だらだらノマド。

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『ハウ・トゥー・サクシード』@オリックス劇場/『フラッシュダンス』@シアター・ドラマシティ感想

ハウ・トゥー・サクシード』@オリックス劇場

観るのは雪組再演版以来。もうあれから9年経ってるらしいんですけど‥(刮目)。花組初演に至っては26年前。え、そんなことある…?(混乱)

花組版は映像で見ただけなんですが、真矢みき様の持つ強い癖が良い方向に爆発していて、何とも小賢しくあざとく天性の人たらしっぷりがぴったり。ローズマリーの純名さんもバドの愛華さんもよくハマっていて、96年でいうとついついエリザベート初演に目がいきがちですけど、H2Sを花組にあてがった人もすごくない?と常々思っている。(ま、大劇場作品として正しいかと言われるとあれですけど)
どうしてもそのイメージが強いので、増田くんのフィンチは味付けが薄すぎるように見えた。ブラックコメディらしくもっと思い切った方が面白いし、そもそもこのミュージカルを今更普通にやったところで、古臭いかつエグく見えるので、全体的にもっとコミック的にやったほうがいい(壮麻さんとかキャラがあれなだけに「秘書はおもちゃじゃない」とかまともに歌われてめっちゃキツかった)。歌は破綻なく、大好きなI believe in youは逆に彼の真摯な部分が良いシーンになってました。
ローズマリーの笹本さんもやはりフィンチ同様はっちゃけきらず。というか、そもそも本来はもっと若手枠なはず。田村芽実さん(推してる)とか良くない‥?一転、バドの松下優也さんとスミティの林愛夏さんが気持ちよく弾けてました。きーよの軽さもこの作品にはあっていた。春野さんは”ごちそう”的な役柄だったけど、音域的に本領発揮といかず。
ところで、この作品でローズマリー以上に重要な女性キャラがヘディ・ラルーだと思ってるのですが、まさかの雛形あきこさんでした。わたしはミュージカル原理主義者ではないので、ミュージカル・舞台未経験でも、もしくは未経験だからこそ活かせるキャスティングがあると常々思ってますが、これはさすがになんか違うな?

この作品において求められる、セクシーでおバカなブロンド娘(めちゃくちゃ差別的なんですが)の記号的キャラって実はめちゃくちゃ難しくて、それこそバドやスミティくらい作り込みが必要だと思うので、ちょっと無謀な気がしました。ブラザートムさんの二役も同じく。彼のキャラ立ちにあったキャスティングならいいけど、芝居の人でないのに二役(しかも一つはトリの会長役)を振るのはキツイ。

衣装もセットも全体的にピンとこずだったけど、Brotherhood of manの振りを観てて、これ、トニー賞で観たダニエルくん版やん!とようやく気づいた。(気づいただけで特にオチはない)



フラッシュダンス』@シアター・ドラマシティ

映画は間に合わず未見。1幕の物語が全くわからず…いや、一応理解はしてるんですけど、あまりにシーンがぶつ切り過ぎて、人となりとか人間関係がまるで読み取れないので、小芝居付きのショーくらいの感覚で見ていた。2幕でようやくミュージカルらしきものになったというイメージ。

オリジナル版の不出来さも感じ取りながら、いやいやそれだけではなさそうな‥と上演台本・演出共に岸谷さんであることを思い出す。正直、『壮麗帝』がフラッシュバックするような日本語の拙さで、シーン単位とかいうレベルではなくてフレーズごとで引っかかってしまって耳には入るけど頭に入ってこないという…。本来笑いを取る場面も見事に滑ってるんですよね。春風さんと秋園さんのシーンは力技でなんとかしていましたが…。
じゃあ視覚的に優れているかというと、そういうわけでもなく。半円状の壁のセットを動かしたりセットへのプロジェクションマッピング で展開していくのですが、これが重々しすぎて軽快さを奪うだけだし、センターからずれた席だと見切れまくるしで全く効果的でない。ラストの有名なオーディションシーンはこの壁を取っ払ってアクティングエリアを最大限にするのはいいけど、キャスター付きの小机に座った審査員たちが一斉に足をカサカサ動かしながら動きまくるんですよ。映像の感覚で、ちゃぴをいろんなアングルから狙うためなんですが、ちゃぴより審査員の足捌きが気になってしまって。
ついでに、音もなんか違和感を感じて。キャストの声の聞き辛さだけじゃなく、効果音が軽すぎて舞台と馴染んでいない。

極め付けはキャストのちぐはぐさ。ちゃぴは歌にダンスに縦横無尽に頑張っていたとは思う。想像してたようなバリバリのダンスシーンはなかったしヒロインのキャラクター像はよくわからなかったけど、相手役の廣瀬くんはナイーブな役柄で素敵だった(「メロメロだよ!」には笑った)。これが恋愛パート。友情パートの女子チームは歌のパンチに欠け、芝居も弱く物語が紡がれていかない。なだぎさんが出てくると、セリフの稚拙な翻訳調はもしかしたら計算だったのか‥?と勘ぐってしまう。春風さんはさすが(ビリーのおばあちゃん役観たい)。秋園さんの二役も頑張っていたけど、ちょっと無理があったような。春風さんと老けの声や喋り方が被ってしまってたのも気になった。

発表当時からかなり期待していたのですが、全方面で引っかかって終了しました。ボタンのかけ間違いというか、とにかく全体的に噛み合っていなかった…。