だらだらノマド。

趣味、日常をゆるゆる綴るライフログ。

ブリュク的にはクー!な2週間。/3/4~16よもやま。

3/4(月)

仕事。詳細忘れた。

3/5(火)

『芸人と兵隊』@兵芸を観る。作演出をそれぞれ劇団チョコレートケーキの古川さん、日澤さんが手がける、トム・プロジェクトプロデュース公演。「まほろば」の演出だったり、

TwitterのTLで「ドキュメンタリー」が好評だったりで、劇団チョコレートケーキが気になっていたのと、「夫婦漫才」「おもろい女」みたいな漫才×演劇が前々から観たくて、チョイス。

日中戦争中に戦地に派遣された慰問団「わらわし隊」。昭和16年に派遣された、漫才師2組、落語家、漫談家 の旅を6人芝居で綴る。漫才や落語を役者が実際にこなす難しさはある程度予想した通り。社会派と聞いていた劇団チョコレートが描く「笑い×戦争」が期待していた割に、通り一遍という感じ。道徳の授業で学校団体が見にくるような、お行儀の良い舞台で、悲しいことにまったくと言っていいほど心に刺さらなかった。やっぱり劇団を知るには劇団公演を観なければいけないということですね…。(大阪にはまったく来ないけど)

村井国夫はいつもの村井国夫。「来る」の超能力者役が激ハマりしていた柴田理恵さんが、チャーミングに場を和ませる。他はトムプロジェクトの役者さんで、こなれ感が薄い。

3/6(水)

会社の先輩と新地ランチへ。恐ろしいコスパに白目を剥く。


3/7(木)

会社の先輩より、ロシアンカルト映画祭@シネヌーヴォの情報が。Twitterで話題になっていた

不思議惑星キン・ザ・ザ』が上映されるということで、会社帰りに観に行ってみる。

街で偶然出会った男二人が、ひょんなことから砂漠の惑星ブリュクに瞬間移動してしまい始まる珍道中。この惑星での言語は「クー!」のみ。強烈な階級制度が蔓延り、ほとんどが貧しい暮らしをしているが、その社会的階級や差別を受け入れ、むしろそれを生きがいにして暮らしている。この惑星でやたら珍重されるマッチで取引しながら、遥か地球への帰還を目指す。

これが、まー、ゆるい。気の抜けるようなオープニング曲、銅鐸型でゆるゆると飛んでいく宇宙船に、クー!を連発する汚いおっさんたち。「スターウォーズ」のような心踊る設定もキャラもガジェットもなく、憧れ0の世界が果てしなく広がっていた。正直ストライクゾーンにはハマらなかったけど、それでも、おじさんとヴァイオリン弾きが、体に染み付いた「クー!」で互いを想起する再会は、あたかも「君の名は。」のようで、ジーンとくるものがあったり。

3/8(金)

仕事。

3/9(土)

楽天スーパーセールでカメラを買うか、悩み続ける。ミラーレス持ってるのに、またミラーレスが欲しい。『君の名前で僕を呼んで』を観る。え?美しすぎない?美のキャパオーバー発生。

kotobanomado.hatenablog.com


3/10(日)

親戚のお葬式へ。去年から父方の祖父と親戚たちが立て続けに亡くなり、お葬式や法事に出まくっている。おかげで親戚ともコンスタントに会いすぎて、話題も絶えてしまった。どうやら長命の家系らしく、みんな90〜100歳の大往生なのだけれど、それはそれでやはり辛いものがある。今度亡くなったのは90を超えても綺麗にお化粧、オシャレをして百貨店に買い物に行くような、溌剌としたおばさま。でも私は最期の数年を知らない。棺の中をのぞいて、「老い」の強大なインパクトに頭を殴られる。痩せこけた顔はわたしの知ってる、豪快で朗らかなおば様には到底見えなかった。わずかに残る黒ずんだ歯からQOLがうかがえる。「生きる」って一口に言っても、その意味は無数にある。

改めて、すごい儀式だなと思いながら、お骨あげに参加。骨拾うて!業者によって説明も指示も全然違って、容赦ないところは何も言わずに骨をバリバリ崩していく。あれもすごい。お正月、親戚一同賑やかに集まっていた頃から、いつのまにか四半世紀も経っていた。そりゃあみんな歳とるし死ぬわけです。今でも賑やかなお喋りや笑い声は容易く思い出せるのに。声の主たちはみんないなくなってしまった。もう平成が終わろうとしている。

アンニュイな気分のまま、ベッドに入ってカメラをポチる。そのまま安眠。

3/11(月)

低気圧で憂鬱な朝。エリオとオリヴァーをスマホ待ち受けに召喚し、心に平安が訪れる。

『ヘンリー五世』を観る。色々思うところのある舞台。

kotobanomado.hatenablog.com

3/12(火)

2.5次元の知識を得る必要性に駆られる。というより、とっくの昔から必要だったのを先延ばしにしてただけ。演劇にしても他のエンタメにしても、知識を増やせているんだろうか。

むしろ退化しているような…反省。職場に「またここか」のプログラムが転がっていたので、拝借。

帰って、藤田俊太郎氏の特番を神妙な面持ちで、見る。「理解できない」「解釈が浅い」とばっさり斬られ怯んでいるうちに、演出家の実権はトムに移る。「僕を信頼してよ」と助け舟を出すトム。空気を読みながら、顔を立てながら、なんて日本的な気遣いは一切なく、藤田氏に目もくれず敏腕を振るっていく。とんでもなくシビアな光景だった。プレビュー後、ラストシーンの演出変更を提案、通訳を交えて藤田氏自ら役者たちにつけていく流れで、なんとかドキュメンタリーの結に持ち込めたものの、藤田氏のスピーチに対する、役者たちの白けたムードは隠せない。まったくカンパニーの一員として認識されていない。戦慄した。

…と同時に、どうせなら、小池氏もこんな感じでこてんぱんにされたらいいのに。と、Sっ気がうずいた。

3/13(水)

仕事が暇すぎる。note初購入。

note.mu

煮詰まり、濃縮され過ぎた村。まるで横溝正史のような世界が広がっていた。

帰りに、お高いファンデーションを買う。今年の目標の一つ、「くすまない顔色」のため。

3/14(木)

期待も虚しく、めっちゃスタンダードにくすむ。なんなら普段より崩れる。なんでやねん。とどめに、『キューティ・ブロンド』でむせび泣いて、ドロドロに。

kotobanomado.hatenablog.com

カメラが届いた。にやにやして触る。3/15(金)

久々に、宝塚を観る。『夢幻無双』でしばし意識を失う。異口同音で、「面白くない」という結論。

kotobanomado.hatenablog.com

3/16(土)

塚口サンサン劇場へ行こうと思ったが、時間的に難しく断念。去年の今頃は死んでいたので春服が全くなく、物色するものの、試着したら、揃いも揃って全部おかしい。スキッパーがこんな見事に似合わないのって逆にすごい、と感心した。早々に引き上げて、諸々作業。FUJIFILMのフィルムシュミレーション、クラシッククロームに心奪われる。当日返却なら無料でレンタルできるらしい…。

fujifilm.jp

と、仕事しているとは到底思えない2週間でした。

『キューティ・ブロンド』@シアター・ドラマシティ感想

f:id:kotobanomado:20190317135013p:plain

音楽/詞:ローレンス・オキーフ&ネル・ベンジャミン

脚本:ヘザー・ハック

翻訳・訳詞・演出:上田一豪

出演:神田沙也加 平方元基 植原卓也 樹里咲穂 新田恵海 木村花代 長谷川初範ほか 

 

ほぼ全編泣きながら見ていた。初演はメルパルクの2階で観たせいか、そこまで入り込めなかったのだけれど。日本から一歩出れば「外国人」としてアウェーになるように、ところ変われば誰もがホームとアウェーを経験するわけだけど、「女性であること」は、ほぼどこでもアウェーなのでは。外見での品定め、男性のステイタスの一部や所有物として捉えられること、セクハラ、セクハラに対して第三者からなぜか被害者側が責められること、男性を上回る成果や評価が、実力者との性的関係による見返りのためだと邪推されること―。女性の多くがまるで通過儀礼のように経験してきた困難が、等しくエルにも降りかかる。それを自分ならではのアイディアと行動力で突破していくエルが、眩しい。

「働く女は、結局中身、オスである」のフレーズで雑誌が炎上したりもしたけど、それって、男性=ホーム/女性=アウェーの呪いが解けていないだけの話。本来は、性別にかかわらず、自分の能力や感性を正しく磨いて発揮すれば、自分もみんなもハッピーになるはずなのだ。

神田さんは正直「神田沙也加」以外の何物でもないんだけど、最高にキュートで頭の冴えたエルだった。物腰柔らかで紳士的な佐藤エメットに負けず劣らず素敵だった平方エメット。ちょいダサからビシッと決めたビジュアルの変化も最高で、久々に胸がときめいた…。(「王家の紋章」で既に一度、平方堕ちしている)平方くんに変わったことで、前回よりロマンス要素が強くなったのも面白い。長谷川さんのアクの強さ、樹里さん、木村花代さんのパフォーマンス力も健在で、ミュージカルとしてもしっかり堪能できた。他にも、脇を固めるのは実力派ばかりで、みんないい仕事をしている。とりわけ、エルのお友達兼コロスのまりゑさんがいつも以上に振り切れていて最高だったし、MARIA-Eさんの歌とダンスもエネルギッシュで目を引いた。

自己肯定力とミュージカルって相性いいんだろうな。思えば、この作品だけじゃなく、

『ライオンキング』も『天使にラブ・ソングを』も、『アリス・イン・ワンダーランド』も『レ・ミゼラブル』も、好きなミュージカルはみんなそうだし。「ハッピーミュージカル」って、単に明るく歌い踊ればいいんじゃなく、

こういうのを指すんだと思う。すっかりときめいたし(それはひとえに平方くんのおかげ)心がクリアになった。さぁ、仕事頑張ろう。

宝塚月組『夢現無双』『クルンテープ』@宝塚大劇場 感想

f:id:kotobanomado:20190317130117j:plain

 『夢幻無双』

シンプルにつまらない。(真顔)齋藤先生らしく、詰め込みまくりの登場人物に、盛り込み過ぎてぶつ切りになったエピソード達。それでも盛り上がった『桜華に舞え』のようにはいかず、最後の最後までぶつ切りのまま、クライマックスの巌流島ですら、あっけなく終わっていった。物語としても盛り上がらないし、みやるりへの餞にもなっていないから、これならタンゴを踊った方がまだ良かったのでは。(『巌流』だけじゃなく『MUSASHI』でも踊ってた。)たまきちもみやるりもキャラ的にはハマっているはずが、とにかく見せ場がないので、単に汚いやつと綺麗なやつ止まり。今回が大劇場でのトップお披露目になる美園さんは、ソツない印象。ただ、しどころのない役だったからか、声がキンキンとしていて、一本調子に見えてしまった。月城さんは宝塚の2.3番手にありがちな、主人公のお調子者の幼馴染。ルキーニ、フィッツ・ジェラルドだけでなく、こういう役もしっかりこなせる。作品を重ねるごとにスターとしての貫禄が増してきた。白雪さち花さんが、憧花ゆりのさんの穴をしっかり埋めていたのが嬉しかった。

クルンテープ

珍しいテーマで期待していたのに、衣装や音楽がエキゾチックになっただけで、痴情のもつれで殺人は起きるし、死んだらやっぱり転生した。トッピングが多少変わっただけで、結局ベースは変わらないらしい。どうせやるなら振り切って、新しいシーンにチャレンジしてほしかった。そのくせ、たまきちがカッコよく赤スーツで決める場面で、帽子を取ったら、まさかのブロンドロン毛。その新しさ、いらんねん。

海乃美月さんがいない!と探し回っていたら、ショー休演。結愛かれんさんが芝居、ショー共に目立っていて嬉しい。輝月さんのド迫力女装に釘付け。蓮つかささんは相変わらず美しいが、もっと米食べてほしい、と切実に思った。たまきちとみやるりの妖しいダンスシーンが良い。トップ、二番手として最高のコントラストだった。男役として線が細く、今一歩押しに欠けるみやるりと、まだ若く粗削りなたまきち。二人が組み合わさると、それぞれの欠点を補うどころか、一転、長所に変わる。『BADDY』がこの二人を、唯一無二のタッグにまで押し上げた。みやるりが恐ろしいまでに艶めかしい。メイクもますます洗練されたようで、ただただ美しく、眩しかった。フィナーレの群舞、満を持してせり上がってくる、みやるりの姿に泣けた。そんなみやるりを迎え入れるたまきちは、誰と組むより包容力が増す。最強タッグの締めくくりは、やっぱり唯一無二の輝きに満ちていた。

映画『君の名前で僕を呼んで』感想

f:id:kotobanomado:20190317114430j:plain

恋愛の究極形はやはり「半身」を追い求めることなんだろうか。「君の名は。」では、体を分け合う相手を見つけ、見失い、「カタワレ時」に再び出会い、忘却の果てに、再び巡り会うというのがカタルシスを生んだわけだけど、「君の名前で僕を呼んで」もまた、タイトルからしてド直球なカタワレ映画だった。

痛み、傷つき、それでも確かに得た愛や友情。目の前には限りない可能性が広がり、でも同時に決して戻れない輝かしい夏の日もまた瞳に映ってる。予感と余韻、どちらもなんて眩ゆいんだろう。

 

考古学教授を父に持つエリオ(ティモシー・シャラメ)は、避暑地の北イタリアで一夏を過ごす。毎夏、父が受け持つ大学院生が研修にやってくるが、今年やってきたのは嫌味なほど二枚目のアメリカ人 オリヴァー(アーミー・ハマー)。自信家で横柄なオリヴァーと繊細なエリオは反発しあいながらも惹かれていく。

眩い北イタリアの景色と考古学や哲学、音楽―。インテリジェンスな空気感をまといながら気持ちを通わせていく二人の様子が、あまりにも美しすぎて美しすぎて、脳内で幾度もビッグバンを起こしながら観た。(そもそもティモシー・シャラメアーミー・ハマーが美しすぎる)エリオは、オリヴァーへの悶々とした感情を押し殺して、自分を試すようにマルシアと関係を持ってみるけど、オリヴァーへの想いは断ち切れず、気持ちを吐露する。対して、もう十分大人なオリヴァーは、同性愛が社会的に許容されないと自分を律していながら、異国の地でその枷を外す。(エリオ家のようにものわかりのいい家族はそうそういない)オリヴァーのエリオへの愛情は確かに本物。でも、それを一生自分の胸にしまい込んで、異性愛者として生きる道を既に選びとってもいる。知性に溢れ大人びているエリオも思春期真っ盛り。この夏を機に、真っさらな人生へと漕ぎ出したばかりなのに、初めて知った愛が即座に「秘めた思い出」にされる、痛み、辛さときたら。と、エリオの想いに寄り添いつつ、この映画自体が、いい!とか面白い!というより、「また浸りたい」と思わせてくれる、きらきらと甘く、ほろ苦い、まさに「一夏の思い出」のようで。わたしにもこんな夏あったんじゃね…?とすら思えてくる。(思い込み激しめ)

ちなみに、どうやら続編の製作が決まっているようで、監督曰く、続編の冒頭はパリで泣くエリオから始まるみたい。全然吹っ切れてへんかった!だって、「カタワレ」だから。たとえ一緒に過ごしたのはたったひと夏でも、たとえそれが思い出に変わったとしても、「カタワレ」はずっと「カタワレ」だから。

ステレオタイプ的なオープンゲイのカップルたちの訪問、自らの同性愛気質を自覚しながら一歩踏み出せなかった父、古代ギリシアの肉体美と同性愛、とセクシュアリティについて散りばめられている。(そういえば、時々飛んでくるハエの意味が気になる)そして、夫、息子ふたりをセクシュアリティ含め深く理解し、何も強いず抑圧しない母と、エリオに一生の友情を誓うマルシア。誰も二人の仲を糾弾したりしない。古代ローマ遺跡で発掘された女神像の腕を介して、エリオとオリヴァーが握手するシーンが大好きすぎてケータイの待ち受けにしてるのですが、マルシアとエリオの握手もそれに負けないくらい、愛に溢れた素晴らしいシーンだった。

はじめまして、さようなら。/ボルタンスキー展。

楽しみにしていたボルタンスキー展@国立国際美術館へ。

f:id:kotobanomado:20190303144445j:plain

想像以上の気張りっぷりだった。空間演出に抜かりがなく、単なる展示というより、アトラクションやイマーシブシアターに参加するイメージに近い。かなり刺激的な体験。作品リストも驚くほどしっかりした作りでありがたい。

大音量の心臓音やら鯨誘き寄せ装置が鳴り響く薄暗い館内に、ボルタンスキーの代名詞的な祭壇や、引き伸ばしすぎてピントのぼけたポートレートが無数に並んでいる。これ、普通に怖すぎる状況で、小さい子達が遠足に来ていたようだけど、大丈夫だったんだろうか。私なら泣いてた。

心もとなくそわそわしてしまうのは、笑顔で幸せそうな写真が、遠い過去の瞬間を切り取っていて、今は失われてしまったものだと直感的にわかるから。見ず知らずの誰かの人生、記憶や思い出―もしかしたらその人を直接知る人ももはやいないのかもしれない―かつて確かに過ごした日々を、人生を思い巡らす。

はじめまして、そして、さようなら。

誰かの人生の「余韻」なのか「予感」なのか、その気配を豊かに感じながら、喪われたものや時間と静かに触れあう濃密な空間。

f:id:kotobanomado:20190303144433j:plain

国立国際美術館で~5/6まで。もう1回行っておきたい。この後、東京、長崎と巡回。会場によって、空間構成を変えてくるという話だから、東京に観に行くのもありかもしれない。 

www.nmao.go.jp

この日は念願の農家厨房へも行けた!さすが人気店で、開店直後にすぐ席が埋まった。大満足の定食だったー。

そういえば、美術館前にノースショアができていた。逆に、レトロな船橋ビルがいつの間にか取り壊されていて、大ショック。。。素敵なビルだったのに。

大山崎山荘美術館と聴竹居。

4年ぶりぐらいに大山崎へ行ってきた。ひとつは、聴竹居へ行ってみたかったから。迷ったんじゃないか不安になる程急な細い坂道の果てにある、藤井厚二デザインの住宅。大山崎山荘美術館の加賀さん、サントリーの鳥居さん、この藤井さんが大山崎の山々を買い占めたらしいけど、豪奢な大山崎山荘から聴竹居まで、それぞれの美的センスが表れてて面白い。

そう、聴竹居は、90年前の建築とは思えないほどモダンでデザイン的に優れながらも、実用的。しかも、これみよがしではなく、とてもさりげない。和紙を多用した照明の素朴な美しさ、景色を臨む縁側の窓へのこだわりのようにパッと目を惹くものから、説明されてようやく気づく客人と居住者の動線の棲み分けまで、抜かりなし。さらには、足元の通気窓だったり、土管に通じる扉だったり、自然エネルギーを巧く利用できるような工夫が随所に凝らされ、特に夏場は快適に過ごせるそう。寒暖のみならず、地震にも強い家を目指しているそうで、備え付けの家具が多いのもそのせい。玄関の備え付けの椅子や傘立て、子供達のコンパクトな勉強部屋、キッチンからダイニングへ出来立ての料理をそのまま出せる仕掛けなんかは、「劇的ビフォーアフター」の匠がやっているような業で、今も昔も匠が考えることは同じなんだなぁと感心してしまった。おまけに、当時の最先端技術もしっかり取り入れていて、なんとオール電化住宅でヨーロッパから輸入した冷蔵庫も完備。本当に寸分の隙なく、モダンな家だった。

1時間ほどかけてサポーターの方の説明をじっくり聞きながら各部屋を見学。かなり充実感があった。ただ、去年の地震の影響で外観を工事中だったけど、地震云々以前にどこもかしこも、めちゃくちゃ傷んでいて、痛々しい。。当時のものが現存しているのが誇りのような語り口だったけど、むしろ修復しながら保存していく形に切り替えた方がいいのでは、と思った。興味ある方は早いうちに行ったほうがいいと思う…廃墟寸前…。見学は、毎週水・金・日4回回しで要予約。見学料1000円。こんな地味なところ誰も見学なんかしないだろうと高を括っていたら、意外に人いっぱい。早々締め切ってる回もあるので、希望日は早めに押さえたほうがよさそう。

ちなみに、藤井厚二の建築では八木邸というのも現存しているらしく、チラシをもらった。ここも、傷んでるんだろうか…早めに行かねば。あと、タイムリーに「太田喜二郎と藤井厚二 ー日本の光を追い求めた画家と建築家ー」展が。京都文化博物館で、4/27-6/23。

そのままの足で大山崎山荘美術館へ。あまり時間がなくてめちゃくちゃ駆け足の見学。

f:id:kotobanomado:20190303134105j:plain

f:id:kotobanomado:20190303133953j:plain

「櫛・かんざしとおしゃれ」展。べっ甲や象牙、蒔絵の櫛。デザインも多様で、南蛮人とか日本地図のデザインに至っては、果たしてオシャレとは一体…という迷宮に迷いこんだ。大山崎山荘は聴竹居と打って変わって重厚感のある洋館。中でも2階の吹き抜けがめっちゃ素敵なんですよ!「レベッカ」のダンヴァース夫人が今にも出てきそうな。今回は時間がなかったけど、展示にちなんだケーキを喫茶室でまったり食べて、ゆったり過ごしたい空間。(某ホテルのオーダーブッフェと某百貨店のチョコレート博覧会に行ったため)(つめこみすぎや)何故かいつ行っても空いていて、もったいないような、このままでいて欲しいような。(館内を撮影OKにすると人は増えるだろうけど、あの居心地の良さはなくなってしまうだろう)

安藤忠雄のコンクリート建築と合体してる。

f:id:kotobanomado:20190303133921j:plain

f:id:kotobanomado:20190303133853j:plain

梅田から30~40分プラス徒歩7分or無料シャトルバスで気軽に行ける。変に観光地化されてなくてのどかな大山崎。かなり急な坂道なので体力に自信がない方はバスをお勧めしますが、季節がよければのんびり歩いていくのが楽しい。

www.asahibeer-oyamazaki.com