だらだらノマド。

趣味、日常をゆるゆる綴るライフログ。

「ボディガード」@梅田芸術劇場メインホール 感想

f:id:kotobanomado:20191025162708p:plain

貧弱な脚本と薄い人物造形で、とてもミュージカルとはうたえない代物。美術の魅力も乏しくて、テーマパークでやっている、申し訳程度にストーリーのついたライブショーという感じだった。
ヒロインのレイチェル(アレクサンドラ・バーク)は当然歌が上手い。ただ、昨今の招聘もので耳が肥えてしまったのか圧倒的とまでは行かず、スター役としてカリスマ性がないのが致命的。このあたり、日本版のれおん君がスターオーラを存分に振りまいてくれるだろうから期待したい。むしろ、姉のニッキー役の方がミュージカルらしくドラマチックに歌い上げていた。それにしてもニッキー、不憫すぎひん…?
普段、舞台にしろ映画にしろ、登場人物への共感を重視していないのですが、それでもさすがに共感できなさすた。そもそもレイチェルがボディガード(ブノワ・マレシャル)に惚れるのが急だし(お姫様抱っこの威力絶大すぎ)、ボディガードも取引相手に簡単に手を出すなよ…と思ってしまう。二人の恋なんて本当にどうでもいいから…どうか…ニッキーに幸あれ…とずっと願かけてた。だって、自室のベッドに眠るボディガードを自慢げにニッキーに見せつけるレイチェルと、わざわざセキュリティ薄そうなログハウスに行って、ストーカーに普通に正面ドアから侵入されて(セコム付けて!)、ニッキーが犠牲にあうのに悔やんでる様子のないプロ意識0なボディガードですよ…?それよりも屈折した人生を送ってきたニッキーを幸せにしてやってくれ…!そして、二人のいちゃつきの陰で、ストーカーがやたら肉体美を披露してくるのも、共感、理解の範疇を超えている。
逆にいうと、ミュージカルよりもライブショー風ということは、ライブシーンはちゃんとそれらしく照明もライブ仕様に派手で(眩しすぎて鬼の形相で見ていた)客席もそれなりに盛り上がっていたので(ホイットニー世代は全曲知ってるくらいの有名曲なんですね!)、音楽好きは楽しめたのかもしれない。
残念ながらわたしは映画世代ではなく、エンダー部分しか知らない、ホイットニーに一つも思い入れのない人間なので、何の感慨にも浸れないままツッコミに追われる、ある意味忙しい2時間半だった。今回の学びは、一番の見せ場エンダー!で突如流れる二人の回想VTR。てっきり、この手の映像は宝塚だけだと思ってたので、「恥ずかしムービーは万国共通」と知って、ひとつ賢くなった。日本版にもこれとかストーカームービーあるのかな…爆笑の予感しかない…楽しみ…(ネタにしたいがために観たい)。
そう、字幕も面白くて、追い出しミュージックの時、「パンフ売ってます!」「UKツアー直輸入グッズ売ってます!」「リピチケ売ってます!」と鬼のように売り込んでくるのに梅芸の商売魂を感じて笑ってしまった。