だらだらノマド。

趣味、日常をゆるゆる綴るライフログ。

1月鹿児島旅 その2(妙見石原荘~嘉例川駅~アートの森)

 その1はこちら。

kotobanomado.hatenablog.com

 

その2は妙見石原荘到着から。

妙見石原荘宿泊に踏み切るまで

霧島旅の当初案だと、復路は特典航空券だし、宿も霧島ホテルと霧島観光ホテルの破格プラン(1泊2食つきで1万円ちょい)にして予算少なめでいくはずだったんだけど、電車〜バスが上手くつながらないのと、ごはん時の感染リスクが高いかも‥と心配になり…。そんな時、きりしま旅割クーポンの存在を知って、霧島のお宿がかなりお得に泊まれることが判明。前々から行きたいけど、一人旅の宿としては考えてなかった妙見石原荘のアクセスを仮に調べてみると、こっちの方がええやん!となった。

とはいえ、人気宿なので、楽天トラベルほか予約サイトは満室か恐ろしく高い部屋かしかなく、宿の公式サイトで満室だったところをダメ元で空室待ちしたら、奇跡的に取れました。ちなみに、全国旅行支援は、予約サイトからの予約のみ適用とのことで使えず…本当に、きりしま旅割クーポンがないと踏み切れてなかったです…ありがたい。

話を少し戻すと、霧島ホテル、霧島観光ホテルという名前だけど、霧島温泉駅の近くにはなく、バスで行く必要がある。同じく、霧島神宮霧島神宮駅から少し離れてるし、もっと言えば、霧島と名がついていても、霧島アートの森、霧島ホテル、霧島神宮は、全部別場所にあり、回るにはかなり綿密に予定を組まないといけないので、注意が必要。事前リサーチしながら何度も白目剥いて、結局、今回は霧島神宮を諦めた。。

一方で、石原荘のある妙見温泉も、霧島ホテル、霧島観光ホテルのある丸尾も、便は少ないながら鹿児島空港とを結ぶバスが存在しているので、飛行機との相性は良い。

石原荘到着!湯上がりラウンジ&大浴場

ぐねぐね山道沿いにいきなり登場。左手には荘厳な石蔵。本館は思いっきり工事中だった。

www.m-ishiharaso.com

入ると、フロント・ロビーは落ち着いた雰囲気。奥でウェルカムドリンク・スイーツをいただきます。紅はるかと知覧茶。美味しい。

大きな窓から見えるのはこちらも有名な、忘れの里雅叙苑の古民家群。ライバル宿が絶妙な借景になってるのが面白い。

gajoen.jp

この宿は石蔵が有名なんだけど、わたしが泊まったのは、本館2階にある「藍」というお部屋。ネパールの方に案内していただき、ネパールカレーとインドカレーの違いを教えてもらうなど。

お部屋は、オーソドックスな旅館スタイルで、年季が入ってる部分もあるものの、綺麗にメンテナンスされている。一人で使うのもったいなさすぎ。。

上階が工事中(温泉付客室になるらしい)ということで、冷蔵庫内のドリンクと貸切風呂「睦実の湯」が無料になるらしく、喜び勇んでお風呂を予約。

お食事まで時間があるので、まずは大浴場へ。お風呂は館内になく外からのアクセス。立派な門をくぐってしばらく行くと、小さなお休みどころがあって、焼きマシュマロやドリンクのサービスが。

もう少し行くと、素敵な湯上がりラウンジに到着。

フリードリンクが置いてあって、ゆっくり寛ぐことができる。こういうスペース、好きすぎる。

この奥の大浴場「天降殿」は、池川直さんによる力強い彫刻壁画が印象的で、壁画の中にある魚の口から源泉かけ流しのお湯が豪快に注がれている。ちょっと前に全国的に温泉の湯量が低下しているというニュースを見たところだったので、逆に心配になってしまうほどの勢い。お湯はぎゅるっとした感触で硫黄ではなく金属臭が立ち込めてた。すっかりポカポカになって、湯上がりラウンジでまた一息。

お食事@レストラン石蔵

お食事は、石蔵の地下にあるレストラン石蔵へ。本館のフロントから石蔵へは内側で繋がっている。本館の雰囲気も素敵だけど、石蔵はモダンでカッコいい。

お食事処には、ゆったりとした半個室が並んでいて、大きな窓から天降川を眺めながらお食事を堪能することができる。仕切り一つとっても凝った意匠で、ムードがある。

鰤のたたきが美味しくて、エンドレスで食べたかった…。

貸切風呂「睦実の湯」

夜入るのをおススメいただいた「睦実の湯」。石原荘には大浴場、混浴の野天風呂、貸切風呂、足湯の5つのお風呂があり、足湯以外のお風呂は全て、さっきの湯上がりどころから迷わずアクセスできるようになってるのが方向音痴的には嬉しい。

階段を少し下りると、お風呂が。制限時間は30分。

戸を開けるとこんな感じでいきなり簡易的な脱衣スペースになってて、もちろん屋外なので、震えながら服を脱ぎ捨てる。アメニティないので気を付けてくださいね、と言われてたんだけど、アメニティというよりそもそも洗い場もないので、純粋にお湯を楽しむ貸切風呂。タオルはしっかり完備されてる。

掛け湯して、このスロープを進んでいくと、途中から温泉になってるというちょっと面白い作り。中村好文さんによるデザイン。

これを回り込むと半円状の湯舟になっていて、ムーディーにライトアップされている。とはいえ、周りは真っ暗で川の流れる轟音だけが響く中、一人素っ裸の丸腰でいるのは恐怖でしかなくて、30分も経たずにそそくさと出てきてしまった。

スマホの機能上、明るく映ってるけど、本当はもっと暗い。

再び大浴場の「天降殿」へ。お食事の時にお世話してくださった方に、大浴場の魚の口から出てるお湯は飲んでもOKですよ!と教えてもらったので、早速飲んでみたけど、においから想像した通りの鉄棒をなめたような味がして、ゔぇぇぇえって顔になった。でもたしかに体に良さそうな味ではある。

部屋に戻って、ありがたくジュースをいただきながら就寝しようとしたら、和室にひとつもコンセントがなくて発狂しそうになってしまった。

熊襲の洞穴&貸切風呂「七実の湯」

おかげさまで当初案より乗り換えがかなりマシになったので、朝食を遅めに設定して、熊襲の洞穴へ。熊襲といえば、スーパー歌舞伎ヤマトタケル」で強烈なインパクトを残す魅力的なキャラクターなんですよね。

www.kagoshima-kankou.com

石原荘の向かいから急な上り坂を登っていく。一応観光スポットではあるけど、朝早いのでさすがに誰もいない。

10分弱くらい歩いて洞穴に到着。神聖な雰囲気が漂っていて、まさに神話の世界。

思ったより穴が小さくて屈んで入るタイプだった。

傍らに洞窟用の照明スイッチがあり、セルフで押して入る。これ、誰かにいたずらされて消されたら一巻の終わり…。

屈んで入口を入り、岩をよじ登って進むと巨大空間に繋がっていた。入った途端、生暖かく強烈な湿気に襲われ、カメラのレンズが真っ白に(以下iPhone)。壁面には色とりどりのアートが施されていて、これがスーパー歌舞伎のド派手な熊襲のイメージとリンクして面白い。静寂の中、天井から滴り落ちる水滴の音だけが響く。ちょっとした探検家になった気分でわくわく。

宿へ戻って、予約していたもう一つの貸切風呂「七実の湯」へ。まだちょっと時間があるので、行きすがら足湯を覗いてみた。前日にレストラン石蔵から見えた温泉の噴出口がよく見える。

川全体から湯気が立っていた。

七実の湯」へ。こちらは元々無料の貸切風呂で制限時間は30分。

こちらも「睦実の湯」同様、脱衣所も含めて屋外にあり、洗い場なし。昨日の貸切風呂はどちらかというと、野生動物に襲われないかという不安が勝ってたので(襲われません)、こちらは、明るい中、間近に天降川を眺めながら、木々に溶け込んだような空間でゆっくりとお湯に浸かることができた。

貸切風呂の後はお気に入りの大浴場へ。また魚の口からお湯を飲んで、ゔぇぇぇぇってなった。結局、混浴の「椋の木」には勇気がなくて行けなかったのと、お休み処の焼きマシュマロを朝の楽しみにしてたのにセッティングされてなくって食べそびれてしまったのが心残り。

朝食@レストラン石蔵

身支度を整え、昨日と同じ石蔵で朝食。半個室はそれぞれ違った形・デザインになってて、見比べるのも楽しい。わたしは朝晩ともに掘り炬燵タイプのお部屋(床暖付)に当たったけど、普通のテーブル席もあった。

寒い朝にぴったりのあんかけの出汁巻。合法的にねこまんまが食べられるセットも嬉しい。異様に美味しかったさつま揚げ、どこのか訊けばよかったー。

存分に堪能してチェックアウト。ここ数年よく旅に出るようになって、自分は、泊まる部屋は割とどうでも良くて、共有スペースと温泉重視(食べ物はその次)だということがわかってきて、その点、この石原荘はドンピシャの宿でした。思い切って予約してよかったー!

嘉例川駅

一生バスが来なさそうな心もとないバス停。

ここから嘉例川駅へは15分程。このバスに乗ってとうとう疑惑が確信に変わったんですが、鹿児島のバス、めっちゃ爆走するな。前日にも何度かバスに乗って薄々感じてはいたけど、結構なぐねぐね山道なのにスピードMAXで爆走する(遅れてるわけでもなく、時刻表通り)。こういうご当地の特色って、実際行ってみないとわからない面白い体験ですね。九州は、歩行者用信号がなく思い思いのタイミングで横断歩道を渡る長崎といい、バス停で一切並ばない福岡といい、交通面でクセツヨな気がする。

前日に乗ったバスでは石原荘の手前に妙見温泉のバス停があって、他の宿もいくつか目にしていたんだったけど、バスから街並みを見てると、昔はもっと賑わっていたんだな、と思わせる廃墟がいくつも。温泉地の存続って本当に難しいよね…。あと、鹿児島の電車やバスの公共交通機関の衰弱っぷりや観光地としての押しの弱さ(PR・お土産)も感じてしまって、エールを送りたくなった。

嘉例川駅到着。

アートの森のアクセスがえぐいので、最終日は1か所しか行けないかなと思ってたんだけど、事前リサーチ中に、嘉例川駅通るやん!と気づき。

1903年に開業した木造駅舎。住宅が立ち並ぶひっそりとしたエリアにいきなり現れる。車では来やすいのかそれなりに人がいた。

今は無人駅になっている。

ねこの駅長は残念ながら不在だった。

Station Stampも忘れずに。

土日祝のみ駅弁販売あり。事前に電話予約してたので、無事ピックアップ。

yamadaya-bento.com

ここから肥薩線にのって美術館最寄りの栗野駅まで行くんだけど、電車がくるまでおよそ1時間。無人駅で暖房もないので、超極寒の中、隣の公園で待つことに。こんなこともあろうかと思って持ってきたマグマカイロ2個使いでなんとかしのいだ。

もうちょっと時間があれば、竜馬とお龍が新婚温泉で訪れたという塩浸温泉に歩いて行ってたかも。

www.kagoshima-kankou.com

電車きた!(震えながら)

この路線で観光地化してるのは嘉例川駅だけど、他の駅もかなり個性的で。

ささやかな植村駅

これじゃわかりにくいけど、大隅横川駅嘉例川と同じく1903年に開業したレトロな木造駅舎らしい。

www.kagoshima-kankou.com

30分程で栗野駅へ到着。謎のオブジェが出迎えてくれる素朴な駅。

バスまで時間があったので、駅のそばにある丸池湧水へ。町の名前からして「湧水町」だし、日々数万トン湧出して町の生活用水になっているだけあって、確かにめちゃくちゃ綺麗。

霧島アートの森

栗野駅からはふるさとバスにのってアートの森へ(平日は時期によって運行していないので注意)。このバスが公共交通機関を使ってアートの森に行ける唯一の手段。いつかの青森を思い出しながら、また運転手さんとマンツーマン状態で15分程。

www.town.yusui.kagoshima.jp

到着!まずは草間さんの作品が目に飛び込んでくる。

open-air-museum.org

まずは館内の平川渚展から。

編み物をテーマにした展示で、近隣住民から募った編み物とそれにまつわるエピソードが展示されている。「手編みのマフラー」とか、昔のベタな初恋話によく出てくるけど、確かに編み物って、何もないところからひたすら編むという手作業を繰り返して形作るから、普通の手縫い以上に思いがこもるし記憶にも残りやすい、もはやちょっとした呪物的なものかもしれない。

見ず知らずの誰かが誰かに当てた編み物なんだけど、記憶と思い出と忘却と劣化が相まって、エモーショナルな波に押し流されそうになった。わたし、こういうの弱い。

編み物の特性として簡単にほどくこともできる。それぞれの記憶や思いが部分的にほどかれて新たに編まれていく。服という当初のミッションを終えて、未知の有機体に生まれ変わったかのような。

引き続いてコレクション展も。撮影NGだったので写真はないけど、こちらもコンパクトながら充実していた。オノヨーコの「絶滅に向かった種族」が強烈なインパクト。

中庭には再び草間さん。

いざ外に出てみる。だだっ広い。この広大なスペースに作品が点在している。館内は人はほとんどいなかったのに、屋外には家族連れがたくさん。観光というより地元の人たちが公園で遊ぶような感覚で来ているみたい。

横から見ると、めっちゃカッコよかった。

ジョナサン・ボロフスキー。

アートの森の代名詞的な、チェ・ジョンファの「あなたこそアート」。ここで自撮りする勇気なかったー。ところで、このあたりには鹿のふんがあって、豊かな自然を感じる。

素晴らしい体験を与えてくれた、ダニ・カラヴァンの「ベレシート(初めに)」。

お庭の先の森エリアにも作品がたくさん。ミニ大地の芸術祭っぽくって楽しい。

森の中で遭遇すると、ちょっとぞわってする。

遊具もあったり。

ぐるっと回ってきて再びお庭へ。

美術館に戻ってカフェへ。持ち込みOKをいただいたので、かれい川弁当を食べる。お野菜たっぷりで美味しい!

アートの森は、雑誌でもよく取り上げられていて前々から来たかったものの、アクセスが厳しくて長年尻込みしていた場所だったので、こうやって念願かなって、中も外もしっかり見て回れて嬉しかった!

帰りのバス待ちに周辺をぶらぶら。アートの森の隣には牧場があって、お馬がいた。一応ゲート的なものはあるんだけど、横がダダ開きで、今にも出てきそうだった。

www.kirishimaart.co.jp

牧場前にはチェーンソーアートなるものがいくつか展示されていた。

再びふるさとバスに乗り込み(また乗客一人)、今度は「いきいきセンターくりの郷」まで。というのも、いきいきセンターで鹿児島空港駅のバスに乗り換えられるんですよね。バスの中で眠気に襲われ、うとうとするものの、例のバス爆走問題で、眠りに落ちかけては座席から振り落とされそうになり命の危険を感じて目覚めるということを繰り返しながら到着。

チェーンソーアート、めっちゃ流行ってるやん。

www.town.yusui.kagoshima.jp

バス乗り換えまで30分以上あるので、明らかに湧水町民用ではあるんですけど、施設内にある温泉ゆっくりらんどで時間つぶします。

三沢空港温泉もちょっと思い出しながら、打たせ湯や露天風呂もあってかなり贅沢な施設だった。賑わってるのも納得。

温まったところでバスに乗り込み、約30分で鹿児島空港へ。

nangoku-kotsu.com

足湯と西郷さんのお出迎え。

www.koj-ab.co.jp

めちゃくちゃ栄えていて、一生分のさつま揚げを見た気がする。

今回は6000マイルを使って、人生初のANA特典航空券フライトでした。チケットを取った後に、マイル減額キャンペーンが始まったりしたので、お得感0な感じではあったけど、それでも当初旅行を組んでた日がまさかのアートの森休館日にあたってたりと何度か日程を組みかえたので、フレキシブルに変更できたのはありがたかった。

最後もアイランドビューで締めくくることができて、大満足!

まとめ

目標通り、ほぼほぼ公共交通機関だけでリスクも下げながら、なかなかいい旅ができたのでは!?もし車を運転できなくて、霧島観光やアートの森を諦めてるという人がいれば、大丈夫!行けるよ!!公共交通機関だけでもちゃんと巡れるっていうモデルコースになっていればいいな。調子に乗って、次は指宿の方にもチャレンジしてみたい。