だらだらノマド。

趣味、日常をゆるゆる綴るライフログ。

夏の京都予約めぐり

大規模改装&杉本博司展ということで、開館を心待ちにしていた京都市京セラ美術館。京都府外からの来館も受付始めたので、いざ行ってきました!せっかく京都まで行くからにはと思い、周辺の気になるお店にも。気付いたら予約めぐりになっていました。

京都市京セラ美術館

3年間の改修ののちついにリニューアルオープン。

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今は感染予防対策からHPからの完全予約制に。予約した30分幅以内に入館する決まりになってます。

kyotocity-kyocera.museum

事前情報をほぼ入れずに行ったんですが、なんと、エントランスが地下になってた…!地下まで続くなだらかなスロープが斬新。

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ちなみに、SDカードの中にあった改修前の京都市美術館(2015年RAPASOPHIA)。以前は普通に1階から入ってました。

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ガラス張りになっている地下の真ん中部分から、予約メールのチェックと検温を経て入場。地下の窓に面した両翼部分はそれぞれカフェとミュージアムショップになっていて、とてつもなく小洒落回しています(そんな言葉ない)。入口から直進して大階段を上ると、1階の吹き抜けに繋がる。

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このすり鉢スロープ→大階段→吹き抜けのアプローチが楽しすぎて、吹き抜けに出た時には思わず、うわぁ…と声が漏れました。あまり時間がなく2階部分は探検できていないので、次回は必ず。

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ここ、PARASHOPHIAの時はこんな感じだった。

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そう、PARASOPHIAを振り返ると、単なる作品の展示を超えて京都市美術館そのものを見つめる企画にもなってて、地下も公開されていたんですよね。戦後、米軍に接収されていた頃の名残り。今となっては貴重ですね…(下手くそながら写真撮っててよかった)。

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吹き抜けからさらにまっすぐ行くと…

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開放的なガラス張りの廊下…!目の前には中庭が広がっている。

f:id:kotobanomado:20200628133506j:plainf:id:kotobanomado:20200628133518j:plain前田健二郎氏によるオリジナル建築を活かしながら、明るくモダンな装いに(青木淳氏デザイン)。建築って新たな体験を与えてくれるなぁ…とつくづく思う。思わぬ動線にわくわくしながら歩を進め、視線を変える度に景色が変わっていく。建物の正面を見た瞬間からサプライズの連続。f:id:kotobanomado:20200628133542j:plainf:id:kotobanomado:20200628133531j:plain

正直、京セラ美術館の造りがハイライト過ぎて、この後の杉本博司展は、京都だなぁ…という感想で終わってしまう。わたしが見たかった杉本博司展とはちょっと違って、京都という磁場をもって作品の神性を高める、みたいな作りになっていました。展示の要になっている三十三間堂の千手観音像の写真は中でも特に独特の空気に満ちていて、瞑想の場に。光、ガラスをモチーフにしてることもあってか、ここだけじゃなく、作品を照らす明かりが揺らめくように演出されていたのが面白かった(でもわたしはそれも含めてここで生み出されようとする神性に「蛸入道忘却ノ儀」的な胡散臭さ、エセ感を感じてしまったんですよね。それも含めて杉本博司氏なのかもしれませんが)。かなり受け手の「没入感」を要する展示でありました。そんな神秘的な演出の一方で、学芸員さんが積極的に来館者に語り掛ける仕様になっていたのには、ちょっとびっくりした。

鑑賞後は、中庭へ。ガラスの茶室を近くで見られる。これも杉本さんの作品<聞鳥庵(モンドリアン)>。面白い異物感。

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ガラス張りの廊下。外から見ても素敵な空間ですね。

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本来はお庭側からもチケットなしで入れて通り抜けができるようですが、今は予約制・検温チェックがあるので、一方通行に。ぐるっと正面へ回り再入場してミュージアムショップへ。

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BEAMSコラボのダサいのか洒落てるのか判断のつかないグッズは見送って、おみくじをひきました。お金を入れると、鶴が奥の殿に入ってご神託を携えてくるという凝りよう。清川あさみさんがプロデュースとのことでおみくじ自体も凝ったものが出てくるのかなと思ったら普通のプリントでしたね…。でも、最果タヒさんの百人一首 現代語訳がとてもエモーショナルでよかった。

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出口部分(通常ならここからも入れそう)にもミニ展示スペースがあって鬼頭健吾さんの作品が。鏡に映り込む色色色。

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ちなみに、この後トイレへのケータイ置き忘れが発覚という一騒動が起き、またまた再入場して、こいつ何回来んねんという冷たい視線を浴びながら検温を受けました(安定のポンコツぶり)。

無碍三房

美術館前から京都岡崎ループバスで知恩院山門まで。〇〇系統的なバスは複雑すぎてわたしの理解の範疇を超えているので、ループバスほどありがたいものはないですね。

www.city.kyoto.lg.jp

山門。圧倒的なスケール感。

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この辺りの地理が全くわからないので、趣ある寺社仏閣オンパレードに、これが噂の円山公園…!長楽館、ここなんや…!と驚きがいっぱいで、渾身のほほぉ…!を連発しながら歩いた。長楽館も行きたいリストに長年入ってるのですが、想像以上に風格がありましたね(写真が分かりづらい)。

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ここから坂道登って5分くらいで到着。老舗料亭 菊乃井が手掛ける喫茶、無碍三房。

kikunoi.jp

カフェは14時オープンでこの14時分のみ電話予約可能。数日前にあっさり予約が取れたですが、着いたら既に30、40人くらい並んでてびっくりした。半分は予約していない整理券待ちの人たちでした。カウンター席へ。お店入ってから気付いた。カウンター席は入ってすぐで、エスパー伊藤を隔てた奥がテーブル席になってるので、圧倒的にテーブル席の方が落ち着きますね(ちなみに、このエスパー伊藤名和晃平さんの作品)。

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とはいえ、床は美しいタイル、目の前には緑が広がって良い空間です。

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めちゃくちゃ暑い上にマスクでグロッキー状態だったので、抹茶パフェにしました。

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濃厚な抹茶アイスに小豆、白玉、カステラ…これぞ大人のたしなみ…(目を閉じる)。上質なクールダウンができました。(しかし、この趣とは裏腹に、次の予約時間が迫っていて、実は気が気じゃない状態でこの写真撮ってるし、この後、小洒落すぎてて全くすくう気のないガラススプーンで必死にアイスをえぐり取り猛烈な勢いで食べて風のように去った。)

山本麺蔵

迫っていた次の予約は、京セラ美術館裏手にある人気うどん店でした。

yamamotomenzou.com

ここの予約が最難関。期間限定で当日9時から電話予約を受け付けているのですが、なかなか繋がらず、やっと繋がったのは9時半過ぎ。美術館の前にさくっと行けたらいいなーというのは考えが甘すぎで、すでに13時半以降の枠しかなかったので、無碍三房との兼ね合いで結局15時に。無碍山房は予約してても入店までにかなり時間がかかるし、意外と離れてるので(下調べ不足)、時間ギリギリで祇園からタクシー飛ばした…。タクシーの中で、この時間ならこんなに必死にならなくてもぶらっと入れたかな…という想いもよぎったけど、いざ着いたら普通に満席でしばらく並ぶくらいだったので、やっぱり予約大事でした…。

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カウンターは左右ロールカーテンで一風堂的な半個室。名物のごぼう天うどんにしました。

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こう見るとそうでもないけど、うどんが長太くてかつて噛み切ったことないぐらいの弾力なので、超ボリューミーです。白いトングみたいな麺用カッターで適宜カットしながら食べる。嚥下能力の低さに定評のあるわたしには命取りになりかねないうどんなので、豪快にすすることもできず、慎重に一本ずつ噛みしめていった。隣のゴボウ天もどっさり盛り付けられてる。土の匂いがふわっと香って美味しい。ささみ天ミニ丼もセットで頼もうかな、と思ってた自分、身の程知らずすぎ。極め付けに、ミニ杏仁豆腐までついてきて、本気でお腹がはち切れるかと思いました…(パフェがボディブローのように効いている)。

隣も有名なうどん屋さんなんですね。料亭っぽい。今度はこちらにも行ってみたい。

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数軒隣には、山元麺蔵のテイクアウト専門店が。

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お土産用に肉味噌うどんを買って帰りました。

 

以上、京都予約めぐりでした!

充実してたけど、夏の京都withマスクは死を意味することを学びました…。

南紀白浜小旅行記

コロナ&仕事のドサクサに紛れ、1泊2日の南紀白浜小旅行に行ってきました!

今回の旅のテーマは、

  • コロナ問題で遠出はできないので、自宅から県境を跨がないコンパクトな旅
  • バブル時代の遺構 ホテル川久を堪能する の2つでした。

そう、実はわたくし和歌山県民なのですが、兵庫県の大学に通ってた頃、はるばる海を渡って通学して来てると思われてたのが衝撃的すぎて。。それからは、和歌山県の認知の低さ、尋常じゃねぇ…と自分に言い聞かせて、ネット上でもひた隠しにしてきたのですが、これを機に解禁して地元ネタ書きますね(誰も興味ない)。

旅程はこんな感じ↓。白浜は和歌山随一の観光地ですが、それでも観光スポットが滅茶苦茶少ないので、おのずとwithコロナに対応したコンパクトな旅になります!(自虐)

●1日目
・幸鮨でランチ
・おやつのジェラート
・三段壁洞窟
千畳敷
南方熊楠記念館
・ホテル川久

 ※グラスボートに乗りたかったけど、休止中でした。

●2日目
アドベンチャーワールド
とれとれ市場

 

●1日目

今回は両親との親子旅だったので、自宅から父の運転で白浜へ。例えば別府とかだったら交通網が発達してるのでバスやタクシーでも難なく回れたけど、白浜は車がないときついですね。

まずは幸鮨へ。f:id:kotobanomado:20200620202216j:plain
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tabelog.com

 街のお寿司屋さん的な雰囲気で、肩肘貼らずにぶらっと入れる感じ。でもかなり人気店っぽかったので、予約推奨。

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廻らないお寿司が久しぶりすぎて、まずシャリの小ささに感動しましたね(次元が低すぎる感想)。どのネタも手が込んでいて口の中に幸せが広がる…。

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苦手なはずの鰻ですら美味し過ぎて刮目。

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デザートは和歌山らしい梅でした。大満足のランチでした!

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三段壁へ向かう途中、ジェラート屋さんがあるということで寄ってみた。

tabelog.com

黒糖ナッツとゴールドラッシュ(コーン)のダブル。
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ジェラート屋さんから歩いて三段壁へ。崖です。暴風が吹き荒れてたので2時間ドラマ感増し増し。右手に写ってる建物内のエレベーターで、平安時代熊野水軍が船を隠した洞窟に降りることができました。

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sandanbeki.com

この洞窟の雰囲気、どっかで見たことあるなと思ったら、スプラッシュマウンテンのQラインでは。

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波が打ち寄せる様子も至近距離から眺められる。海が荒れてたのでこの辺りもかなりスプラッシュで身の危険を感じました。

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千畳敷へ。ふたたびの崖&暴風。

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www.nanki-shirahama.com

白浜の観光スポットはほぼ岩と崖なのですが、地獄めぐりを2つ目で強制終了させた母が「もう崖も岩も要らん…!」と言い放ったので、円月島はドライブスルーで眺めました。その後、ま、一応行っとくか、くらいのテンションで南方熊楠記念館へ。

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www.minakatakumagusu-kinenkan.jp

これが行って大正解。南方熊楠って、「粘菌類」「イケメン」くらいのイメージしかなかったのですが(雑にもほどがある)、幼少時から手当たり次第に書物を写し取るという神童ぶりを発揮、その後は英米留学で興味・研究対象を広げた、知の巨人。同時に蒐集家でもあったようで、引き出しやらお菓子の箱やらに色んなものを所せましと詰めまくるオタク気質も含めて、名誉館長に荒俣宏さんが選ばれたのが妙に納得できた。2017年にできたばかりの新館が居心地よく、洒落たBGMを聴きながら顕微鏡で粘菌を眺められるのがオツでした。唯一残念だったのは、天候が悪く展望デッキには行けなかったことぐらい。とても良い施設だった。

ここから車で約10分。田舎道に突如として現れるド派手な建物。これが第二のテーマ ホテル川久です!

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バブル絶頂期に会員制ホテルとして建設されたものの91年のオープン時には既にバブル崩壊、すぐに経営が立ち行かなくなったよう。完成した途端に前時代の遺物と化してしまった建物は時代を経た今、もはやオーパーツに近い独特の威光を放ってます。

屋根には紫禁城と同じ瓦が使われているよう。円錐型の屋根にさりげなく突き刺さってるのは、大山崎山荘美術館の前にもあるフラナガンの兎。可愛いですよね。

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一歩足を踏み入れると広がる宮殿風のロビー。左官職人 久住章氏による漆喰大理石の柱は1本1億円とか…。

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床は全面モザイク。イタリアのモザイク学校の職人さんが3年かけて製作…。

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天井はフランスの金箔職人ロベール・ゴアール氏によるもの。金ピカ。

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片隅にいくつか資料が置かれてました。当時の並々ならぬ意欲を感じます。

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着こなしのハードルが異様に高い、当時の制服も展示されてました。f:id:kotobanomado:20200620213943j:plain

2階に上がると、また違った景色が見えてきます。ラウンジ。

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ラウンジ側の天井。f:id:kotobanomado:20200620214351j:plain

玄関側を振り向くと。この円のモチーフは建物内のあらゆる場所にちりばめられてました。f:id:kotobanomado:20200620214317j:plain

サイドに回るとギャラリー的な空間になっていて、ブッフェ、シャガール、ダリなどの作品が多数展示されてます。

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セレブごっこができる螺旋階段。f:id:kotobanomado:20200620214057j:plain

2階を探検してると、こんな空間も発見。癖の強すぎる宴会場。このインパクトに負けない宴会とは…。f:id:kotobanomado:20200620214220j:plain

こちらも宴会場。照明の一つ一つに川久の刻印が。他にも、電気が点いてない謎の小部屋もあったけど、暗闇でも癖の強さがわかった。f:id:kotobanomado:20200620214136j:plain

この辺りは、7/1から川久ミュージアムとして本格的に公開するようです。謎の小部屋の秘密も解けるかも。

www.museum-kawakyu.jp

チェックイン後、ラウンジでウェルカムドリンク。

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いよいよお部屋へ。全室スイートという謳い文句はオープン当時のままですが、カラカミグループの傘下に入った今では意外とリーズナブルな料金で泊まれます(父発案の旅だったので詳しくは知らないけど、コロナ騒動で更にディスカウントされてたみたい)。今回は、タワースイート(和洋室)に泊まりました。

まず、開ける前から圧倒される、家以上の玄関感。f:id:kotobanomado:20200620213905j:plain

開けると、いきなり三叉路が広がって迷子に。f:id:kotobanomado:20200620214544j:plain

左手には和室があって、右手奥に書斎的な小部屋もありました。ここだけで十分泊まれる広さ。f:id:kotobanomado:20200620214506j:plain

右手の手前にはベッドルーム。ここも普通に1室分くらいの広さがあります。f:id:kotobanomado:20200620214627j:plain

その奥がバカでかいリビングルームf:id:kotobanomado:20200620214714j:plain

…普通に家より広い。お手洗いが2個、バスルームの他に洗面台付きの謎の小部屋もあったので、大人数で泊まっても大丈夫そう(6名まで宿泊可)。母と私はベッドルーム、父は和室で寝たけど、とにかく広くて動線も分かれてるので、同じ客室に泊ってるとは思えないくらい気配すら感じなかったですね(それは父の存在感の問題か)。他にもメゾネットタイプとかスパ付とか個性的な客室がたくさんあります。

ごはん前にお風呂へ。

www.hotel-kawakyu.jp

1・2階に1カ所ずつあって、この時間帯は2階のROYAL SPAが女風呂。暖炉、インフィニティ風呂、完全個室のシャワーブースがあったりと、バブルの面影どころか、思いっきり今風のオシャレ風呂でした。どっちやねん!
ここで珍事が発生。うひょーと舞い上がりながらラグジュアリー風呂に浸かってたら、マスクつけたままでした(口だけサウナ状態になってはじめて気づく)。わたしもわたしだとは思うんですけど、真っ裸にマスクという出立の娘と、風呂に浸かるまでずっと会話してた母の違和感、発動して欲しかったわー…。

お待ちかねのディナーは「王様のブッフェ」。貪り食べたので伝わる写真がほぼなくてすみません。強気なネーミングに違わず、目の前でお寿司握ってくれたり天ぷら揚げたりステーキ焼いてくれるエリアもあるし、前菜からメインまで、バラエティ豊かな和洋のメニューで大満足!感染予防としては、使い捨て手袋がテーブルごとに配られて、ブッフェを取りに行くときはマスクと併せて必ず着用というルールになってました。

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www.hotel-kawakyu.jp

 

●2日目
朝風呂は、男女入れ替えで1階の悠久の森。こちらは壁面にぐるりと仙人画が描かれた内風呂と露天風呂の二つで、ROYAL SPAよりはオーソドックスな感じ。全然趣が違うの、嬉しいですね(マスクははずして入浴)。

朝ごはんも「王様のブッフェ」。朝もフレンチトーストやオムレツは目の前で作ってくれる。海鮮丼が自分で作れるコーナーもあって、いくらとマグロをもりもり食べました。

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チェックアウト前に館内の兎ビューポイントを散策。中からだと凝った造形がよく見えて更にお城感を感じられる建物なのに、窓に鉄格子がはめられてる場所が多くて(それもデザインの一部なのでしょうが)、なかなか思うように写真が撮れないんですよね。。でも、6階の廊下からは兎が綺麗に見えました!

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チェックアウト。とにかくバブリーなので、今風のラグジュアリーを期待していくと肩透かしを食らうかもしれないし、一度経営破綻した今では、贅を尽くしまくったハードに見合うサービスは望めない。でも、そんなアンバランスさを差し引いても、刮目ポイントがたくさんありすぎて、大好きなホテルになりました。

アドベンチャーワールドへ。前来たのは祖父母がまだ元気だった頃だったなぁと入る前からしみじみしちゃった。事前WEB予約のみ入場可能でした。

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www.aws-s.com

ところで、アドベンチャーワールドって、近畿圏の人たちにとってはお馴染みのテーマパークだと思うのですが、もしかして全国的には知られてない…?(和歌山の尋常じゃない知名度の低さを知ってるだけに、おそるおそる)アドベンチャーワールドを知る身としては、上野動物園のパンダが全国ネットで話題になる度に、和歌山にいっぱいおんで…赤ちゃんも生まれてるで…と歯痒く思ってるのですが、アドベンチャーワールドネタはせいぜい関西ローカルニュースなんですよね。。るるぶ表紙を飾る施設すら知られてないかもしれないという恐怖にうち震えながら書くと、アドベンチャーワールドは、中国国外においてパンダの繁殖・飼育に最も成功している施設で、今はパンダ6頭が暮らしてます。その上、サファリ、水族館、マリンショー、遊園地の機能まで兼ね備えた、超一大スーパーテーマパークです!

エントランスはちょっとディズニーみのある風情。

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噴水に馴染むペンギン。

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屋内のペンギンコーナーはペンギン側がかなり密でした。長老的なペンギンに見据えられてたじろぐ。

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普通のパンダコーナーは、コロナ対策のために屋外からの見学のみで結露越しに目を凝らして見る感じだったのですが、ブリーディングセンターの方は人数制限しながらも割と近くで見れました。

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この体勢で寝ている。

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でも、結局はレッサーの方が可愛いよね‥。とてとて歩く感じが最高でした。

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サファリもコロナのため変則的で、電車っぽいケニア号か徒歩かの2択。肉食動物の見学は徒歩のみでした。遠吠えしているライオンを頭上から。

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時間が合わずマリンショーは見れず。アニマルショーは途中参加。アシカ、オットセイから、犬、フラミンゴ、インコまで鬼のように芸を披露しまくるショー。

気づけばライブパフォーマンスを観るのが3ヶ月ぶりぐらいで、まさか観劇復帰がアニマルショーになるとは思ってなかったですけど、あざらしが腹這いで出てきた瞬間に涙が流れましたよね…。そこからずっと泣いてた。構成の面白さ、動物たちの頑張りと(動物に芸を教えることにはあまり快くは思っていないけど)、スタッフさん達の楽しませようとする意気込みと、お客さん達のリアクション。あぁ…やっぱり生っていい…とじんわりしました。
アドベンチャーワールド、大人になって改めて行くと、78年開園の古さを全く感じさせないハード・ソフト面の充実ぶりを感じました。感動。しかも、これだけいろんな要素を抱えた複合施設だと、ただでさえ感染予防対策が大変だろうに、たとえば検温サーモカメラにパンダのぬいぐるみがついてたり、ソーシャルディスタンスの尺度が動物になってたり、全て一工夫凝らされていたのにもグッときてしまった。それだけ努力していても、動物へのえさやり・ふれあい系は全面中止、サファリ・レストランも一部休止してて本格営業には程遠いので、まだまだ苦労は尽きないんだろうな。生き物相手なので、休業、縮小営業してても莫大な飼育費がかかって大変だと思うけど、なんとか踏ん張ってほしい…。エールを込めながらアドベンチャーワールドを後にしました。

最後はとれとれ市場でお土産選び。海鮮類以外の和歌山名物(といってもみかんと梅くらいしかないが)も揃ってるので、全部まとめてここで買えちゃいます。日帰り温泉、宿泊施設も隣接してるので、結構楽しめそう。

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toretore.com

以上で、小旅行終了です!(こんなに外出したのが久しぶり過ぎて2日目は意識朦朧。車内で爆睡)

観光スポットがない!という自虐からスタートした旅行記だったけど、アドベンチャーワールド、ホテル川久、南方熊楠記念館(+マリンスポーツ)だけでも、かなり個性的で濃厚な経験ができるのでは…?という結論に至りました。
こんな状況なので、近郊への小旅行、あわよくば国内旅行できる…?というレベルがしばらく続くと思いますが、移動条件に合えば、ぜひ南紀白浜でコンパクトな旅を!

5月のたしなみ。(演劇・パフォーマンス配信編)

5月もほぼほぼ在宅勤務でした。4月以上に調子に乗って色んなコンテンツを摂取しまくったので、いくつかに分けて書いていきたいと思います。まずは演劇・パフォーマンス編!

劇団チョコレートケーキ「遺産」

 「遺産」と「ドキュメンタリー」は、両作観ればより楽しめる程度で考えていたのですが、両作観てようやく完成する、が正しかったです。

「遺産」は、1990年の日本が舞台。ある老医師の遺した戦時中の記録によって彼が封印してきた凄惨な記憶へ遡り、さらに、同じように過去を封印してきた人たちが戦後の日本社会をいかに生きてきたのか、その上で「遺産」とどう対峙するか、というかなりヘビーな話。
本当に当たり前のことなんですけど、作品の舞台になっている1990年ってまだ最近のようにも思えるけど、戦後45年しか経っていない頃で、戦争を経験した人(経験したからこそ当時の記憶を封印し、何も語ろうとしない人も)が数多くいた頃なんだなぁ…というところからのスタート。
老医師の死をきっかけに、第二次世界大戦中に現地の人達を対象に惨い人体実験を繰り返していた731部隊の実態、実験対象の”マルタ”として拘束され、命を奪われたある中国人女性 王さんの姿が淡々と描かれる。研究者として人体解明の志とそれに見合った高い頭脳を持ち合わせている人たちの集団なのに、倫理が失われ非人間的な行いがまかり通ってしまう。真の怖さは、”マッドサイエンティスト”的な個の問題ではなくて、倫理観の欠如を集団で共有化してしまっていること(それが、戦争というものなんでしょうが)。”マルタ”のように名付けのルール化、タスクをルーティーン化することで、どんなに異様な出来事も日常として呑み込めてしまうようになる。

自分や身近な人たちの誤りを忘却せず直視すること。誰しもが人間性を失う懼れを抱いて、いつも正しさを問いかけること。こんなにもシンプルなことがなかなかできないという学び。そして、王さんが言う「もう一度私たちを殺さないで」という言葉。”マルタ”として名前も尊厳も失い、命を落としていった一人一人の人生をなかったことにせず、未来に繋ぐこと。「遺産」は観た人全員に託されたよね、と思った。

実は1990年から30年も経っていて、今や戦争を知る当事者達はほとんどいない。一方で、加害の歴史に光を当てるだけで「反日」あるいは「捏造」と大炎上するような歴史修正がはびこり、特定のコミュニティどころか国民レベルで正しさへの態度を見失い始めている。1990年の世界から30年越しに託された遺産は更にずっしりと重く、どう対峙していけばいいのか、思考を巡らせ続けてている。

劇団チョコレートケーキ「ドキュメンタリー」

 グリーン製薬(ミドリ十字社)社員の内部告発をきっかけに始まる、非加熱血液製剤による薬害エイズ事件の話。3人芝居。フリージャーナリストがインタビューを続けるうち、グリーン製薬の利益重視の社内体質のみならず、企業と政府の癒着や医学界全体の腐敗が浮き彫りになっていく。やがて、会社の創業に731部隊の出身者が多数加わっていたことが明るみになり…。一見すると奇妙な因果に見えるけど、「遺産」と重ね繋げていくことで、731部隊の他者の命の軽視という根から太い幹が伸び続け、あちこちに枝葉を茂らせてきた結果だと腑に落ちる。記憶や記録を隠ぺいしたところで、無くならない。過去と向き合って清算してこなかった報いを最悪の形で受けることになる。この枝葉、まだ茂り続けてるよね?

劇団チョコレートケーキ「治天ノ君」

令和になった時の浮かれ騒ぎにドン引いていた事を思い出していた。西暦表記がスタンダードになり、天皇と時代がリンクしているとは思えない現代で、もはや元号に何の重要性があるのだろう…という去年の感覚との落差に揺さぶられた。それぞれの個性や志向性が反映されている天皇の御世としての明治、大正、昭和の三時代が描かれる。物語の中心になるのは、明治、昭和に比べて短く存在感が薄い大正天皇。「遺産」からさらに一歩進んで、大正を忘却するための明治時代復古や、病弱で無能な天皇のイメージを国民に流布して皇太子へ権力を移行させることで(明治、昭和天皇との歪な親子関係も面白い)、歴史の抹消のみならず、”書き換え作業”が描かれる。人としての尊厳ではなく、天皇という器の権威を守るため、時代の道しるべが大きく変わっていく。大正天皇の精神的・身体的な人間くささと、"現人神"とのズレ、ねじれは、現代の”生きづらさ”にも通じるテーマでした。

***

3作品ともめちゃくちゃ興味深く面白い題材だった!ただ「芸人と兵隊」を観た時の、学生さんに観てほしいなぁ…という印象から大きく覆ってはいなくて、演劇として面白いか/好みか、と聞かれるとそれはまた話がまた違う…。

kotobanomado.hatenablog.com

範宙遊泳「うまれてないからまだしねない」

音が文字としてプロジェクションマッピングで投影されるという特徴だけ知っていた劇団。取り留めのない日常から、ものすごいスピード感でSFに飛躍していきました…。飛躍したはずが、このコロナが蔓延る現実世界にそっくりという皮肉。(ということは、「天気の子」にも。)大雨をきっかけにして、今まで何の疑いもなく当たり前に過ごしてきた世界が、取り返しのつかないほど一変してしまって(あるいは、これまで直視してこなかったから一変したように見えて)、人との関係性も大きく変わりながら、それぞれが弱っていく。そこに、出産を控えた25年前の夫婦の時間軸が何度か挟み込まれていく。てっきりメインストーリーに登場する女性の両親だと思っていたら、実際には赤ちゃんは死産で”生まれてこなかった”。死、世界の終わりと、まだ生まれていない、世界の始まりが奇妙にクロスする… 不思議な作品でした。

庭劇団ペニノ「笑顔の砦」

臭いまで染み付いてそうな程、精緻に作られたアパートの1ルームが、同じ間取りで左右2つ並んでいる。左側には漁師の男性、右側には認知症の女性が住んでいる。思い出したのはアンジャッシュのこれ。

実際は全く無関係な行動をしてるのにお隣さん同士が見かけ上リンクするというコント。「笑顔の砦」は、同様の仕掛けもありながら、逆に全く共通点がなく交わらないはずの人間同士がたまたまお隣さんになることで、ほんの少しだけ人生に影響を及ぼし合ってしまう、という話でした。それは例えば「万引き家族」で、赤の他人が一つ屋根の下で共同生活を送るというようなコミュニティの形ではなくて、あくまで壁を隔てたお隣さんで、「困ったことあったら何でも言ってくださいね」と社交辞令を言いつつ、お互いの生活に興味関心はないけど、薄い壁を隔てて何かが聞こえてきたり、軒先から垣間見える時だけ自分とは異なる環世界が意識に上ってきて、自分の生活がほんの少し揺らぐというような。漁師たちのルーティーン化した永遠に続くような毎日も、ある日突然終わりが来る可能性もあるんですよね。あの脆い1ルームはそんな恐怖から身を守る最後の砦でもある。近くて遠い「そことここ」の話、面白かったです。

MONO「約三十の嘘

1シチュエーションのサスペンスコメディ。うーん…面白いシチュエーションに期待値が上がりすぎたのか、イマイチ爆発力に欠けるような気がしました。「約三十の嘘」というタイトルにもピンときてないので、単に私が台詞に隠れた深い意味(嘘)に気づけてないだけなのかもしれませんが。

iaku「あたしら葉桜」

今月観に行こうと思っていた作品の2018年上演版。岸田國士の戯曲「葉桜」朗読と、それを元に現代劇として書き下ろされた「あたしら葉桜」のセット上演。朗読劇の方は正直やや眠たい感じだったのですが、後半の「あたしら葉桜」は、「葉桜」の設定がこうアレンジされるのか…!という面白さに加えて、母娘の軽快な大阪弁のやり取りから互いの心の内と娘の幸せを模索し合う姿にこみあげるものがあり(独身over30ひとりっこなので…)気づくと泣いてました…。うぅ…これは生で観たかった。

Wir spielen für Österreich

 

オーストリアの公共放送ORFで放送されたドイツ語圏ミュージカルコンサート。Twitter情報では日本では観られないということだったんですが、先月一番の学び「bilibiliには大抵何でも揃っている」を元に、翌朝検索してみたらナンバーごとにチャプターに分かれた完璧な状態で普通にありました。(それはそれで怖い)https://www.bilibili.com/video/BV19i4y1x7fx?

 

Lukasが何言ってるかはわかりませんが何か良いこと言ってる風だったし、Markはリモートでもイケオジ街道まっしぐら、Thomasおじさんがご自宅からほのぼの弾き語りをしてくれたのも新鮮でした。驚いたのは、ソーシャルディスタンスを遵守しながらミュージカルナンバーを歌い継ぐだけではなくて、あえて衣裳やヘアメイク、照明や音響、そして観客といった舞台に欠かせない要素の不在や不完全さ、喪失感を際立たせた演出。こんな時だからこそ何事もなかったかのように華やかに、というのもエンタメの一つの答えなのだと思いますが、舞台を創る人、愛する人達の痛みや哀しみにも寄り添った今回のコンセプトが私には尊く、素晴らしく見えました。

 

SCRAP「のぞきみZOOM」

以前から気になっていたのぞきみカフェのオンライン版。芝居と捉えてしまうと内容のチープさは否めないのですが、現実世界と劇世界を橋渡す面白いギミックが盛りだくさんで、仕掛け絵本的に楽しめた。ジャンル的に正しく言うと、インタラクティブ芝居のようです。生配信は4月10日でしたが、しばらくYouTubeに公開されています。

ツイートしてた通り、かなりグッときてしまいまして…。他の脱出ゲームや謎解きゲーム同様、さまざまな仕掛けから収集した情報を元に、物語に介入して正しいエンドを目指すわけですが、この作品での目指すべきエンドは、実は両思いなんだけど障壁に阻まれてなかなか思いを伝えられないとある男女の背中を押すこと、そして、ふたりを祝福することなんですね。2人の思いを阻む理由こそゴリゴリのフィクションですけど、ゴールはどこにでもいそうなカップルの幸せというごく日常的なもの。見ている人達は、そのささやかな幸せに向けて、せっせとお節介をしていく。つまり、知らず知らずのうちに、モチベーションの原動力が善意になってるんですね。このお節介が見事に功を奏すと、めでたくハッピーエンドを迎えます。彼らからお礼を言われた後、ふと現実世界に立ち返ってハッとさせられる。普段からこうやって積極的に想像力を働かせて他者を思いやれていたっけ、と。逆に、たとえ物理的に人との関わりができない今のような状況でも、ちょっとした工夫で優しくなれるのでは、という手応えも芽生える。タイトルの「のぞきみ」という言葉の持つ後ろめたく剽窃的なイメージを見事に反転させる、しかもそれを自粛警察とか感染者差別とか日々耳を疑うようなニュースが流れてくる今、リモートで提案してしまうというところに、エンタメの粋を感じてグッときてしまったのでした。

「迷宮クローゼット」

オンライン演劇をリサーチしていて行き当たった作品。「ライブシネマ」と謳われていました。有名youtuberの方をヒロインにしているので、自宅からの配信というリアルさは担保されてるわけですが、そこから一気にファンタジーへ持っていく力技はうたい文句の「ライブシネマ」(ライブ映像だけでなく前撮りしたパーツを挟み込む)ならでは。面白いのは、ファンタジーの力を借りて伝えられるメッセージがyoutuberの強い自意識で、それに共感・感動するコミュニティ達が発信する無数のリアルタイムコメントを物語に織り込んでいくこと。私はアーカイブで観ました。内容はなかなかきつかったのですが、リアルタイムで3万人が視聴していたという情報は作品の出来としてとか自分の好みはひとまず置いておいて、受け止めなければならないと思いました。

東京03リモート単独公演「隔たってるね」

 

冒頭の飯塚さんの言う通り、通常の単独公演と比べるとさすがに完成度が劣る気がしたけど、それでもZOOM縛りでこんなにバラエティに富んだコント作りができ、しかも構成・演出がしっかりついて1本の作品になっていたのは感動。 

ハイバイ「ワレワレのモロモロ 東京編」

出演者それぞれの「酷い」実体験を演劇として立ち上げる、7つの短編集。オンラインで観るのにちょうどよい、エッセイのような、漫画のようなのびのび感で心地よかった。これは演劇に対して初めての感覚かも。「『て』で起こった悲惨」みたいに振り返れば笑えるものから、これでディープな長編芝居が書けるのでは…という心底恐ろしい「深夜漫画喫茶」まで、酷さの濃淡は様々。トリの「きよこさん」のインパクトと情緒には頭をガツンとやられ、笑い泣きしてしまった。うん、「きよこさん」はずっと忘れられないと思う。

 劇団ノーミーツ「門外不出モラトリアム」

Twitterの動画でバズった劇団ノーミーツの有料公演。私が観た回は「再演」とのことでしたが、1600名の視聴でした。合計で5000名程だったようです。すごくないですか…?

PVがめちゃくちゃよく出来ていて期待が高まったのですが、冷静に考えてみて、普通の映画・演劇でも2時間もの長尺作品を製作するのは至難の業なのに、制約の多いリモートならなおさらですよね…。オンラインならではのギミックやコンセプトが光ればSNSではバズるけど、この尺はそれだけでは持たない。問われるのはどこまでいっても…というより、飛び道具を扱うからこそより基礎力が重要になるんだなと思いました。(数か月前に選択型演劇を観に行った時と全く同じセリフ)でも普段演劇を観ないような人たちも含め、ネームバリューがほぼなく純粋に”面白さ”が動機づけになっている作品に2000~2500円払って観てるという現象は特筆すべきだし、その人たちにどうやって劇場まで足を運んでもらうか、ということは真剣に考えるべきですね。

DAZZLE「Labyrinth 東京C」

 

オンラインイマ―シブシアターと銘打った短編作品。ミニクリップの中で物語の続きを選べる二択が出てきて、youtubeコメント欄の多数決で次の映像が配信される。システムが想像以上に原始的で切れ切れ視聴になったけど(今は再生リストになってるので、映像の選択はできませんがシームレスに見れます)、雰囲気がとてもよい(「サクラヒメ」のトラウマをまだ引きずってた…)!!次回作「NORA」のプロモーションを兼ねた企画だったようで、こういうプロモーションの仕方って、イマ―シブシアターに限らずできるよね…(作品・キャスト情報はまた別素材で作るとして、世界観の提示)と思った。

リモート演劇の旗手たちに聞く

めちゃくちゃ面白かったですね…。オンライン演劇を企画・上演するためのアイディアからテクニカル面の気づき、工夫。オンライン演劇の可能性、そもそも演劇やコミュニケーションの本質とは…?という内容。たとえ実際にオンライン演劇を実施せずとも、この状況下での可能性や傾向を模索するために、演劇関係者は見た方が良いと思った。

***

余談。

5月の演劇関係はこんな感じでした。オンライン演劇、盛んになってきましたね。海外作品の情報も目にしていたのですが、言葉のハードルが高くて試聴を諦めました…(語学力0)。あ、英語力がなくても大丈夫という噂の「Eschaton」には6月参加予定です。

chorusproductions.ticketspice.com

あと、Disney+で「ハミルトン」が配信されるようなので、それは観てみようと思ってます(サブスク沼)。

***

苦境を迎えている演劇業界ですが、様々な制約のある中でも、演劇体験、あるいはジャンル横断的な新たな体験の可能性を模索する動きが同時多発的に起きていて(それは演劇業界に限らず、旅行、飲食などでもですが)、とても心強く、ワクワクしています。一方で、(こちらではあまり仕事の話は書かないようにしようと思ってますが)演劇関係者の端くれとして焦りも感じています。モノからコト消費が急激に進んでいた中での突然の接触NGの流れなので、今後「体験」に対しての欲求や価値観とそれに応えるサービスの在り方が大きく変化することは確実。でもそれがどう転ぶか、まだわからない…。とりあえず今目標にしたいのは、劇場再開できて良かったね、じゃ元通りで!以上!ではなく、演劇体験の濃度や付加価値のバリエーションについて引き出しを増やして、これまでの演劇体験+αの取り組みができないか、ということ。ピンチをプラスに捉えたい!

最後に、オンライン演劇をいくつか観た気づきメモ。

・ 劇場は非日常へと導く滑走路的な役割をしているけど、画面のこちら側も向こう側もド日常(自宅)から始まってしまうので、物語を非日常へいかに飛躍させるか(テクニカル面での課題でもある)。劇場では、パフォーマンスする側と観る側が、一回限りの場と時を共有する一方で、オンライン演劇では「時」しか共有できないが、劇場にはないそのド日常性を活かして、なおかつ同時性の証明のために、画面のあちら側とこちら側の場をいかに結び合わせるか、の実験。

・客席から舞台面に没入させるという一つの大きなベクトルではなく、注意散漫(マルチタスク、マルチデバイス)的な作り。コメント実況(それが物語に組み込まれる。メタ的な視線。)や見ながらリサーチする仕掛け。これも「時」の強化に繋がるが、観客の年齢や普段のデジタルデバイスの使用方法によっては、これが効果的ではない場合もある。 

4月のたしなみ。

生活が一変した1か月でした。いきなり在宅勤務になったので、自分でも驚くほど規則正しく食べて寝てるし、こんなに両親と話すのも猫と過ごすのも、人生初かもしれない。不思議な気分です。仕事に関しては不安しかないのですが、悲観しすぎず、楽しいことを見つけながら日々穏やかに過ごそうとしています。

<ライフスタイルの変化によるあれこれ>

・noteを書きはじめました。

ノマド。|note

2月まで「よもやま」というタイトルで、嗜んだものと日常についてまとめて日記形式で書いていたのですが、日々のどうでもいいこと、でも意外と大事なライフログはnoteに書くことにしました。


47都道府県制覇
旅行予定が飛んでしまったので、旅行欲を満たすため妄想旅行を企てることに。どうせやるなら47都道府県制覇を目指そうという企画です。国内だけでも行きたいところが無数に出てきますね。気楽に日帰り一人旅も行きたいし素敵な宿でゆったりもしたい…。気が向いた時にぼちぼち更新しています。

kotobanomado.hatenablog.com

 
・オンライン会議・お茶会
在宅勤務が始まってから定例のオンライン会議が開催されるように。会議中、裏でLINEやチャットを送りあってオンライン画面上でほくそ笑むという遊びにハマってます。先日ついに部署回覧メールに「悪い顔して笑ってる」と名指しで告発されました。プライベートではオンライン宝塚観劇会を開催。

・プライムビデオ、NETFLIXとサブスク
ほぼ仕事らしきものがないとはいえ一応在宅勤務なので、メールを気にしながら映画が見られるように、と、軽い気持ちでAmazonプライムに入ったらハマった。↓の映画はほぼプライムビデオ(レンタル含む)で観たもの。無料お試し期間が終わっても、このまま継続すると思う。NETFLIXは「バンダースナッチ」が観たいがために加入。こっちは気になるコンテンツをいくつか観たら解約予定。(ただし「バビロンベルリン」が配信されたら即舞い戻る)
ちなみに、サブスクはこの2つ以外にApple Musicと楽天マガジンを活用中。
楽天経済圏に生きてるので本当は音楽系も楽天にまとめたいのはやまやまなのですが、邦楽が多いらしく二の足を踏んでいる。そういえば、プライム会員になると音楽も聴けるんですね!ただし曲は限られている。unlimitedにランクアップすると一気に曲数が増えるけどApple Musicより割高になるので、それもなーと思って、結局Apple Musicのままにしています。仕事で忙しい時は、なかなか本や映画・舞台を楽しめる時間がなくて音楽が頼みの綱になるし、逆に今みたいにゆっくり時間を過ごす時も音楽のある無しで全然気分が違ってくるので、心のお守り代りとして音楽が聴ける環境はできるだけ維持しようと思います。よく聴くのは、Tatiana Parra、Andre Mehmari、Andres Beeuwsaert、藤本一馬、椎名林檎東京事変、Sleep no moreのプレイリスト。
楽天マガジンはポイントを使って年間契約したのでほぼ無料の感覚(しかもスタートボーナスチャンスの事前エントリーで1000ポイントもらえる)。普段、紙では買わない雑誌も気軽に読めるので、自然と情報量が増えてありがたい。るるぶが読めるようになったのも最高。
この自粛期間中に魅力的なサブスクが増えてきているので、5月もうっかり課金すると思う。

ipad
楽天マガジンを使い始めてから欲しいなーと思ってて、プライムビデオが最後の引き金になり購入(会社のノートPCで観たろ、と思ったらセキュリティーのせいか全く見れない罠)。通勤時間が長いので、自粛生活が終わった後にも活躍してくれそう。

・運動
腹肉、腰肉のヤバさに目を瞑り続けてきた挙句、1年ぶりぐらいに体重計に乗ったらかつて見たことのない数字を叩き出したので、いよいよ運動する決心がついた。夏までに-2kgとスタミナ・しなやかさアップが目標。今年中にさらに-2kg頑張りたい。主に↓のアプリで朝夕併せて小一時間くらいストレッチして縄跳びもしてる。(二重跳びを20回跳べたのは自慢したい)
ストレッチSworkit

ストレッチSworkit

  • Nexercise
  • ヘルスケア/フィットネス
  • 無料

apps.apple.com

Lotus | Yoga and Meditation

Lotus | Yoga and Meditation

  • Labmobil
  • Health & Fitness
  • Free

apps.apple.com

ヨガは初体験なのですが、びっくりするようなポーズを要求してきますね…。英雄2のポーズだけめっちゃカッコよくきまります。


・引っ越し
仕事上の都合で別宅として活躍したマンションにさよならをしました(ようやく会社負担でホテルに宿泊できることになった)。スポット的に使ってたので、棲む、まで行かなくて一人暮らしもどきにしかならなかったけど、それなりに思い出は染みついている。徒歩圏内に文化施設があって、選びきれない程美味しいお店があるという人生初の贅沢な経験もしました(逆に田舎の良さも実感できましたが)。
メニエール再発もなく心身健やかに仕事に励めたのはこの部屋のおかげ。図らずしも在宅勤務に入ってからの引っ越しだったので、丁寧に、思い入れたっぷりにお別れできてよかったです。いやー、それにしても薄給の中よく5年も家賃払ったわ…!

・テイクアウト
引越しの作業日はこの5年で出会った大好きなお店のテイクアウトを楽しみました。
☆クイントカント

テイクアウトのみの営業。肉々しいボリューム満点パニーノ。

☆農家厨房
ボリューム満点の美味しい中華。
☆レ・グーテ
家にずっと閉じこもっているので、久々に美しいものをライブで見て、思わず、うわぁ…!と心の声が口から漏れ出ました。至福の美しさ、美味しさ。


<家で楽しむ舞台作品>
・キネマの天地
演じることに取り憑かれた人たちの話。「十二人の手紙」を読んだ時もびっくりしたけど、井上ひさし氏はこういう仕掛けの多い芝居も書くんですね。スリリングで面白かったし、役者さんがみんな上手い。


・bilibili、おすすめ宝塚ショー
宝塚の動画が全編上がりすぎていて、もはや何でも取り揃えているのでは疑惑。もちろんおおっぴらに許されることではないので、密やかに楽しんでいきましょう。Twitterではネットで観れるおすすめショーシーンを不定期に呟いています。

twitter.com

 

<家で楽しむ映画&ドラマ>
・「トリックラストステージ」と「フッテージ

 

note.com

・「アンフレンデッド」シリーズ

  

似たようなZOOM演劇作品をきっかけに、こういう時にこそ(できればPCで)観るべき映画やな…と思って手を付けたシリーズ。2の方がマルチタスク感があって、全編PC画面上という仕掛けが活きてる感じがした。ただ、見知らぬパソコンは絶対に持ち帰ってはならぬという教訓は強烈に植え付けられたけど、同じ仕掛けであれば「search」を強く推したい(全然怖くないです)。ちなみに、前回のオンライン会議で、顔も映らず声も発しない見知らぬIDがいつの間にか参加しているという、「アンフレンデッド」展開にざわついたんですが、営業のおっちゃんでした。ただ慣れてないだけ。

 

・「ハッピーデスデイ」シリーズ
 

スプラッター系かなと敬遠してたら、実はSFという情報が流れてきて観ました。「恋はデジャブ」と「オールユーニードイズキル」のいいとこ取りみたいな感じで、面白かった。2ではループ&パラレルで「バックトゥザフューチャー」感も出てきて、さらにしっちゃかめっちゃか。

 

母なる証明

ポン・ジュノ監督。ボルテージの高いまま拗れまくっていく気味の悪い映画。ずっと不穏。忘却のための踊り。

 

・MAMA

母なる証明」の翌日観たので、おのずと「怖いお母さん」シリーズになった。結末のママにはツッコまざるを得ませんでした。

 

謝罪の王様

男女、親子、芸能人/一般人、異文化…色んな関係性において発生する「意思疎通不全」と「分かり合えなさ」による失敗と謝罪オムニバスストーリー。ごりごり皮肉って笑わせてくれるかと期待したら、切れ味鈍く中途半端に終わってしまった。かなり根っこの部分での「分かり合えなさ」を扱っているだけに、結局相手をナメくさったまま形ばかり謝罪して、何となくいい話風に落とす、というのが無理でした(特にセクハラエピソードが)。

 

・ウエストワールド

子供の頃好きだった「ドラえもん のび太と銀河超特急」の元ネタという情報を目にしてから、ずっと観たかった映画。いわゆる「ロボット反乱もの」なのですが、中世ヨーロッパ、古代ローマ、西部開拓時代と3つの世界を体験できる巨大テーマパークが舞台になっているので、そのイマーシブ的なワクワク感も楽しめるし、スタッフ達のストーリー操作がメタ的に出てくるのも面白い。途中から「ジュラシックパーク」のロボット版やなこれ、と思ってたら、原作者同じでした。が、「ジュラシックパーク」と違って限りなく人間に近いロボット相手の世界なので、現実世界では許されないインモラルで攻撃的なイベント(殺人、暴力、買春、セクハラ)を娯楽として楽しみ、他者を支配、搾取する男性(と括ると語弊があるでしょうか…)と、拒絶、復讐を企てるロボット(見た目は人間そのものなので、現実世界で搾取される弱者とオーバーラップする)っていう設定がより面白く感じた。反旗を翻すガンマンロボットにはユル・ブリンナー。「荒野の七人」とか西部劇のイメージが付いているからこそのキャスティングなんですね。観てなかったからこのおもしろさに気づけず悔しいー。

・バンダースナッチ

www.netflix.com

Twitterでバズっていたのが気になり、これを目当てにNetflixに入った。Netflixオリジナルドラマ「ブラックミラー」の特別版という位置づけらしいのだけれど、映像内に何度も二択の設問が表示され、こちらの選択によってキャラクターの行動が決定し、物語が変化していくというインタラクティブドラマ。分岐点でも映像がほぼシームレスに再生されたり、選択に応じていくつもエンディングが用意されていたり、リピートを前提にした作りになっている、というテクニカル面もすごければ(ゲームの世界では当たり前かもしれませんが)、ストーリー自体がこの「分岐」や「リピート」を軸にしていて、このインタラクティブ性に潜んだうっすらとした気味悪さを体現してしまっているのがまたすごかった。具体的に言うと、主人公は幼少期に自分の選択ミスで母親を死に追いやってしまったと思いこみトラウマを抱える若きプログラマーで、母が遺したアドベンチャーブックをそのままTVゲーム化させようと開発を進めるうちに、自分が取り組む分岐型ゲームのように自分の行動もまた外の世界の誰かに選択されている結果なのでは…と精神耗弱していき、やがて外の世界の誰かの存在(我々)を悟ってしまう、っていう見事な入れ子構造になってる(もっと言うと「Netflix」という言葉やお遊び映像まで出てきて、さらに大きな入れ子構造)。そして、主人公の憧れる先輩プログラマーは、明らかにリピートやパラレルリアリティの中に自分達が存在することを把握した発言をして、主人公と私たちを動揺させる…。そんな醒めない悪夢感も含めて、かなり面白かったです。

 

<漫画と本>
こどもの体温

読み逃していたよしながふみさんの漫画。父子家庭の親子を中心にしたオムニバスストーリー。よしながさんの書く人間関係の温度感がたまらなく好きで、心地いい。

 

・ハイウェイスター

男の人の漫画だな…と思った(雑な感想)。「星霜」、「あしたの約束」、「さよならのおみやげ」が好きだった。

・来てけつかるべき新世界

ヨーロッパ企画 上田さんの、大阪 新世界を舞台にしたSF戯曲。大阪弁の応酬があまりにキレとテンポが良いので、大阪弁話者として幸せを感じてしまった。レトロな街 新世界にほんまもんの「新世界」が到来するそのギャップや、ユートピアなのかディストピアなのか測りきれない独特の味わいがめちゃくちゃ面白い。舞台でも観てみたい。

・遭難、

初本谷作品。あとがきにあるように「トラウマをよりどころに生きている女が、逆にトラウマを解消されちゃって遭難する話」。この里見先生を松永玲子さんが演じてたみたいで、うわぁ、ぴったり…と鳥肌がたちながら読んだ。そして、日本ってまだトラウマをよりどころに生きてる里見先生に似てない…?と思った。

3月の嗜み。

3月は必要に迫られた戯曲中心の嗜みでした。今思えば、この頃はまだ少なからず出歩けてたな…(遠い目)
 
<『ボディガード日本版』@梅田芸術劇場メインホール>
来日版が酷かったので、意外と感情移入出来て楽しめたことに衝撃を受けた。kotobanomado.hatenablog.comライブシーンの照明・音響は来日版同様ド派手。一方、面白映像とかお姫様抱っこスモーク影絵が無くなって、全体的にはとてもオーソドックスになっていた…残念(期待する箇所が違う)。迫力の新妻ボイスに、AKANE LIVさんの女神のような輝き。大谷さんは初舞台の不慣れな感じが役柄にダブって面白い。レイチェルの取り巻きそれぞれ個性が出てて、掛け合いシーンが思いのほか面白かった(内場さんが可愛い)。でも、ボディガードのヘッポコぶりは変わらないですね…。山小屋は相変わらずのノーセキュリティ、ドアノブに鍵穴すら見当たらなくて笑いました。まさか、ここからこんなに長い間舞台を観れなくなるとは…もっと笑いどころ探しとけばよかった
 
<ミッドサマーとパラサイト(パラサイトは2月だった気もする)> 
 
<コニー&カーラ>
お熱いのがお好き』、『天使にラブソングを』的な変装逃亡劇。『へレディタリー』のトニ・コレットが今回も抜群の表情筋でドラァグクイーンになり切っていた。一方のニア・ヴァルダロス氏は経歴がすごい。2004年の映画なんですが、ドラァグクイーンの「呪い」が解けたヒロインとストレートの男性が結ばれるのを無邪気なハッピーエンドにするの、ちょっとキツさを感じた。
 
<ニューヨーク 最高の訳あり物件>

元妻と元々妻のバトル。思ったよりシリアス寄りで、元妻がイライラし続けているのが辛かった。
 
<チルドレン>
ルーシー・カークウッドに興味があって観た。明らかに3.11後の日本の原子力汚染地域がモデルになっている。原発事故までの日常からどれだけかけ離れてしまっても、そこにはアクチュアルな生活が、命が、死に向かう生があるだけ。『チェルノブイリ』を思いだした。正直、役者さんの芝居と戯曲がしっくりきてるようには見えず、引っかかった。
 
<愛と哀しみのシャーロック・ホームズ
はちゃめちゃに面白すぎた…(放心)。笑いにほろ苦さに推理に、縦横無尽に織り交ぜた完璧すぎる脚本だったし、身悶えするほど愛おしいキャラクター達、世界観で、世の中にこんなに楽しいコンテンツがあっていいのだろうかと震えました。エンタメ万歳。

 
<またここか>

「不倫と初恋」の軽やかでシームレスな会話とは真逆。気味の悪い間や明後日の方向の受け答えばかりで会話は破綻しているし、ストーリー展開も不穏。そんな中でも「うっかり陰毛」と「うんちここにあったんだ」のくだり(こう書くとただの下ネタ)は坂元裕二さんらしくて一気に求心力を増してくる感じがした。そしてこのくだり。
前だけじゃない、後ろにも行ける。小説に書くのは二つのこと。本当はやっちゃいけないこと。もうひとつは、もう起こってしまった、どうしようもなくやりきれないことをやり直すってこと。そういうことを書く。そこに夢と思い出を閉じ込める。それがお話を作るってこと。
書き手もまた痛みを打ち消すために筆を執っている。
 
<開幕ベルは華やかに>
「来月に迫った帝劇公演の脚本家が降板」というこの世の地獄から始まる推理小説…というジャンル分けになってるけど、推理小説として読むと肩透かしかも。でも、バックステージものとしては最高に面白いです。東宝と松竹と思しきライバル会社が登場。帝劇でW主演する松竹の二枚看板が二人とも全編プロンプター付き、おまけに女優の方は勝手に幕切れの台詞、演出を思いのままに変更、脅迫電話の身代金を東宝・松竹どちらが負担するかのなすり付け合い…ページをめくるごとに地獄絵図が広がって笑えました。そして、有吉佐和子らしいシニカルなオチ。
 
レティスとラベッジ>

面白かったー。懐古主義に走るわけでも現実を呪うわけでもなく、ユーモアをもって現実に立ち向かうカッコよさ。私のイメージではレティス高畑淳子さん。
 
<トランス>
現実と妄想が入れ替わり立ち替わりしていって、最終的に読む側もトランス状態になってしまう戯曲。
 
<カズオ>
二兎社の二人芝居の戯曲。二人で何役も早変わりをするけど、物語のキーマンになる「カズオ」は演じず、目に見えない、というのがミソ。
 
デュ・モーリア傑作集>
めちゃくちゃ面白い。怖さの色合いも違えば、仕掛けのバリエーションも豊か。「鳥」は世界の終わりすぎて凍り付いた。あんまり性別で分けるのもあれですが、女性作家の淡々と抉るような怖さ、大好き…。
 
<マイブロークンマリコと心臓>
 

どちらも漫画でしか成立しえない表現が詰め込まれてて面白かった。前者は躍動感・スピード感が、後者は暮らしの肌触りみたいなものが特に。特に後者はまた度々読み返すと思う。

 

<絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男>

自分はBL漫画のモブキャラだと自覚している男子高校生が主人公。BLあるある展開をメタ的に把握して、BLフラグを徹底的に回避していくという面白いアイディア。

 

<プリティウーマン>
Mark、イケオジすぎません…!?(息も絶え絶え)(ただそれが言いたいだけで動画を貼る)
 
<バビロン・ベルリン>
YouTubeでMarkにニマニマしてた流れで見つけたのがこれ。
これだけでも十分伝わると思うんですけど、センス抜群。運良くGYAOで無料配信中だったので一気見してハマってしまった。音楽とか世界観が『スリープノーモア』っぽい(と勝手に思っている)し、第一次世界大戦後のドイツを舞台にしてるので、『1917』『彼らは生きていた』の記憶が鮮明なうちに見れてよかった。精神を病んだ元軍人たち、ロシアのスターリン政権を転覆させようと企むトロキスト、不況にあえぐドイツ国内の政治対立、謎の組織とスパイが混沌と絡み合って、歴史ドラマとしても勉強になった。Season2観たい…。
 
<スリープノーモア上海>
動画のライブ配信が始まりました。といっても「スリープノーモア」の、というわけではなく、パフォーマーによるオリジナルショー。めちゃくちゃ手作り感満載だし、パフォーマンスのクオリティが高いわけではないんですが、何より上海に戻ってきてくれていて再開に向けての一歩を踏み出した感があって、とても嬉しい。(5月からの再開、決まりました!)
 
<庭園の宿 石亭>
経営が厳しいのかハガキが来ていた…。あわよくば再訪を狙っている超おススメ旅館なので、広島旅行を考えてる方、落ち着いたら是非!

kotobanomado.hatenablog.com

 

東京の老舗巡りに味を占めたので、今度は大阪。予想通り空いていた。店構えも店内も、いせ源、みの家の流れを汲みすぎで(全部K先輩と行ってるし)デジャビュ感がすごすぎた。ケチャップが独特で美味しい。たどり着くまでに大黒を通った。ここはかやくご飯で有名なお店らしくて、戸の隙間から出汁のいい香りがした。次は、この大黒とマツバヤを攻めたい。
 
・ベジタブルキッチンONION

『CHESS』@梅田芸術劇場メインホール 感想

演出・振付:ニック・ウィンストン

出演:ラミン・カリムルー、サマンサ・バークス、ルーク・ウォルシュ、佐藤隆紀LE VELVETS)  /エリアンナ、増原英也、飯野めぐみ伊藤広祥、大塚たかし、岡本華奈、河野陽介、柴原直樹、仙名立宗、染谷洸太、菜々香、二宮愛、則松亜海、原田真絢、武藤寛、森山大輔、綿引さやか、和田清香

『CHESS』はこれまで日本人キャストでコンサート版2回、ミュージカル版1回上演。皆勤賞で観てきました。今回は新シリーズ?のようで、主要3名とクリエイティブチームのみ招聘、その他キャスト・スタッフは日本人という共同製作バージョン。

感想を一言で言うなら、歌がうますぎる、に尽きる。アナトリー役のラミンは安定した伸びのある声、フローレンス役のサマンサはどの音域も癖なくオールマイティに、ルークのフレディは声が細めで2人に迫力負けしている感はあるけど、高音までしっかり。特に、Pity the Childは背景のスクリーン、酒瓶やドラッグの小道具も手伝って、孤独な叫びとして研ぎ澄まされたシーンになっていた。この強力なプリンシパル3人に加わるのが、アービーター役の佐藤さん。朗々とした歌いっぷりで聞き劣りせず存在感も充分、カッコ良かった。アナトリーの妻スヴェトラーナにはエリアンナさん。サマンサとのデュエットも堂々と渡り合っていて歌唱力的には素晴らしいけど、スヴェトラーナのニンではない。モロコフは二期会の増原さん。さすがオペラ歌手の方だけあって、ミュージカルではなかなかお目にかかれないバスの響きを堪能した。

セットは、階段がメインで奥にスクリーン、サイドにバルコニー的な迫り出しというありがちなもの。ただし、階段に一捻りあり、段差が大きく素材感も重厚で、それ自体に腰掛けて芝居したり小道具を自然に足し込むこともできる。それに、垂直面が抜けているので、舞台奥から照明を当てると全く違った表情になって面白かった。スクリーンには冷戦下の状況や心象風景を映して、時代背景を補足。うん…舞台の映像って、国内外問わずダサいですよね…。

さすがにこれまで3回も観てきているので、オギー版のあれこれが至るところでフラッシュバックする。わたしはCHESSの悪魔的な旋律にぞっこんなので、その引力に思いっきり引き寄せられたようなオギーのファンタジックな演出は嫌いじゃなかった。

チェスの才能によって政治利用されながら自身の自由を勝ち取ろうとするアナトリー、辛い人生から逃げるようにしてチェス=ようやく手にした自己表現として奔放に振舞うフレディ、感情を封じ込めてチェスを通じて理性的に物事を見極めようとするフローレンス。それぞれを取り巻く国家の思惑や取引と3人の立場、感情が入り混じりせめぎあう…とても複雑に…。今回のバージョンがこのCHESSの物語を明確に描けてたのか、甚だ疑問。フリー素材みたいな冷戦のイメージ画像は山ほど出て来たけど、国家同士の駆け引き(そしてそれがCHESSと重なり合う様子)はほぼ無かったし、フローレンスの父親についても尻切れトンボ。歌詞や台詞も、何言ってるかわからなかったのはオギーのせいかと思ってたけど、今回の字幕を読んでも全くわからなかったですね。字幕がこなれてないように思えたし、あまりに概念ばっかりで結局思わせぶりだったので。となると、どうせ描けてないなら、美しいオギー版でいいやん、ってなった。作品の出来からしてミュージカルとしては穴が多いので、コンサートと割り切って楽曲を堪能する方がいいんでしょうね…いつかミュージカル版として完成するのを見てみたい気もするけど。。

さて、オギー版を思い出したところで。日本版の記憶も大事に留めておきたいと思います。

natalie.mu

 

イマーシブ的なもの。

USJの「ホテルアルバート」でイマーシブシアターの存在を知り興味を持ち始めてから早2年経ちました!「没入体験(immersive experience)」関連の記事が増えてきたので、まとめてみます(随時更新)。ただし、「イマーシブシアター」や「イマーシブエクスペリエンス」に関しては、まだ定義が揺れていることも多く、自分の感覚もとても曖昧なので、イマーシブ「的なもの」と濁し、あまり深く考えずピックアップしてます。(例えば、「エブリ・ブリリアント・シング」はイマーシブシアターではないと思ってるけど、観客参加型という意味で入れてます。)

 

<ボルタンスキー lifetime展@国立国際美術館

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<ホテルアルバート2@USJ

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庭劇団ペニノ「蛸入道忘却ノ儀」@京都ロームシアター>

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<Trans KOBE2019 グレゴール・シュナイダー>

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<Port B 個室都市東京@TOKYO2021>

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<スリープノーモアin上海>

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愛丽丝冒险奇遇记(Alice'sAdventures Underground)in上海

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<ファントム@梅田芸術劇場メインホール

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VR ZONE UMEDA>

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<サクラヒメ南座

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<1917>

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<エブリ・ブリリアント・シング@茨木クリエイトセンター>

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