だらだらノマド。

趣味、日常をゆるゆる綴るライフログ。

9月のたしなみ。

この頃は比較的余裕があってよくお出かけしていた…(遠い目)

 

 

奈良小旅行

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愛知日帰り

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日本橋の家

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観劇は4本(記憶上は)。

『MISHIMA2020』はアンコール配信観たタイミングで書きたい…。

『ダディロングレッグズ』@シアター・ドラマシティ

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『NOW ZOOM ME』@宝塚大劇場

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『フライバイナイト』(配信)

「実際に起こった大規模停電をモチーフに描かれる群像劇ミュージカル」という情報のみで観たのですが、イメージとはえらく違うミュージカルだった。わたしの勝手なイメージでは、大規模停電が思わぬ奇跡を呼び起こすほのぼの心温まる系だったのですが、たしかに奇跡も呼び起こしたけど事故も起きたわ…。
コンパクトなニューミュージカルにありがちなストーリーテラー(役柄としてはナレーター)形式。ナレーター役の原田優一さんはほぼ出ずっぱりで複数役をこなしながら物語を運んでいく八面六臂の活躍ぶり。このナレーター(役者の持ち味含め)に乗っていけるかどうか、が、この作品に寄り添えるかの鍵になっていると思うのですが、わたしはそこまで乗りきれなかったかな。姉妹を演じた青野紗穂さんと万里紗さんのコメディエンヌぶりが光っていました。

映画はいくつか。

『コンジアム』と『スケアキャンペーン』@prime video

『JOKER』『クェダム』同様、POV方式(『スケアキャンペーン』は撮影シーンが入子式になっていて一部しかPOVではないけど)にインターネット動画配信(閲覧数稼ぎに躍起になっている昨今の風潮含め)がドッキングされた仕掛け。
『コンジアム』は廃墟の病院から生配信という設定で、冒頭、その病院の説明VTRがYouTubeの番組として流れる。配信時代ならではの、POVなのにきっちり説明から入る感じは好きだったのですが、この前振りが後々生かされることもなく、特に謎が解明されることのないいつものPOVになってしまったのが残念。

『スケアキャンペーン』はドッキリ番組制作の設定。シチュエーションを作り込んだドッキリ企画なので、おばけ屋敷やイマーシブシアター的に面白いし、ドッキリならではのフィクションとリアルを何度もどんでん返しさせながらない混ぜにしていく「知らなすぎた男」に近いわくわく感が面白かった。ただ、グロいのは好きじゃないので、テイストは好きになれないのですが。。後半はグロに力点が移って、ストーリーにもうひとひねりあるかと思いきやさらっと終わってしまったのも残念。

イヴの総て』@primevideo

サンセット大通り』『なにがジェーンに起ったか』『イヴの総て』はセットで見るべしという情報を得て早うん年。『サンセット大通り』と『イヴの総て』は同年のアカデミー賞で争い、『イヴの総て』が受賞。ヒロインのマーゴを演じるのは「ジェーン〜」のタイトルロールだったベティ・デイヴィスという面白い繋がりというか因縁?も知ったりなどしてますます興味が湧いていた。
あのベティ・デイヴィス主演ということで身構えてたものの、他の二作が狂気の女優没落劇である一方で、こちらは女優と老い(といっても40代)の問題はソフトで、むしろあらゆる手段を用いてのし上がっていく新人女優のしたたかさにスポットを当てている。舞台女優の新旧交代劇で思い出すのは『アクトレス 女たちの舞台』だったけど、こちらはドロドロの様相。イヴの慇懃無礼な態度に隠した強烈なハングリー精神、おそるべしでした‥。巡り巡るラストも良かった。

『ANIMA』 @Netflix

トム・ヨークのアルバムPVという位置づけのショートフィルム。Netflixのおすすめに出てきたからという理由で、レディオヘッドって…?トム・ヨークって…?という状態で観たんですが、後半、「アニマ」との触れ合いで不意に泣いてしまった。

音楽と歌とダンスと映像の力が組み合わさって、殺風景な日常からふわっと飛躍して軽やかに舞ってまたソフトランディングしてくる絶妙に心地のいい白昼夢なんですよね。15分の短さなので、いつでも観れる心のお守りがわりにマイリストに入れておこうと思います。

『聖なる鹿殺し』@prime video

上映時から気になっていた映画。気味悪い映画だと身構えていたけど、想像の100倍でしたね。静かで秩序立った家族が、一人の部外者によって新たな秩序を与えられると、それに則ってこれまで築き上げてきたものが崩壊してしまう。その秩序(というか呪い)は主人公スティーヴの安寧のためには家族の誰かを犠牲(生贄)に差し出さねばならないというシンプルなもので、それを知った妻や子供たちは決定権を持った一家の主におもねり、自らの生き残りをかけて画策する。

なんか古典劇みたいやな、と思っていたら、エウリピデスの「アウリスのイピゲネイア」がベースになっているようです。部外者マーティンはスティーヴが引き起こした医療事故により父親を亡くしていて、その仕返しとばかりにスティーヴに家族を失わせようとするわけですが、彼が宣言した通り、原因不明のまま子供たちが歩けなくなったりしていくんですよね。この辺りの得体のしれなさ(結局明確に解明されない)や、スティーヴが何を選びとればこの状況から脱していわゆる「幸せ」にたどり着けるのか、選択肢を与えられながらも何を信じて良いか混沌を極める感じは「コクソン」にも似ていて、精神状態が良い時にしか観たらあかん映画でした。

『王宮の夜鬼』@prime video

ヒョンビンチャン・ドンゴン共演の王朝ゾンビ映画。平民たちの感染爆発とそれをまともにとりあおうともしない権力者たちという図は「新感染」「ソウルステーション」と同じ。

ちゃらい御曹司をやらせたら天下一品のヒョンビンが王子役。彼が腐敗した政権を一掃し立派な王へと成長していく過程が物語の主軸になっている。その最大の敵となるのが、王を意のままに操り国を我が手に入れようと野心を燃やす大臣にチャン・ドンゴン。2人の火花散らす闘いがもっと見られるのかと思いきや、後半のチャン・ドンゴンははぼ初期消化班で(見たら分かる)、いまいち盛り上がりに欠けましたね…。同じく王朝ゾンビもののNetflixドラマ「キングダム」が気になるところです。

『#生きている』@Netflix

Netflixオリジナル映画。こちらもゾンビもの。韓国って本当にゾンビ流行ってるなー。コロナによる突然のステイホームという今日的なシチュエーションとゾンビホラーを上手く掛け合わせた映画。前半はほぼ、主人公のジュヌがアパートの自室で引きこもりサバイバルという意表をつくような展開。ひょんなことから向かいの棟に住むユビンとベランダ越しに出会うことで世界が開けていく。

ジュヌが今時の若者らしくデジタルデバイスに強い一方で、ユビンはアウトドア派でサバイバル力高め。そんな2人が声を潜め、読唇したり手の動きやiPad上の文字でコミュニケーションを取り合いながら、やがてロープを渡して食料をやり取りし合うのは、「白ゆき姫殺人事件」の美姫と夕子のろうそくを使ったやりとりに似たコミュニケーションの美しさがあった。

後半、サバイバルをかけて2人で部屋を飛び出してからは意外と収まりよく結末へ向かってしまうのだけれど、途中まで、これは名作すぎるのでは…!?と興奮してしまった。

『バニー・レークは行方不明』@NHK

ずっと観たいのになかなか機会のない『フライトプラン』とあらすじが似てるなぁと思い、録画。つまり、ホラーやミステリーでよく見る、自分の言い分が全く聞き入れられず疑心暗鬼に陥っていく主人公っていう図の中でもとびきりゾクゾクする「主人公の身の回りの人が突如消えてしまうが、周囲はその行方不明者の存在自体を否定する」パターン。しかも、ヒッチコックの『バルカン超特急』とか『フライトプラン』のような乗り物内ではなく、イギリスの街全体が壮大な「かくれんぼ」の舞台になってるんですよね。冒頭の保育園でのバニー・レーク探索にはじまり、人形の病院(このシーンめちゃくちゃ味あります)など、この「かくれんぼ」のモチーフが何度も反復して、最後のあっと驚くような展開の伏線になっているというのも最高に面白い。
この映画1番のミソは、失踪前のバニーが1カットも出てこないこと。観客に対してもバニーの存在を担保する客観的な証拠が何一つ提示されないので、感情移入していたはずのヒロイン アンの秘密が詳らかにされて「信頼できない語手」の可能性が高まるにつれて、娘バニーは本当に存在するのか、もしくはアンのイマジナリーフレンドなのか、どの登場人物を信頼すればいいのか疑心暗鬼の渦に落とし込んだ挙句、見事鮮やかに解決してみせる。本当によく出来た面白すぎる映画で白目をむきました…。
ちなみに、刑事役はローレンス・オリヴィエ。かつて見えない影レベッカに翻弄されたマキシムを演じた彼が真実を追求する側にまわっているのがまた面白い。

インセプション』@prime video

最近の映画という認識だったのですが、10年前でした…え‥?

「夢の映画」という事前情報だけで観てビックリしたのは『シャッターアイランド』とあまりに似ていたこと。レオナルド・ディカプリオ主演、夢(妄想)と現実の曖昧さ、妻と子供の幻覚、オチの付け方などなど共通点が多くて、しかもこれが同年公開だったとは驚き。
一時期、トム・クルーズが『マイノリティレポート』や『バニラスカイ』で、明るく爽やかで善良なスター像とズレた不安定な精神状態(ちょうどサイエントロジー絡みのスキャンダルなんかもこの頃だったかもしれない)の役柄をやっていて、そのアンバランスさが好きだったのですが、『シャッターアイランド』を見た時、レオ様、後釜継いでない‥?と思ったんですよね。といっても、彼の持ち味は昔から明るいというより繊細で影があって、トムのようなアンバランスの面白さというよりは、その暗さのまま着実に歳を重ねた感じではあるけど。レオ様の作品を積極的に選んで観ているわけではないけど、わたしが観た作品だけでも『レボリューショナリーロード』で理想の結婚生活との乖離、妻との別れ(しかも『タイタニック』で究極のロマンスを演じたゴールデンコンビ ケイト・ウィンスレットとの夫婦役)を経てから、『インセプション』『シャッターアイランド』、おまけに『華麗なるギャツビー』までやっていて、なんかもうパラレルワールドなのかな、っていうぐらいに、女性の幻影と過去にとらわれ微睡み続けてるんですよね…。
インセプション』の話に戻ると、ノーラン作品ならではの多層的な夢のギミックや映像美はいうまでもなく刺激的で、本来はこちらに目を向けるのが正しいのかもしれないのですが、やはり気になってしまうのは、眠り続ける男コブ(レオ様)。さっき書いたように他作品とのパラレル的な繋がりの中で考えても面白いし、夢の階層やダイブするイメージ(わざわざエレベーターのモチーフも出てくる)を用いながら亡くなった妻に逢いに行くって、これは完全に冥府へ下るオルフェウスTwitterに「死んだ妻の代わりに渡辺謙を連れて帰る話」と書かれてて爆笑した)やん‥!ということにもテンションが上がった。妻モルにはマリオン・コティヤール。コブはモルの死に対して自責の念を抱え続けていて夢の中で生かし続けている。かたや彼を現実世界に繋ぎ留めようとする学生 アリアドネエレン・ペイジ。役名からして、ギリシャ神話のラビリントスから赤い糸でテセウスを救い出したあのアリアドネ。こうなると、もう完全に『螺旋のオルフェ』やん…!イヴと彼を取り巻くアデルとルシルやん!とますますテンションが上がりました。ラストも余韻(これも『シャッターアイランド』と若干被る)があって、好きでした。