だらだらノマド。

趣味、日常をゆるゆる綴るライフログ。

2月 博多座歌舞伎弾丸フェリー旅

Twitterに流れてきた『新・三国志』の舞台写真があまりに素晴らしく、急遽、弾丸フェリーで博多座遠征をキメてきた。

ちなみに、去年6月に母娘博多座遠征した時の記事はこちら。

kotobanomado.hatenablog.com

今回はカメラを持たずにふらっと行ったので、写真は適当&少なめですー。フェリーの様子は前回↑の方が厚めに書いてますー。

名門大洋フェリー第二便(大阪南港→新門司港

前回の博多座旅同様、フェリーターミナル駅から名門大洋フェリーの第二便に乗船。19:50発・8:30着で、仕事をちょっと早めに終わらせて出て間に合う出航時間かつ、11:00~の昼の部を観るのにちょうどいい到着時間なんですよね。

乗船。隣り合うのはオレンジフェリー。大きな船が並ぶの滾る…!

前回はふくおか、今回はきょうとでした。

今回も学生さんや旅行の団体さんが多く、かなり賑わってた。

今回は一人旅だったので、シングルの「ファーストS」に。

先月のさんふらわあ旅同様、全国旅行支援が効いたので、11,740円→WEB割・全国旅行支援→7,520円+クーポン2,000円という破格のお値段だった。これがあったから、遠征を即決できたんですよねー。

申し分ない広さ。さんふらわあのスーペリアがあまりに完璧すぎたので、それと比較すると、お手洗い・シャワーはないしドライヤーやバスタオルもないけど、お値段のことを考えると、これで十分。むしろ洗面がついてるの、ありがたい。

さっそく買っておいたお弁当を食べて、売店で明朝のごはんと就航1周年の御船印を買い込み、お風呂に入って早々就寝。

明朝、6:30に朝いちの船内アナウンスが流れて、フェリーの朝が始まる。身支度を整えていたら、あっという間に新門司港到着。

港からは、無料バスで小倉駅まで乗せていってくれる。小倉→博多は新幹線、博多→中洲川端と乗り継ぎ、博多座に到着したのは、10:15。ちょうどいい…。もちろん天候によって大きく遅れる可能性もあるので注意しないとですけど、観劇好きにもフェリー旅の良さ、もっと広がってほしいなー。

『新・三国志』@博多座

まずは楽しいロビーから。幕間ランチはまた釜めし御膳にしようかなーと思ってたら、客席内の飲食がOKになっていて、お弁当を売ってたので即買い。前回はロビーは美味しそうな食べ物で溢れてるのに場内での飲食NGで買ってすぐ食べれないという地獄のお預け状態だったのが解禁になり、博多座の本領発揮。この上、さらに客席2階に軽食が食べられるカフェ、売店、ドリンク売店がある事も知って、白目剥きました。

そして、肝心の『新・三国志』。もう最高だったー(泣)!

まず、かつて猿翁さん中心で上演されたものが、こういう形で復活したこと自体が本当に嬉しく。去年、歌舞伎座で上演されたものの、コロナの影響もあって立ち廻り部分が大きくカットされてたみたいなので、今回が満を持しての完全復活版。

若干ダイジェスト感はあるものの、スペクタクル部分はしっかり継承しつつ、オリジナル版を上手くスピーディーに再構成していて、純粋に面白い。

ただ、綺麗に構成しているだけに、唯一気になってしまったのは、オープニング映像。観客にわかりやすく、という意図は理解できるものの、やはりスクリーン映像から入るのってそもそもダサいし、映像・ナレーション(佐々木蔵之介)のトーンともにやけに軽く、重厚な劇世界とマッチしてなくて気になってしまった。説明するにしても、ここは上手く役者を使った導入にしてほしかった。この点、宝塚の歴史ものとか上手く処理しているものがあるので、パクってほしいと思う。(ただ、このスクリーンが幕間には『新・三国志』の千穐楽後、一日限りで上演される舞踊公演『夢見る力』の宣伝に上手く再利用されてるのには笑ってしまった。)

そして、粒ぞろいのキャスト。

猿翁さんみを感じさせる猿之助さんをはじめとして、奇跡のビジュアルと声を持つ笑也さん、豪快な役柄ぴったりの猿弥さん、立役も抜群にカッコいい笑三郎さん、口跡明瞭の溌溂とした青虎さんという抜群の安定感を誇る澤瀉屋メンバーが勢ぞろいしていて嬉しい。

そもそも、この作品は宝塚版「ベルばら」を意識して作られたらしく、笑也さん演じる劉備が実は女だったという設定で、関羽アンドレ劉備がオスカルさながら密に思い合いながらも戦乱の世に身を投じていくという話になっている。

この劉備の設定を宝塚に置き換えると、女の振りをしているけど実は男という役柄を本当は女性であるタカラジェンヌが演じるという複雑さなわけで、それをあれだけの説得力もたせるって、笑也さんの類まれな美貌と不思議な美声だからこそ。そして、もっとも恐ろしいのは、20年前の映像と変わりないってこと…(花道で間近に眺めても驚異の若さでした…何塗ってるか教えてほしいよ、笑也さん…)

さらに、若手ながらも一癖ある福之助さん、すっかり頼もしさを増しながらも可憐な新悟くん、すっかり歌舞伎常連になった浅野和之さん、そして、團子くんという間違いのない布陣。

中でも、今回の個人的大注目は、團子くん。彼が歌舞伎界に入り、こうやって澤瀉屋の一員としてスーパー歌舞伎に出るというめぐり合わせ自体にもうグッとくるし、なおかつ初演で当時亀治郎だった猿之助さんが演じた関平を演じるってもう泣く。(実際、猿之助さんが団子くんを従えて花道から登場しただけで、泣いた)。しかも、今回、大向こう復活後(条件付き)初めて観る歌舞伎で、團子くんに「五代目!」と大向こうが掛けられ、より一層こみ上げてくるものがあった。

そして、「市川團子 本水にて大滝立ち廻り相勤め申し候」と謳われている通り、歌舞伎座版ではなかった超見せ場の立ち廻りがあって、彼が頭から水を被ってずぶ濡れになりながら、躍動感たっぷりに戦う姿はもう感無量でした…(化粧のせいか、途中から湖月わたるさんに見えてきて、わたるさんーってなりながら泣いてた)。本水といえば、去年弥次喜多で観た立ち廻りが消化不良だったので、そういう意味でも大満足。

そして、この素晴らしい観劇体験をさらに1ランク押し上げた要因がもう一つ。それは、席が最高だったこと。

わたしは、普通の芝居やミュージカルの場合、席に全くこだわりがなく、観れるとこならどこでも派なんだけど、歌舞伎は「盟三五大切」を松竹座の左列から観た時の脳天直撃体験が忘れられなくて、演目や予算にもよるけど、花道下手側の席を取りがち。

まず花道に近い。それが宝塚の銀橋的な単に「スターに近い」だけでなく、上手側からライトが当たってるので、下手側からだと、普段の観劇では見られない陰影のある姿を見ることができる。コクーン歌舞伎なんかはまた別だけど、普通の歌舞伎って、影が出ないようにライトで均一に舞台全体を照らしている状態なので、この思わぬ影にハッとさせられるんですよね。そして、それが劇世界とリンクした時のぞわっと感ときたら…!

でも、ここはいわゆるドブ席と呼ばれる、歌舞伎好きからは不人気の席らしく。花道を通る役者がお尻を向けがちだかららしいんですけど、いや、むしろワンルックで花道と本舞台が観られて、いいと思うんですけど!?(個人の感想です)

今回も幸か不幸か、急遽遠征を思い立った時点でも空席が目立ち、お得意のドブ席花道脇をポチったのですが、もうこれがあまりに最高で…。スーパー歌舞伎なので、元々花道が多用される上、敵対する国同士が本舞台・花道に居並んで、本舞台からの緊迫感に満ちた視線(なんなら弓矢も飛んで来そう)をしかと感じ取れるし、アクロバティックな立ち廻りもあるしで、劇世界の真ん中に飛び込んだようだ感覚に。

おまけに、わたしも観ながら思い出したんですけど、この作品は最後にちょっとしたフィナーレがあって。劇世界そのままに各国ごとの武将たちが居並び、花道を通って去っていくというシンプルなものなんだけど、聞いただけで泣けてくる荘厳な音楽(加藤和彦さん)、彩り豊かな衣裳(毛利臣男さん)、いい表情をした役者たちの相乗効果で、それぞれの生きざま、そしてそれらがぶつかり合って紡がれる壮大な世界を感じられる素晴らしい仕掛けになっていて、これを間近で観られたのは最高でしかなかった…。これは三五大切に並ぶ観劇体験だったかも。

↓これは猿翁さん時代の『新・三国志Ⅱ』のフィナーレ。子供が出てきて(そして母と死しても見守り続ける父)、秒で泣く。このすっぽんの使い方、反則すぎ。

で、この後、猿之助さんの宙乗りという怒涛の展開…こんなん盛り上がらんわけがない。しかも、博多座ならではの花道から3階上手側にハケていく珍しい斜め宙乗りで、めちゃくちゃいいアングルで最後の引っ込みまで観ることができて、大感激。しかも、客席全体に大量の桃の花が降り注ぐんですよ…。歌舞伎ではたまにこういう演出あるけど、この作品では「桃園の誓い」に始まって、関羽劉備の絆が桃の花で表現されていて、それが最後の最後、客席まで降り注ぐってもう本当に胸熱すぎて、涙が止まらんかったです。(↑文中でよく泣いてますが、誇張ではなく本当にほぼ全編泣いてた)

おまけ。幕間に食べた老松というお店のお弁当。美味しかった!

図らずしも、「この劇場で観たい」と思わせる数少ない劇場である博多座で、この作品をこの席で観られたこと、お弁当&大向こうの再開を迎えられたのは感動しかない。関羽編ということなので、続編があると信じてるし、その時はまた博多座に帰ってきて…!

さくっと博多観光

胸いっぱいになりながら、さくっと観光。博多座から歩いて10分弱の櫛田神社へお参り。

hakatanomiryoku.com

金太郎の山笠。

地下鉄に乗って、天神へ。

プティジョリーhakataを目当てに、三越へ行ったんだけど、なかった。。。毎月10日販売ですぐ売り切れになるんだそう。

www.iwataya-mitsukoshi.mistore.jp

firstazul.stores.jp

そのまま徒歩で、元祖博多めんたい重へ。

雑誌とかインスタとかで必ずといっていいほど取り上げられていて、絶対混んでるだろうなと思ったので、事前にテイクアウトのWEB予約をしていた。

行ってみるとごはん時の時間でもないのに長打の列ができてたので、絶対食べたい人はテイクアウトがいいと思う。

www.mentaiju.com

再び地下鉄に乗って、大濠公園へ。前回は公園の前にあるケーキ屋さんに寄っただけなので初めて行ったんだけど、大きな湖の周りはサイクリング・ジョギングコースになっていて、観光客だけじゃなく、地元の人たちで賑わっていた。スタバ。

福岡市美術館はこの公園内にある。年季の入った建物は前川國男設計。

1階にはこじゃれたカフェがあって、若い人たちで賑わってた。2階にもレストランがある。かなりしっかりしたメニューで、こういうところからも博多の食への熱量がうかがえた。美術館でも劇場でも食に一切妥協しない姿勢。

お目当ては、ソール・ライター展。

ソール・ライターやダイアン・アーバスウィリアム・クラインロバート・フランクあたりの写真って、センスありすぎて狂おしさを感じる。ドライめなストリートスナップしか知らなかったので、妹デボラを写した大量の写真とスニペット(小さく破られた写真)が、デボラの人生にも思いを馳せてしまうとあまりにエモーショナルで、心乱れてしまった。

突然の小錦

草間さんのかぼちゃ。(ソール・ライター風)

ぼちぼち博多駅へ。時間があれば、ごぼううどんかラーメンが食べようと思っていたのに、どういうわけか大濠公園内を駅と反対方向に半周したせいで時間が無くなり、お決まりの明太子標識を撮影して、パパッとお土産を買ったらすぐに小倉へ。

小倉駅到着。

行きしに看板を見て狙ってたやまやの焼きたてめんたいフランスがまさかの売り切れで、悔しいので冷蔵のお土産用を購入。家で食べたら美味しかった。

www.yamaya.com

一昨年出張で来た時に買って、9割9分新幹線車内でぶちまけた、きくたろうの飲むわらびもち。

www.kikutaro.net

その後、岡山では駅のベンチでぶちまけ、三度目の正直のきくたろう再チャレンジ。今回はさすがにいけるっしょ!と思ったら、新門司港行きのバスの中でシートにぶちまけました…。一応弁解しておくと、常にドリンクをぶちまけているわけではなく、わらびもちの時だけなんですよね…なんなんだろう…この呪い…好きなのに…。

 

再び名門大洋フェリー第二便(新門司港→大阪南港)

帰りも行きと同じ名門大洋フェリーの「ファーストS」。早速、売店で買ったお味噌汁とともにめんたい重を頬張る(お部屋に電気ケトルが付いてるので、こういう時便利)。

1本まるままの明太子に薄く昆布が巻かれている。専用の甘めのたれをかけて食べる。うーん…美味しいは美味しいけど、見たままの明太子ごはんかな。明太子グルメだったら、個人的には前回の博多座遠征で食べた、ムーめんたいの方を推したい。

船内は帰りも賑わっていた。名門大洋フェリーは大浴場入口のモニターで混雑状況がわかるようになってるんだけど、部屋でぼーっとしてたら、大浴場が空いている時間帯を逃してしまい、入ろうとしたら「混雑」になっていたので、初めてシャワー室を利用することに。小さな更衣室がついたシャワー室の方はガラガラで、ドライヤー付の洗面台含め不便なく使えた。

名門大洋フェリーは船内wifiが1日30分間×3回までしか使えなくて、寝る前にはもう使い切ってしまってた。船内WEBサービスの一つに無料漫画があって、この間予告編を見て気になっていた『BLUE GIANT』を1巻だけ読んでみたら、なんというかバンドデシネ感があってとても好みだったので、続き読みたいし、映画も気になる。行きで気になった生活音にも若干慣れて、就寝。

翌朝、元気があれば朝風呂にチャレンジしようと思ったんだけど、ごろごろしてて断念。ATCさんふらわあが見えた。

大阪南港に到着。帰りはバスで帰ってみた。立派な観光バスでびっくりした。

フェリーもいくつか乗ってみて、メリット/デメリット、各社の強み/弱みがわかってきたので、もうちょっと試せたら一度まとめてみたい。

 

急遽決めた遠征旅だったけど、行ってよかったー(泣)素晴らしかったなー!