だらだらノマド。

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『KEREN』@COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール 感想


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気になっていた『KEREN』へ行ってきました!

keren.jp

 
脚本・演出:髙平哲郎
振付:バーヨーク・リー、HIDEBOH
ステージング・演出助手:室町あかね
ビデオコンテンツクリエイター:Moment Factory
 
いやー、すごかった。 オフィシャルのキャッチは、「ヤバいなにこの舞台。どうしてこうなった」。つまり、「いやネタなんでwwマジレスされてもww」と予防線を張っている。でも、ネタって本来、発信、受け手双方が同じコンテクストを共有した上で成り立つものであって、異国の地 日本で観る海外のお客さん的には、
「いやネタなんでww」と言われても、知らんがな!っていう話。知性も品位も芸術性も引き換えにしてひたすらネタに収斂していくのは、
大阪の悲しい性なのか、吉本ゆえなのか。(製作・主催は吉本です)ちなみに、チケット代は7500円。良いお値段です。
悪趣味な上に、構成もフォーメーションも振付も凡庸で、ダレる。殺陣が一番よかった。プロジェクションマッピングは高精細で立体感がある。パフォーマーの質はバラツキがあって、
特に女性陣は踊れない人が多い。
宝塚のショーでもありがちな男女の駆け引きバトル、男性側はヤクザで、女性側はミニスカ女子高生。あぁこういうとこですら、制服姿の高校生が、性的ファンタジーを担わなければいけないんですね…とげんなりした。(女性陣は全体的に露出度が高く、お色気シーン満載)女子高生を追いかける、バルーン着ぐるみの相撲レスラーは、モンスターらしい。唐突に「白鳥の湖」を踊り始める。何これ、お相撲さん、馬鹿にしてない…?上演中も撮影OK。キャプションは公式HPより引用。
 

▼十数人の僧侶によるタップダンスとフレッド&ジンジャー風の男女による社交風ダンス

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 ▼水芸人の水芸とウォシュレット演出のコラボレーション(ちなみにこの直前、サラリーマンが便器に吐いてます)

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▼大量のパチンコ玉が降ってきてカオスなフィナーレ

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…察していただけますでしょうか。 ショーやレビューをコンスタントに作っている、
宝塚やOSKの質が必ずしも高いとは思ってない。でも、少なくとも「ネタなんでww」のスタンスではないですよね。わたしが許せないのは、ショーとしての不出来というより、最初からまともに文化を取り扱おうとしていないそのスタンス。リスペクトも知識(がないと上手くアレンジできない)もなく、文化の芯を捉えずに空振ってるくせに、「ネタなんでww」で済ませようとするスタンス。それって日本文化そのものも、外国のお客さんをも愚弄していることだと思うのですが。ヒロインが劇中、「この国でずっと暮らしていきたい」と歌うけど、全くもってそんな気になれない内容なので、普段「愛国心」を謳っている人達は、こういう時こそ叩くべきなのでは。こういう文化の破壊の仕方があるのか、と、とても勉強になった。そして、もう一度言うと、S席は7500円。他のエンタメも十分楽しめる価格。…と、伝統芸能含め舞台全般を観る私は思いましたが、ロビーでは「面白かったねー!」「ダンス、すごい!」と、みんな感激している様子だった…。(関西人以外も同じ反応…?というか、東京でこういうインバウンド向けのショーやってます?)大半の人がこれぞ日本文化!と思えば、それがホンモノに成り代るわけで。そして、そもそもこれが官民総力を結集した、COOL JAPAN PARK OSAKAのこけら落としで、海外に伝えたい日本のセルフイメージってことなんですよね。えっと・・・日本、だいじょうぶ?
私は、これを観て、自分たちの文化も疎かなのに、異なる民族や国の文化に敬意を払うことなんてではずがないし、無知なまま理解しようとすらせずに、ネタ扱いで笑うのは最低。文化を軽視するとろくなことは起きない、と、いう思いを新たにしました。『KEREN』、ありがとう!