタイルの良さも手伝って、独特のオーラで登場の瞬間から目を引きつけたこと。アドリブで笑いも取りつつ、お耽美でしっかり色気があるのがいい…!フィナーレのマグダとの2トップもサマになっててカッコ良かったー。そのマグダはかつてのサラ、大塚千弘さん。ジェニファーやソニンのパンチ力はない分コケティシュな色気があって、こちらもオーラ充分。「パジャマゲーム」といい今回のマグダといい、かつてのヒロインが年齢を重ねて魅力をさらに増すって本当に素晴らしいことだと思う…。阿知波さんの変わらぬ存在感も堪能…本当に上手い。今から『ビリー・エリオット』が楽しみすぎる。そういえば、ヴァンパイアダンサー達の振付とか出番って変わりました?熱・圧が増したような気がして、見応えあった。推しダンサー花岡さんがサラの影をやっていて嬉しくなった。フィナーレではソロや森山開次さんとの絡みも。

この作品、B級ホラーとかカルト映画好き、テーマパーク好き?とか、むしろミュージカルファン以外の方が刺さるのでは、という気がしているのに、特に大阪はなかなか根付かない。ゴシックホラーの世界観、散りばめられた性的メタファー、ホラーの形をとって理性(人間)対 欲望(ヴァンパイア)の図式を鮮やかにひっくり返して見せる社会風刺(ヴァンパイアが人間世界に蔓延する様を見過ごして、人間・理性の勝利を高らかに歌い上げる教授こそ最も欲望に取り憑かれた、ヴァンパイアだった)、めちゃくちゃ盛り上がるフィナーレなどなど、興味を持ってもらえそうな要素はたくさんあるのに、かたや山口祐一郎特別公演という特殊な要素が大きく占めて作品の持ち味が変わってしまっているので、気軽にオススメできないんですよね…惜しい。海外で見たい作品第一位がこれかもしれない…特別公演ではない「ダンスオブヴァンパイア」…

あ、あと、最近の客席巻き込み型カーテンコール、わざわざ振り付け講座まで必要…?今回特に、普通にフィナーレが盛り上がるのに、そっから振付講座されて踊らされても逆に醒めません…?踊りたい人は踊ればいい、くらいの感じで熱が冷めないうちにカーテンコールまで一気にお願いしたいな…。