だらだらノマド。

趣味、日常をゆるゆる綴るライフログ。

1月のたしなみ(随時更新中)

 

 

宝塚月組今夜、ロマンス劇場で』『FULL SWING!』@宝塚大劇場

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kageki.hankyu.co.jp

月組新トップコンビお披露目公演。感想までもいかないメモ程度(というか恨み節)。

『今夜、ロマンス劇場へ』
映画原作のラブコメ。小柳先生=破綻がないイメージだったけど、まとまりに欠け、おや?と思うことが度々。映画のヒロインがスクリーンから現実世界に飛び出して主人公と恋に落ちるという設定なので、劇中劇を魅力的に描き、なおかつ、劇中と現実世界(更に撮影現場という中間項も)のコントラストがハッキリしてこそ物語が生き生きと面白くなると思うのですが、劇中劇もなんだかよくわからないドタバタ感、撮影現場もぶっ飛んでいて、ただ慌ただしいだけで散漫とした感じ。

おまけに、物語も単純なので、転に至るまでは正直退屈。それでも、ラストシーンは、新トップコンビのこれからの歩みを予感させるような作りになっていて、ほろりとさせられるのだけれど。
主人公の月城さんは地味な衣装で後ろ姿での登場。その後もヒロインに振り回されるのみでキャラクター像になかなかスポットが当たらず、目立たない。
例えば、これが明日海さんだったら無理矢理にでも大劇場での主役感を出していたと思うけど、月城さんは元々スター芝居の人ではなく(必ずしもスター芝居が良いと言ってる訳ではないです)、対する海乃さんもパッと華やぐタイプではなく、2人の実直な芝居が淡白に感じてしまった。月城さんのお芝居の力と学年ならば、もっとひと癖あったりアンチヒーロー的だったり、しっかりと演じがいのある役柄こそ似合うはずなので、これからに期待。

芸達者な光月さんら上級生たち、鳳月さんや暁さん(組替え決まったけど‥)らスターたちの安定感、月城さんの同僚役を演じる風間さんの器用さ、下級生まで破綻のない月組という意味でも、もっと難しい作品が観たい。
あと、この原作は観ていないけど、あらすじを読んだ時から、どうしても頭をチラついていたのは『カイロの紫のバラ』とそれを翻案した『キネマと恋人』。

kotobanomado.hatenablog.com『今夜〜』も決してハッピーエンドではない結末を迎えるけど(この間観た『蜘蛛女』を思い出したりなど‥)、『キネマと恋人』のビターな結末と、そこに辿り着くまでに積み重ねられる、リアルな現実世界とイマジネーションの世界の対比、劇中映画とそこから抜け出すキャラクターの描き方のうまさ(映像の使い方、ギミック含め)を観てしまうと、ストーリーは原作から改変できないにしても、映像の入れ子構造は、もう少し工夫できなかったのかなとは思った。(でも、この映像も『キネマと恋人』の上田大樹さんなんですよねー…)


『FULL SWING!』

三木先生久々のJAZZショー、しかも月組で、ということで期待値が高かっただけに、うーん…。ジャイブ、ミュゼットなども入れて音楽のバリエーションはあるはずなのだけれど、並べてみただけでひねりのない歌い継ぎや長々と続くダンスシーンが多く、ダレる。終盤の三木先生お得意のギャング&ファムファタールシーンで持ち直すかと思いきやそういうわけでもなく。。

『JAZZ MANIA』の劣化版のようなオープニングから始まり、終盤には暁さんが『JAZZ MANIA』の主題歌を歌い始めるので、それなら『JAZZ MANIA』再演の方がずっとよかったのでは?(岡田先生があれだけセルフオマージュを乱発しているので三木先生もぜひ)(JAZZ MANIAからの美麗猫ロケットかと思ったら違った)JAZZショーは、月城さんや今の月組の雰囲気にぴったりなはずなのに、スターの魅力が引き出されず、フルスイングしての空振り感が甚だしかった。今の月組で一番見たい、トップ4が並んでの歌・ダンスの掛け合いが少なかったのも残念。

構成以外にも色々問題はあって、編曲のせいか、歌がうまいはずの人たちがうまく聞こえないし、JAZZのムードも漂わない(優子先生とかベテラン勢が入ってるのに)。衣裳の色味もセットとマッチせず美しく見えない。これならシンプルにタキシードの方が断然いい。この後NHKで観た花組のショーの方がよっぽど衣裳に力を入れてるように見えた(知らんけど)。月組も100周年なので、頑張ってあげて欲しい。

 

『フィスト・オブ・ノーススター』@梅田芸術劇場メインホール

「アタタタ」と「お前はもう死んでいる」だけしか知らなかったので、「お前は…」が中盤で早々に出てきたのにはビックリ。そもそもストーリーを知らないから、男たちが、愛、友情、絆のために拳を闘わせるという、あまりにも王道の少年漫画(事実、少年漫画)的で胸焼けしそうだった。新感線に似てるな、宝塚や歌舞伎でもやれそうだな、とも思った。SNS上で#アタタミュ とやたら盛り上がっていたのは、ミュージカルの中でも抜きん出たベタさが逆に目新しかったからなんだろうか。

デスノートとレリゴーのサビ前を行きつ戻りつつまるで盛り上がらない主題歌を歌う大貫ケンシロウ。あのアタタタは録音かもしれないけど、それでもあんな高音が出るならもうちょっと音域広がりそうだけどな…と歯痒く感じた。

それでも、ひとたび動けば、周りの空気が大きく動くような唯一無二のオーラに思わずたじろぎ、歌なんてどうでもよくなってしまう。殺陣もバリバリにこなし、主役が動けるとこんなに気持ちいいんだ、とハッとさせられる。1幕終わりも舞台上にたった一人で、歌い上げるかと思いきや、前代未聞に踊り上げて、どこまでもカッコいい。

ラオウの福井さんは四季時代からちょこちょこ観てたけど、声も体もラスボスにふさわしい屈強さで、今まで見たどの役よりよかった。バルジャンより断然良い(それは褒め言葉なのか)。馬に乗って出てきた時は、スーパー歌舞伎でも始まったかと思った(事実、そんな空気感が漂っているのか、ラオウ退場シーンでも拍手が起きる)。ユリアの仮死状態のくだりはラオウにとっての意味がよくわからなかったけど、あの存在感ゆえまかり通ってしまう。
トキの加藤さんの悟り具合は、役作りなしでいけそうなほどハマっていた。伊礼さんと上原さんは良いように便利使いされてるな…。驚いたのは、渡邉蒼くん。芝居に歌に抜群の熱量でドラマを熱くしていた。「西郷どん」の子供時代を演じたというすごいキャリアを持ちながら、もはや子役の域ではなく、自在に舞台を泳いでいた。
一番グッときたのは、ケンシロウが、死んでいった仲間たちの拳を自分の中に落とし込んで闘う姿。大貫さんの昔のインタビューで、どんなジャンルのダンスもそれっぽく踊ることはできます、と答えるのを聞いてたし、ダンスってつまりそうやって人から人へと振り写して無形のものを自らの体をもって受け継ぐことだよね、と思って。泣かせにかかろうとするどんなベタなセリフよりもド直球で心を打ったのでした。

マイ・フェア・レディ』@梅田芸術劇場メインホール


ほぼほぼ前回と同じ感想。セットは変わらないものの、ソーシャルディスタンス確保のためかオケがセットの二階部分から新たに作られたオケピへ移動していた。

まぁくんは相変わらずセリフが走っていたものの、歌唱力は大幅にアップ。前半、別所さんのヒギンズが寺脇さんチックになったようでおや?と思ったけど、2幕はちゃんとプライドだけやたら高いインテリダメ息子になっていて、ホッとした。別所さん版だとラブコメとしてもしっかり面白く、きゅんとさせてくれて、この作品ってこんなに面白いんだ、と気づかせてくれて好き。

ちなみに、前回、各チームで異なっていたラストシーンは、今回、ハグ→ヒギンズがイライザに椅子を勧めて自分も座り、イライザの手の甲にキス と、わかりやすさが増していた。わたしは前回のあっさりの方が好きかな。

古典ミュージカルなので、現代の価値観や感覚、テンポ感とズレがあるのはもちろんで、意識高い系のミュージカル界隈では、もはや『マイ・フェア・レディ』が好きなんて言えない空気感だけど、なんやかんやよく出来ていて面白くない?わたしは、この作品好きです。今回、ようやく自覚した。

ピグマリオン』や『ME AND MY GIRL』との比較だったり、言葉と身分によって隔絶された世界やジェンダー(シンデレラストーリー)の描き方、そもそもこれはハッピーエンドなのか…?を調べ、考え、議論するための題材としても面白くて、芸術鑑賞会なんかにもぴったりだと思う。(果たして学校がそこまでのケアをして観てるかは甚だ疑問だけど)そんな頭ごなしに、上演することすら否定されなければならないんだろうか。
想像を絶するような哀しい出来事もありましたけど、私個人としては、これからも末永く受け継がれていくよう願っています。

 

『ベルエポックでもう一度』@prime video

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オーダーメイドの体験型アトラクションがテーマの映画。『ウエストワールド』オマージュ的な劇中劇から始まる冒頭からワクワク。一見、本物そっくりの世界でも壁はハリボテ、建物の天井はなく照明が吊られていて、あくまで虚構であることが明示された夢の世界(でもさすがに体験の導入部分でセット裏を歩かせないでほしいよね‥)。

それでも生き生きと演じるキャラクターたちによって、主人公が望む過去の世界がリアルに息づいていく。鮮明に再現された過去の世界に溺れ、主人公の暴走しかけた恋愛感情をいなす仕掛けもまた、アトラクション化されているのが面白い。現実主義的な妻が、過去の世界に"本役"として過去の世界に現れ、”リプライズ”する圧倒的な輝きにすっかり打ちのめされて涙が止まらなかった。さすがファニー・アルダン…。あと、父親と毎日出会う仕込みのおじさんのエピソードも好き。”過去に出会い、今を見つめ直す”。テーマは単純ながら、とっても沁みる映画でした。

『PASSING』@Netflix

www.netflix.com

黒人として生きる私と、その出自を隠して白人として生きるあなたの話。白、黒に割り切れないグラデーションをモノクロ映像で繊細に描く。羨望、恐怖、嘲り、嫉妬。二人の眼差しが雄弁な映画だった。

『笛を吹く男』@prime video

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韓国特有の熱量高めで押しまくる映画で好きなテイストではなかったものの、閉鎖的なコミュニティとよそ者(旅人)、病と鼠と復讐、楽しげな笛の音と子供たちの行列…「ハーメルンの笛吹き」ってモチーフとしておもしろすぎるな、と再認識した。

 

『罪の声』@Netflix

tsuminokoe.jp

野木亜紀子さん脚本のミステリー。野木さんのオリジナルと思いきや、原作あり。まったく事前情報を入れずに見たので、星野源が、思わぬ形で自分の声に再会してしまうシーンで鳥肌が立ち、その後、星野源小栗旬がお互いの存在を知らないまま、誰もが知るあの事件(をモチーフにしている)の聞き込みを開始して、二重螺旋状に謎が謎を呼んでいくのは、これぞミステリー!なワクワク感とスリルを感じた。
といっても、この映画のミソはむしろ謎が解明された後。事件が世間から忘却され過去に埋もれてしまっても、事件の記憶を抱え続けたり、あるいは事件により人生を狂わされた人たちは確実にいて、彼らにとっての事件はこれっぽっちも終わってない。
彼らの声に耳を傾け、何が事件の火種となり、どうやって事件が起き、事件により何が失われてしまったか、昭和から令和までの三世代の人生のリレーと共に見せていく。この事件版ファミリーヒストリーとでもいうような展開もまた衝撃的で、ミステリーの域に止まらない奥深い映画だった。

唯一の不満は、大阪が舞台になっているのに、みんなスマートすぎるところ。もう少し土地の匂いみたいなものが出ても面白かったんじゃないかな。

 

『哀愁しんでれら』@WOWOW

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これもあらすじを知らないまま観たので、そういう結末になってしまうのかーという新鮮な驚きで観てしまった。"母親""家族愛"の呪いと虚像に取り憑かれた人たちのホラー。家庭内での筋を通すために、都合の悪いねじれは全部外のせいにする。それこそが家族愛で、どんな時も家族を受け入れて、無償の愛を注ぎ続けるのが母親…という。エキセントリックな味付けになっているものの、実はこういう家族っていっぱいいるよね…?自分や自分が所属するコミュニティに不都合なことがあれば何でも陰謀論にしてしまう人たちと同類なんだよなー。
これ、キャスティングが神すぎる。土屋太鳳さんが、白々しいまでのあざと可愛さから『累』をしのぐ本領発揮を見せる、あの振り幅、最高。そして、プライベートでもパパで人たらしっぽい田中圭氏のイメージを逆手に取ってるのもうまい。明るく爽やかなイメージのある二人が"良い"ママパパを演じるの、絶妙すぎた。

 

『ザ・プレイヤー』@prime video

ハリウッド映画界を舞台にしたメタフィクションミステリー。実際の映画作品や役者が次々に引き合いに出されながら、90年代の映画製作の裏側が描かれている。どこまで忠実かはわからないけど、キャスティングとか企画の適当さに身に覚えがあって、笑ってしまった。メグ・ライアンジュリア・ロバーツの時代だったんだなー。
劇中でしきりに言われる売れる映画の要素を、この映画自体も無理矢理に詰め込んでいたり、終盤に、まさかの豪華キャストによる劇中劇がこれまた無理やり挟み込まれたり、と、メタ構造を活かしてハリウッドの映画製作を皮肉りまくっているので、映画好きな人がリアルタイムで観たらかなり楽しかったのでは、と思った。

『キャリー』@WOWOW

誰彼かまわずおどろおどろしく呪いまくる話かと勝手に思い込んでいたら、こんな切ない青春映画だったなんて。初潮を発端に"力"が目覚め、プロムで爆発するの、なんかわかる気がした。やたらと性を忌避する母親もまた彼キャリーの一面で、思春期の性や人間関係のモヤモヤや怒りや不安ってああいう爆発的なエネルギーな気がするから。

『テロ、ライブ』@prime video

干されたTVニュースキャスターが返り咲きを狙い、爆破テロ事件の犯人とのやり取りを独占生放送しちゃうハラハラサスペンス。似たような設定は観たことがあるけど、"メディア・エクスプロージョン・スリラー"のコピー通り、ラジオ、TV、電話などメディアをめくるめく交錯させながらの緊迫感あるシーン展開が見どころで、見入ってしまった。ただ、手法にストーリーが追いついてらず、後半はかなりダレてしまった。

 

タカラッシュ『迷宮鑑定士と幻影の絵画』

huntersvillage.jp

評判が良かったタカラッシュの謎解きをお正月に。苦手な部類の謎解きだった…。もっと物理的なキットで遊べるか、スマホの比重が重いならCase3のようなギミックが多い方が好き。

SCRAP『忘れもの探偵と消えた少女』

www.scrapmagazine.com

こちらも自宅でできる謎解き。「証拠品を元に真相を解明する」ということで、レシートや写真などの物理的な証拠を見ながら、スマホで謎の答えを打ち込んで、動画でストーリーを辿る方式。証拠品を元に‥という方向性は好きだし、世界に没入させるための仕掛けもたくさん、ボリュームもたっぷりなので、お正月にやったタカラッシュのものよりはるかに充実感はあった。でもなー…せっかくこういう仕掛けなら、共感とか親近感とか要らないので、もうちょっと大人な(それこそ映画的な)ミステリーとかホラーがやりたくなってしまう。それはSCRAPの目指す世界観ではないのかもしれないけど、別ラインで出たりしないんだろうか…。

NHK『あたらしいテレビ』

www.nhk.jp

2020年のお正月にたまたま観て面白かった『テレビ放談』の後継的な番組。異なるジャンルの人たちが去年1年面白かったコンテンツや、これからのテレビ、エンタメの行く末を語り合う。日頃から猛烈にコンテンツを摂取しまくっているTVプロデューサーの佐久間さんが推すコンテンツや目の付け所が特に面白くて、楽しみにしていたんですよね。

コロナ禍ということもあって、去年はZOOM討論、今年は、ドラマ・バラエティ・10代と各コンテンツジャンル4・5名に分かれて討論するVTRをMCのかまいたち他が見て、合いの手を入れていくというスタイルだった。

この番組って、ジャンル問わずちゃんぽんして話し合うことで思わぬトピックスに行き着いくことが魅力だったはずなのに、全くの真逆をいってて、面白みに欠ける‥という以上にコンセプトの転覆っぷりにびっくりした。しかも、その討論をまとめるべきMC かまいたちのコンテンツ愛も感じられず、「全然知らん」を連発した挙句、茶化す様にうわべだけのバラエティっぽさだけを付け加えていく。え、これって誰得…?それこそ、若い子たちが見向きもしない旧時代のバラエティなのでは?せっかく期待してたのに心底残念だった。

不完全燃焼のまま、おすすめコンテンツをもっと知りたくて佐久間さんのTwitterをフォローしたら『あたらしいテレビ』と似たような番組を発見。

www.nhk.jp

このタイトルにぐっときちゃって、すぐに自分のTwitterのプロフィールも更新した。テレビも舞台も映画も本も、自分のアンテナの赴くままにコンテンツを愛する。そうありたいよね。