だらだらノマド。

趣味、日常をゆるゆる綴るライフログ。

12月のたしなみ。

 

 

映画『シークレットルーム』@Netflix

タイトル的にはホラー・ミステリーっぽいけど、その要素は0。妻との些細な喧嘩をきっかけに、家の様子を覗き見できる倉庫に隠れ住むようになった夫の話。ほぼ全編、夫側のモノローグで進んでいくのですが、これがもう人間(特に男性)のみみっちいあるあるネタの煮凝りみたいな感じで直視がつらい。見終わってしばらくしてから、これは『春にして君を離れ』の男性版だったのでは…?と腑に落ちた。セットで楽しむと、遠い目になるので是非‥!

映画『怒り』@prime video

凄惨な殺人事件の後に、房総、東京、沖縄に突如現れた素性の知れない3人の男とそれを取り巻く人たちの心の揺らぎを描いた映画。ミステリーとして面白い上に、突然やってきた「ヨソモノ」と一から積み重ねてきた人間関係が、指名手配犯のモンタージュ報道によって三者三様に揺らぐ転換には「他者を信じるとは‥?」という重い命題を突き付けられて、クラクラしてしまった。

特に女性から見てかなり辛いシーンもあるので、気軽にお勧めはできないけど、私にとっては、これからもことあるごとに思い出す作品になった。

イマ―シブシアター『Shadows of the Flower』配信

浅草見番で上演されたイマーシブシアターの48時間限定のオンライン配信。ekoというインタラクティブ動画プラットフォームを使い、映像内でストーリーの選択肢が提示され、視聴者が自由に選択していくことで、実際のイマーシブシアターに近づける工夫がされていた。1500円とお安めのチケットだったのでそこまで期待してなかったのですが、映像は、本当に建物内を回遊しているようなリアル感と世界観に沿った幻想性のバランスも良く、非常に凝っていた。

ただ、『サクラヒメ』『KEREN』から薄々気づいてたんですが、わたし、自分の和物の軸が歌舞伎なせいか、なんとなく和物のモチーフだけ使ってるけど知識もセンス(の捉え方は人それぞれですが…)もない”なんちゃって和物”が苦手かもしれない。インバウンド向けには良いのかもなぁ…と思いながら、浅草の本当の芸者さんパートとダンサーパートが上手く融合していなかったり、筋立てやダンスに関しても、あぁ…なんかこう和テイストって量産されてるよね…という醒めた目線で見てしまった。

逆に、勘三郎が生前によく言っていた「歌舞伎役者がやれば歌舞伎になる」という言葉通り、世界観が体に染み付いた歌舞伎役者のイマーシブ的なもの/サイトスペシフィックなものには興味があります。コクーン 歌舞伎の『夏祭浪花鑑』の開演前に祭というていでロビーを役者が練り歩いてそのまま雪崩れ込むように本編が始まるとか。昔、フェスティバルトーキョーでやっていた『四谷雑談集』+『四家の怪談』のような今と昔を重ね合わせる企画とリンクさせるのも面白そう(当時は木ノ下歌舞伎とリンクさせていた)。

一方で、幸四郎が役の拵えで渋谷を走り抜けるパルコ歌舞伎のビジュアルとか、歌舞伎でラップとか椎名林檎とか、ああいう歌舞伎と現代が衝突しながら混じり合うのにも快感を得る。歌舞伎をスタート地点にすると夢がどんどん膨らんでしまう。誰か、作ってくれー!

映画『記憶にございません』@WOWOW

kiokunashi-movie.jp

三谷幸喜の王道コメディ。悪徳政治家から一転、記憶喪失によって善良に生まれ変わってしまう日本国首相に中井貴一。中井さんで印象深いのが古沢良太さん脚本の舞台『趣味の部屋』で、中井さんの超絶演技力によってジキルとハイドのように入れ替わる二面性にゾクゾクしたけど(思い出せば『カーディガン』も)、今回はその二面性が善良に転ぶ方で、やはり中井さんの巧さが前面に出ていた。

多少風刺も効いているものの、もう少しピリリとしてほしかった。

映画『怪物團』@prime video

『フリークス』のタイトルで覚えていて、いつか見てみたいと思っていた映画。『サイドショウ』のモデルになったヒルトン姉妹など、実際に見世物小屋で活躍していた人たちが多数出演している。トッド・ブラウニング監督のキャリアがほぼ絶たれたといういわくつきの映画というだけあって、『エレファントマン』のようなナイーブさは微塵もなくグロテスク寓話全開。丸尾末広的な?オチには我が目を疑いましたね…。

映画『シャレード』@prime video

タイトル曲はもちろん知っているけど、映画は初見。大金をめぐる謎の連続殺人と嘘で塗り固められた男とのロマンス…。どんでん返しの連続で面白くならないわけがないのにどういうわけか一向に盛り上がらない、不思議な映画だった。

映画『ロープ』@prime video

こちらもタイトルは知っていたものの初めて観たヒッチコック作品。全く予備知識無しで見たのでびっくりしたんですが、なんと、長回しで1シチュエーション1カット風に撮っている。

主人公の男性たちの関係性がどう見ても『スリルミー』で、これは『スリルミー』好きには推せるなー(わたしは意外とハマらなかった)と思いながら観ていたら、下敷きにしていたのが両作品とも同じ、レオポルド&ローブ事件でした。

映画『アヒルと鴨のコインロッカー』@prime video

日本に蔓延る漠然とした「ガイジン嫌い」が招く悲劇。あるトリックによるどんでん返しがあるんですが、小説上だからこそ成り立つもので、さすがに映像作品では無理がありましたね…。 

映画『上海グランド』@prime video

1930年代の上海見たさに。ギャング×男の友情ものがあまり好きでないのと、あまりの垢抜けなさに(特に音楽がやばい)ぼんやり見てしまった。時折出てくる上海の街並みにはグッときた。

映画『THE GUILTY』@prime video

guilty-movie.jp

舞台は緊急通報指令室の1シチュエーションのみ。電話先の声と音だけでサスペンスが展開するという聴覚重視のデンマーク映画。音だけで電話先の相手の心情や状況を紐解いていく上でのもどかしさ、共感、思い違いが巧みに張り巡らされ、聞き手だったはずの主人公アスガーが心情を吐露する流れも面白かった。オーディオムービー版もあります。

歌舞伎『マハーバーラタ戦記』@DVD

ナウシカ前に見ておこうと思ったもの。「神話」というスケール感や完成度を期待してしまうと肩透かしをくらってしまう。ただ、音楽を中心として醸し出される異国ムードと、菊之助さん、七之助さんの歌舞伎らしからぬ”絆”の描き方は面白かった。

 

HAMACHO HOTEL&銀座スカイラウンジ

東京出張で、前から行ってみたかったホテルに。チェックイン時にチョコレートのプレゼントがありました。パフェを食べ損ねたのが悔しすぎた‥。

帰阪前に前から行ってみたかったぐるぐるレストランへ。アトラクション感があって、めっちゃ面白いですね…!ドーナツ形状になってるので、おのずと他のお客さんともソーシャルディスタンスがとれるし、ゆったりと食べれました(味は普通)。今はリニューアル中で今夏に再オープンするようです。また行きたい。

その他

『彼らは生きていた』を観た時にも重々感じた、カラー化映像の面白さを堪能できるNHKの番組「カラーでよみがえる」シリーズをたまたま見た。当時の一般市民たちの何気ない日常風景がほとんどなんですけど、カラー化されることで、彼らの人生や命が煌々と照らし出されて、嬉しいような寂しいような不思議な思いに駆られた。