だらだらノマド。

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『天使にラブ・ソングを』感想

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音楽 アラン・メンケン

歌詞 グレン・スレイター

脚本 チェリ・シュタインケルナー&ビル・シュタインケルナー

演出 山田和也

出演

デロリス・ヴァン・カルティエ:森 公美子/朝夏まなと(Wキャスト)

エディ:石井一孝

カーティス:大澄賢也/今 拓哉(Wキャスト)

シアター・メアリー・ラザールス:春風ひとみ

シスター・メアリー・パトリック:未来優希

シスター・メアリー・ロバート:屋比久知奈

TJ:泉見洋平

ジョーイ:KENTARO

パブロ:林 翔太(ジャニーズjr.)

オハラ神父:小野武彦

修道院長:鳳 蘭 ほか

ミュージカル最高!と心から思える大好きな作品。しかも、モリクミさんと宝塚OGキャスト(瀬奈さん、蘭寿さん、朝夏さん)のデロリスにはダブルキャストの意義をひしひしと感じ、ツレさま、春風ひとみさん、塩田先生に至るまで、東宝きってのベストキャスティング。今回、期待していた朝夏デロリスは、薄味で歌も辛め。ミサシーンになると、長い手足を生かして一気に映える。屋比久メアリーロバートのまっすぐな芝居と歌に、ハッピーオーラが全身から溢れ出す未来メアリーパトリック、春風メアリーラザールスは動きもキレキレなのが最高。この3人が輝くと、加速度的に面白さが増す。オハラ神父、意外と難しいんですね。やはりここはいい感じに世俗にまみれていた村井國夫氏を推したいところ。カーティスは真っ当に悪役をやってくれる今さんが良かった。顔面から溢れ出るオーラ、物腰の美しさに茶目っ気。ツレ様の修道院長は今回も麗しゅうございました。

初演は瀬奈デロリスで見て、カリスマ性やリーダーシップ性で彼女を中心にシスターたちが絆を深めていくように見えてたのが、前回モリクミさんで観て、イメージがガラッと変わった。自分の夢や理想に向かってキャリアアップを目指すも、思い通りにいかずもどかしく毎日を送るデロリスが、人生の主役の座をつかむ物語に見えた(エディもまた同様に)。思いがけぬ人生の寄り道をして、誰かに必要とされる喜びに触れ(その瞳に映る自分が素敵に見えた)自分の人生を見つめ直し、生きる道を選択する。それでいて、「生きてこなかった人生」でシスターメアリーロバートの想いが溢れ出たように、たどり着けなかった夢も選び取らなかった選択肢も「あったかもしれない人生」として、まるごと抱きとめる。「行った旅行も思い出になるけど、行かなかった旅行も思い出になるじゃないですか。」「カルテット」で輝いていたあの台詞のように。抜群のスター性を誇り自然とみんなのリーダーになる宝塚トップスターとは対照的に、わたしがモリクミデロリスから感じるのはそういうイメージでした。かなり戯画的に作り込みコメディセンスも抜群なのに、孤独に不器用に人生を歩んでいるリアルさを不思議と感じ取れる。そして、パジャマのシーンで、お祈りの言葉がぽつりぽつりとやがて堰を切ったように音楽に乗せて思いが溢れ出すところも、彼女たちを結びつけているのは、ひとえに音楽の力なのだと納得させてくれる。1幕終盤、シスターたちの歌声が磨かれ、やがて心通い、力強くひとつにまとまっていく過程に胸が震えるのは、そこにミュージカルの源泉みたいなものも見ているからかもしれない。デロリスと修道院長が立ち位置を逆転させて、冒頭シーンを反復するラスト。シスターたちみんなで音楽を紡ぐことを「神の御技」と「人と人との繋がり」の表裏一体だと分かち合うこの2人のやり取りは、(良い)ミュージカルが持つ「奇跡」をも的確に言い当ててくれる。こんなに楽しいミュージカル讃歌、人生賛歌ってなかなかないので、これからも何度も通過儀礼的に観ていきたい。

しかしながら、カーテンコールの振付講座。。色気を出してカーテンコール用のペンライトまで売ってたけど、これいる…?(TdVと全く同じ感想)あと、ツアー公演ではオケピを端渡す通路がなくなって客席降りが一切なくなっていたので、それも込みで、さらにペンライトいる…?ってなった。