だらだらノマド。

趣味、日常をゆるゆる綴るライフログ。

『カラフル』と『ピーターパン』

年末の観劇メモ整理祭です!!

 

『カラフル』@兵庫県立芸術文化センター中ホール

ベストセラー小説「カラフル」のミュージカル化。せたがやこどもプロジェクト2023《ステージ編》の一環らしい。

死んだはずの<ぼく>(鈴木福)の魂は、ガイド役の天使・プラプラ(川平慈英)に導かれ、自殺を図った小林真として人生の再挑戦をすることに。家族やクラスメイトとの関わりの中で、モノクロだった世界のイメージが少しずつカラフルな色に変わりはじめたとき、<ぼく>の生前の罪が明らかになる…。

1幕2時間もの。物語の大枠はシンプルなんだけど、真を取り巻く家族や同級生のエピソードが多く、鈴木福くんがほぼ出ずっぱりで、家や教室を抽象化した全面真っ白のセットを忙しなく動き回り、細かい場面転換をこなしていく。あまりにも余白なく音楽と言葉が詰め込まれ、観てるこっちまで一呼吸置かせてほしい気持ちに駆られる。さすがにもう少しエピソードに緩急をつけて刈り込むところは刈り込んだ方が良いと思うんだけど…。
とはいえ、やはりこの手の「人生の再挑戦」ものってベタだけどグッときてしまう。斜めっていて危ないなぁと思っていた真っ白のセットは、降り注ぐ雨が流れるとカラフルな世界に色づいていく。
福くんの等身大の空気感はきっと現役の学生さんたちが観ても感情移入ができて勇気付けられた人も多かったのでは。お友達と歩いて帰るシーンの空気感が大好きだった。川平さんの天使はいつもの川平さんなんだけど、明るく憂さを晴らしてくれて、でも最後はちょっとほろ苦いのも良い。二人を取り巻くキャストも少数精鋭で(特に加藤梨里香さんの歌が光ってた)、大活躍。こういう舞台が届いてほしい人に本当に届けばいいなと思う。

『ピーターパン』@梅田芸術劇場メインホール

過去、高畑さんとふうかちゃん時代に観てるはず。冨士山アネットの長谷川寧さん演出に興味を持ち久々に観てみた。上海の『人間失格』も映像で見る限りめっちゃカッコよくて気になってたんですよね。

さすが、これまでよりダンサブルな演出に。ピーターが探しにきた影も生身のキャストが演じていたり、ネバーランドではピーターパン、タイガーリリー、フック船長率いる3陣営がWSS的にダンスで陣地を争っていてかなりスタイリッシュ。滑り台やジャングルジムを掛け合わせたようなアスレチック的なセットを、キャストが縦横無尽に駆け回って躍動感抜群。ただし、3陣営ともダンスやフォーメーションでカッコよく見せていく感じで役者的にもダンス重視のキャスティングなので、どうしても一人一人のキャラクターとしての芝居や存在感、個性は薄くなってしまっていた(そういえば、インディアンの表現はかなりセンシティブだと思うけど、モリビトへの変更は今回初めて?)。小野田さんのフック船長ももう少しハッタリきかせてほしいなと思ったんだけど、この演出的にはライトなヴィランズが正解なのか…。

キャラが薄くなるといえば、ナナがパペットになって小型犬化していたのは若干悲しかった。ただ、ネバーランドの不思議な動物たちがパペットで客席ラウンドするのは楽しい。あと、フライングのワイヤーのつけ外しの処理がかなり工夫されてお芝居に馴染んでいたのも良かった。

そんなややキャラ薄な中で光り輝いていたのが今回初登板の山﨑玲奈ピーター。もう素晴らしくて…!歌が上手いのはもちろんなんですけど、しっかり悪ガキな男の子でめっちゃモテそうなカッコよさなんですよ!おまけにちょっと影も感じさせて。後からインタビューで↓と語っているのを読んで、まさにそうなってたよ!!と。

theatergirl.jp

私自身もそういったカッコいいピーター・パンを目指しています。今まではどちらかというと可愛い感じのピーター・パンもいたと思いますが、今回は大人の女性のハートもガッツリ掴むぐらいの気持ちで頑張りたいなと思います。

求心力もしっかりあって、16歳でこの出来上がりっぷりはすごいな…と思ってたら、スカウトキャラバン前にアニーの主役を張っていたと知って納得。これからが楽しみな役者さんです。

ウェンディが飛んだあたりから泣き始めて、3幕の後半はギャン泣き。これ親御さんもほろっとくるよね…とサークルオブライフできてない人間ながら思いました。