だらだらノマド。

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宝塚雪組『NOW ZOOM ME』@宝塚大劇場 感想

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観てきました。いやー外部ゲスト出てなくてよかったわ!わたしは吉正(呼び捨て)がどれだけボロカス言われようが、「BLUE MOON BLUE」とオギーの「パッサージュ」は、21世紀の華々しい幕開けを飾るショー作品だったと(そしてその後がまったく続かず、あの前後数年がショーの全盛期だったと)ずっと思っているので、いまだに擁護しがちなのですが、庇い切れないぐらい酷かったですね!

退団ライブ…しかも結果的にとはいえ異例の大劇場上演になった作品で、よくここまでスターの持ち味を無視して作品を作れるもんだな、と逆に感心しました。

 

セットは転換なしでシンプル。銀橋と本舞台をセンターで繋ぐ架け橋。バンドは2階建になった左右のセットの2階部分に。ここから中央に階段が伸びていて、その先に小さなステージがある。これがそこまで活かされず、主なアクティングエリアはこの小さなステージ前と銀橋。舞台奥はLED。左右にも柱状のLEDがいくつかあって、ほぼずっと映像が流れている状態。しかも、音楽イメージじゃなくって、キャストを使って前撮りしまくったオリジナル映像や宝塚メドレーでは過去の舞台映像が延々と映る。この前撮り、かなり力を入れて撮影しているのは伝わってくるんですけど、凝って作ってるはずなのに、どう考えてもレタッチ前の画像が大写しになるシーンがあって、気が気じゃなかった。あと、舞台映像も歌ってる曲と連動していないので、効果的なのか疑問。そして、そもそもかなり舞台奥に設置されていて高さのあるLEDなので、2階の人はほぼほぼ見切れてるのでは、と思いました。

1幕は宝塚の楽曲はほぼなし。バブル時代のJ-POPを使ったジュリアナシーンが長々とあったり何故かコナンくんのテーマで特撮っぽいシーンがこれまた長々とあったり。齋藤先生が好みそうなシーンが並ぶ一方で、突然懐かしの「アプローズ宝塚」Killer Kの曲が入って、最後にはPE'Zの曲まで(これも吉正のセルフオマージュなんですが)。しかも、だいもんが瀬奈さんの癖を取り入れてそれっぽく歌ってるんですよ…。全ツ「琥珀色の雨に濡れて」の時に春野さんっぽく歌ってて、望海さんってめちゃくちゃ器用やな…と思っていたら、今回も。わたしはそのシーンだけ懐かしすぎて刮目したんですけど、だいもんファンは楽しめたんだろうか…大丈夫?

2幕はさすがに思い出のナンバーでしみじみさせてくれるだろうと蓋を開けてみたら、金八先生のコントが始まりました…。そして、これまでのだいもんの代表作をごちゃ混ぜにした、タカスペ的なパロディへ。「壬生義士伝」とか「ファントム」の一節をネタでやっちゃう。さよならショーではしっかり歌うんでしょうが、普通に聴きたくない…?中詰では「レビュー誕生」から、花組時代に出演してきたショー、「オーシャンズ11」も。だいもんの弾き語りを挟みつつ、お客さんからのリクエストコーナーは、「ひとかけらの勇気」、「かわらぬ思い」、「愛の旅立ち」。そして何故か今度はゆかりのないショーメドレーが始まり、吉正お得意のセルフオマージュ炸裂でBMBを2曲も入れながら90〜00年代の各組のショー主題歌を巡り、ラス前ナンバーが「joyfull」という…。いや、わたしはちょうどその時代が主戦場だったのでめちゃくちゃ懐かしいけど、だいもんファン、このタカスペ仕様でついてこれてる…?

だいもんは確かに出ずっぱり、歌いまくっているのに、この無性に感じる「無駄遣い感」はなんなんだろう。選曲に関しては、さよならショーとの住み分けという事情を差し引いても酷いし、吉正のテイストとだいもんの方向性のミスマッチ感は目に見えて明らかなのに、その溝を埋めるために歩み寄る気配もなく、ひたすら吉正がぶっちぎっていく…。そもそもショーとライブの違いってなんなんでしょうね。セット転換がないだけで、あとはいつものショーのさらに間延びした劣化バージョンだったのでは。(構成という点では人の問題もあって、彩凪さん以外、場をつなげる人がいないのはキツい。煌羽さんが歌をカバーしていたけど、娘役は歌える人がおらず、完全にだいもんだよりになってしまったのもお気の毒でした。)
いや、だいもん本人が、そしてファンが納得してたら全然いいんですけど。もし自分の贔屓でこれをやられていたら、吉正に長文のお手紙を認めていましたね…。

 

冒頭でも書いた通り、屈指の歌唱力を誇るトップスターの満を辞してのライブ/コンサートがこの出来になってしまう宝塚って本当に面白いところだな…というのが一番の感想です。 
あと、これは演出家というより劇団の方針になるかと思うのですが、今、各プロダクションが稽古場や楽屋での居住まい、あるいは実際の上演中の飛沫対策について神経を尖らしている中で、マウスシールドをしながら稽古している様子や、逆にマウスシールドを取って談笑している姿を無邪気にあえて作品中にデカデカとスクリーンで流してしまうのも、とても精査されたとは思えない銀橋の使い方も、非常に無邪気だなーと思いました。既に劇団内から陽性者が出て、保健所からもある程度マークされている中、いつどこで何が足を引っ張り、命取りになってしまうかわからないと思うのですが…。


…感想は以上です。色々書いてきましたが、吉正に対して言いたいのは、そんなにBMBやりたいんだったら、しれっと1、2曲歌わすよりちゃんと再演やってよ…!ってことですね(そこかい)。いつまでも待ってますー。