だらだらノマド。

趣味、日常をゆるゆる綴るライフログ。

新潟 大地の芸術祭旅 その2(まつだい~越後湯沢温泉)

大地の芸術祭旅 その2。

その1はこちら。

kotobanomado.hatenablog.com

 

【2日目】

 

朝風呂+朝食

起きてすぐ大浴場「ほんやらの湯」へ。内湯と露天風呂あり。夜は湯上がり処でアイスキャンディや、数量限定で温泉卵、日本酒のサービスもあるみたい。この部屋数で、大浴場+露天風呂、貸切風呂×2(露天風呂が付いているお部屋もある)もあると、分散して混まないので、寛げてよかった。共有スペースが部屋数の割に広々としてて、なおかつ肩ひじ張らずリラックスできる緩い雰囲気なのも好き。

朝ごはんは、昨晩と同じ個室っぽいお食事どころで。ごはんのお友がどれも美味しく、さすが米どころのつやつやごはんを2度もおかわりしてしまった。苦手な納豆が出てきたけど、塩をかけて食べるちょっと変わったタイプだったので、なんとか乗り切った。温泉卵のサラダ、ツーンとくるまいたけの辛し和えが美味しい。そして、やっぱり出てくる味噌!

帰りの送迎便は9:30と10:30の2本。荷物をまとめて、9:30の便で出発!いい宿だったー!

まつだい(松代城~農舞台)

まつだい駅到着。朝市的なものが開かれていた。

そこまで数が多いわけではないけど、コインロッカーがあって無事荷物を預けることができた。昨日はもう暗くなってたので気づいてなかったけど、農舞台は駅の真隣。

農舞台のダイナミックなフォルムと川を挟んだ畑の中に点在するカバコフの「棚田」の迫力にまず圧倒される。

農舞台の足の下や周囲にも作品がいくつか。カメラオブスキュラもあった。

この付近をうろうろしていると、松代城へのシャトルバスが発車しそうになっていたので、便乗することに。シャトルバスと言っても、なんとなく希望者が出た時にお城まで上がってくれるワゴン車。瀬戸芸の交通はガチガチに固められているけど、かたやこちらは坂道を上がっていく途中に困ってそうな人がいたら、運転手のおじちゃんが声かけて拾っていく感じの程良いゆるさがあって、なんかよかった。そう、徒歩でお城まであがろうとしたら坂道を1時間近く歩くことになって死にます。おっちゃんのワゴンに乗った方が絶対いい。ただ、細い山道をぐんぐん上がっていくワゴンにも限界があって、お城へ続く最後の坂道手前で下車。ここから徒歩10分というのは事前情報で知ってたけど、こんなえげつない坂道とは聞いてない。

ぜえぜえ言いながら、なんとかお城到着。

1〜3階まで異なるアーティストが手掛けている。1階はエステル・ストッカー。

2階は豊福亮さんの金の茶室。茶室の中は松代にゆかりあるモチーフが並んでいる。

3階は鞍掛純一さん。2階の金と黒の世界が3階でこう転換する面白さ。

彫刻刀で彫られた床の感触を足裏に感じながら移動していくと、その凸凹模様が光を受けてさざ波のように煌めく。外の景色と相まって厳かな空気感に満ちていた。

それにしても、お城を展示会場にするどころか、まるごと現代アートにするって地元の理解や協力が得られないとできない大胆な試みだよなーと驚いてしまった。

まつだい城と農舞台の間には、さっきの「棚田」みたいに作品が点在しているので、帰りは徒歩で作品を見ながら下っていくことに。まずはあの急な坂道をくだって、案内所のおじさんに相談。さっきバスで来た道を下っていくとおおむねの作品は見られて、取りこぼした作品も「棚田」がある川べりを歩いて少し上がれば大丈夫とのことだったので、その作戦で。
下りながら思ったのは、マップ看板が少ないなということ。瀬戸芸ならキャプション看板だけじゃなくて、分かれ道ごとにマップ掲示があるんだけど、ほぼなく、畑の中にある作品とか、道なき道みたいなところでも、正しいルートが示されてなくてかなり探り探りだったので、ちょっとフラストレーションがたまってしまった。

カバコフの「人生のアーチ」。いや、ペシミスティックすぎひんか…。

昨年できたばかりのカバコフの「手をたずさえる塔」。

夜になると世界情勢に合わせてライトアップされるらしい。中にはさっきの「人生のアーチ」の構想が展示されていたりした。

と、この写真を最後にわたしが長年愛用してきたOMD EM10 mark2の挙動がおかしくなり、ご臨終しました…(ショックすぎる)。

豊島の「心臓音のアーカイブ」へ行く途中に派手に落としてからも頑張って動いてくれてありがとう。ここまで一緒に来れてよかった。というわけで、ここからしばらく諦めきれずカメラを何度もon/offさせながら、やっぱり治らず、テンション激落ちの中で作品めぐり。

目が怖い。

水琴窟になってるらしい。

白井美穂さんの「西洋料理店 山猫軒」。「注文の多い料理店」ってやたら想像力をかき立ててくれるよね(この間の「ダークマスターVR」も派生と考えていい気がする)。ここから別ルートで登っていけば取りこぼした作品が見られたんだけど、カメラ問題がショックすぎてそのまま農舞台へ。

農舞台含め、まつだい全体がカバコフ推しなんですね。カバコフは国立国際美術館のコレクション展で必ずと言っていいほど見る「天使と出会う方法」くらいしかイメージがなかったので、そんなユートピア的思想の作品群から、ミステリアスな寓話のような作品、架空のキャラクターやソ連時代の生活を想像させる大掛かりなインスタレーション(作品自体は展示されてなくて資料の紹介)などなど、かなり好みの作品が多くて見入ってしまった。

「天使と出会う方法」はここにも。

前日「農具の時間」で見た河口さんの「黒板の教室/引き出しアート」は、岡山芸術交流で観た作品や寺山修司記念館を思い出したり。

気になっていた里山食堂は、朝ご飯でお腹いっぱいだったのと、かなり混んでいたのでパス。でも、ここも単なるカフェではなく作品の一部で青みがかった空間が雰囲気あったので、入りたかったな‥。

農舞台には「棚田」専用の展望台があって、ここから見ると、テキストと重ね合わせて見られるようになっていた。

いたって普通そうなお手洗いに行くと、出る時にとある仕掛けがあり、完全にいたずらに引っかかって迷子になったのも楽しい思い出。
続いて隣の郷土資料館へ。

数キロ先から移築してきた有力な農民の住宅を使った資料館。有力さが端々から伝わってくる造りで、特に中2階の造りがかなり面白かった。

バスツアーの時間まで時間をつぶすためにまつだい駅へ。隣には、草間さんの作品。

まつだい駅は、お土産屋もレストランもあり、かなり充実している。

松代城→下りながら作品鑑賞→農舞台+郷土資料館の流れはかなり良くて、お昼ごはんを食べるなら、10時からセレクトバスツアーの14時過ぎまでちょうどいい時間だったと思うんだけど、わたしはお昼を食べなかった分時間を持て余してしまったので、これなら宿のバスを1時間遅い便にして松之山温泉の周りを作品も含めてチラ見するか、まつだい商店街の方にある作品を見に行けばよかった~とちょっと後悔。まつだい駅でぼーっとしちゃった。

セレクトバスツアーCコース

時間近くなったので、駅の案内所でバスツアーの受付を済ませ、バスへ。

大地の芸術祭公式のセレクトバスツアーは、ガイドもなく、淡々と時間通り作品を巡っていくのみ。それにしては3,500円と結構な値段がするんだけど、作品同士を巡れる路線バスはなく、タクシーで回ろうとするとえらいことになるので、車なし族にとってはかなりありがたい企画なんですよね。

この日は最終日手前ということもあってか、小ぶりのバスながら満員御礼だった。

最初の目的地は、奴奈川キャンパス。廃校を利用した会場。

広い会場なのに、与えられた時間はたった20分。わかっちゃいたけど、厳しい。

次が「脱皮する家」。松代城の3階に当たる部分にあった作品と同じく、彫刻刀を使った鞍掛さんの作品。お城とは違って、こちらはかなり荒々しいタッチで、梁や屋根裏までびっしりと彫り込まれている。

そして、次が真打ち、ボルタンスキーの「最後の教室」。大地の芸術祭に来るにあたり、ここはどうしてもはずせなくて、ツアー参加を決めたんですよね。ここも廃校を利用している。

薄暗い体育館に扇風機と椅子が並び、電球が垂れ下がってる。足元には干草が敷き詰められていて、妙にふかふかして生温い空気に満たされてる。扇風機で空気が攪拌されるたびに草の匂いが立ち込める。壁には吹雪のようなマッピングがされてる。…とここで、Twitterに動画をアップして貼り付けようとしたら、「暴力行為」とみなされてTwitterが凍結されました…なぜ…。(その後、一応Twitterは復活しました)というわけで、写真のみで。

進んでいくと、光と黒いガラスがたくさんかけられた廊下。2階には心臓音のアーカイブのような暗闇の中、爆音の鼓動に合わせて電球が明滅する部屋があったり、白一面の部屋があったり。3階には、まるで棺のように並べられたガラスケースの中に蛍光灯が光っている。

瞬くことなく煌々と光ってるのに、電球よりも生命感が感じられず死をイメージするのはなんでだろう。隣にいた人は、災害の時に遺体が安置された体育館みたいね、と言っていた。

エントランスの2階部分には白い小部屋の中にモビールのようなものが吊り下げられていて、その影が壁に映し出されるのを覗き見る「影の劇場」が。これはボルタンスキー展でも見た気がする。

ほとんど事前情報を入れてなかったので校舎全体を使った想像を超えるボリュームに嬉しく思いながらも、滞在20分じゃ全然足りないよ…!と半泣き状態。いやでも行けただけ良かったです。特に、瀬戸芸でささやきの森と心臓音のアーカイブに行ってから間をあけずに体験できたのは宝でしかない。

ツアー最後に向かったのは、キョロロ。自然博物館的なところにアート作品も共存してる。

ボルタンスキーの新作がキョロロ付近にあるとわかってたので、先に回ろうとしたらちょっと離れていて本当に一瞥するだけになってしまった。この奥にも続いていたんだろうか。

急いでキョロロに戻って散策してると、煙突部分が作品になっていて、160段の階段を駆け上がる必要があることに気づく。ここは制限時間が30分で、残り10分ほどしか時間がない中、白目を剥きながら階段を登り、上まで登り切ったらノー空調で、昇天しかけた。

降りながら撮った映える写真。階段の付け根にある作品は水が張られていて、水滴がオブジェに当たることでかすかな音が発生する。階段の壁にはLEDが埋め込まれていて、宇宙線に反応して光るらしい。

バスはまつだい駅へ戻り、ツアー終了。一応、終点は隣にある農舞台なのだけど、わたし含めほとんどの人たちがここで下車した。このツアー、自力ではタクシーでしかいけないところを結んでくれるのでありがたいなと思う反面、やはり制限時間がギチギチすぎて…。電車の乗り継ぎ時間的にこのスタート時間なのかもしれないけど、14:00スタートにして滞在時間を少しずつ延ばしてくれるだけで、全然違うと思うんだけどなー。
ここから、電車で越後湯沢へ。翌日が十日町散策なので、十日町に泊まった方がはるかに効率は良いのだけど、ビジネスホテル(しかもチェーンではない)しかなく、それなら、せっかくなので温泉のあるところへ泊まろうかなと思い、越後湯沢温泉にしてみた。

松泉閣花月

越後湯沢駅から徒歩5分くらいなのだけど、「お電話いただければ迎えに行きますよ!」とのことだったので、お言葉に甘えてみた。駅近くには温泉宿がたくさん立ち並んでいる中、このお宿は昨日泊まったちとせと同じくらいの部屋数30弱のこじんまりとした旅館。

www.shousenkaku-kagetsu.com

それにしては、玄関・フロント周りの作りが気合が入っていて、滝や鯉が泳いでいたりした。

ウェルカムドリンクをいただき、チェックイン。お抹茶、久しぶり。

お部屋は一番お安いタイプだったので、昨日と全く同じく古の旅館スタイルで既にお布団が敷いてあるパターン。

到着時間が遅いことがわかってたので、夕食の時間と、楽天トラベルの特典についていた貸切風呂の時間は事前に電話予約していた。荷解きを終えると、すぐに夕食。昨日と同じく、お食事どころが2か所あってどちらかに振り分けられるということだったけど、完全な個室だったので、安心して食べれてよかった〜。

キノコとお味噌が盛りだくさんではあったけど、ご当地というより若干謎メニューがあって、なんでせっかくのお肉をこの味付けで…?となってしまったりはした。わたしはちとせの方が好みでした。

ここで鮭の味噌漬けはちょっと嬉しい。

貸切風呂は広々とした内風呂と、なんと露天風呂も。ここの温泉は特に匂いもなくぬるすべ感もなくで、優しい温泉らしい。

ラウンジは、この時間はセルフでハーブティが飲めるようになってた(別時間に使える無料コーヒー券もいただいたけど、結局使わずじまい。。)。ちとせと同じく、共有スペースが広いのが素敵。あと、このお宿は、積極的に寄付活動に取り組まれているようで、↓のようなキャンペーンがいくつか掲示されていた。

2日目も無事終了!