だらだらノマド。

趣味、日常をゆるゆる綴るライフログ。

2月のたしなみ(随時更新中 2/20更新)

 

 

『美しい彼』@U-NEXT

www.mbs.jp

チェリまほ、ケイヤクの流れから観てみたBLドラマ。

吃音症のスクールカースト最下位の平良と、転校してきてすぐにクラスのトップに君臨する美しい清居の話。6話完結ということで、高校→大学までを駆け足で描いている。

2次元ならまだ楽しめたのかもしれないけど、社会人としてそれなりに歩んできてしまったので、昔は好きだったはずの権力差(とか他作品でいうと年齢差)のある二人の間で芽生える恋愛という構図にときめかないどころか、なんなら年々しんどくなり、全く心が揺れない。

二人が高校の卒業式以来久々に再会するのが、イマーシブシアターの役者と客というシチュエーションで、きゅんどころか羞恥地獄すぎて笑ったのが1番のハイライト。

役者さんの化学反応もあまり感じなかったし。あ、でもこの美しい彼の方もチェリまほ、ケイヤクと同じくLDHの方なんですね。LDHは戦略的にBLに取り組んでいるのか…?

『メア・オブ・イーストタウン』@U-NEXT

www.video.unext.jp

佐久間さんが「あたらしいテレビ」で推していた海外ドラマ。

とにもかくにも脚本がすごい。奇をてらわず、緻密な脚本をただただ丁寧に積み上げ、ミステリーを通じて人生を描いていく。なんて上質…!(白目)こういうのこそ日本でも作って欲しいしもっと流行ってほしい。

行き交う人みんな顔見知りという小さなコミュニティで起きた殺人事件。色んな疑念や事実が浮かび上がる度に、複雑な人間模様が浮き彫りになったり、時には破綻、分断したり…。多くの犠牲を払いながら、事件は核心へと向かっていく。

あっという間って感じの面白さではなく、たった1時間×6話でも、最終話までくると、あぁあんな事もあったなぁ…ともはや住んでたんかなくらいの懐かしさすら込み上げ、いかに濃密な体験だったか気付かされた。

自分自身や家族、大事な人と向き合って、過去と静かに対峙して。メアが赦しと救いに辿り着くまで伴走した感覚だし、みんなが集うあの教会に私も確かにいた。

『ダイヤルMを廻せ』@U-NEXT

意外に未見だったヒッチコック作品。

ほぼ1シチュエーションでいかにも演劇的だと思っていたら、フレデリック・ノットの戯曲が元になっていた。フレデリック・ノットといえば「暗くなるまで待って」の脚本も手掛けていて、確かにどちらも1シチュエーションもの、か弱い女性と悪意を向ける男性の描き方(時代的な側面もあるだろうけど)なんかが似通っている。あと、「バニーレーク」や「ガス燈」のような誰にも信じてもらえないヒロイン疑心暗鬼シリーズも思い出したり。
とはいえ、こちらはグレース・ケリーをヒロインに据えながらも、彼女目線ではなく、彼女を殺そうと緻密に殺人計画を練る夫目線で話が進む。つまり、妻の殺人計画→殺し損ねるが逆に妻に殺人の罪を着せ死刑に追い込む巧妙なやり口や嘘の上塗りだったり、その緻密な計画でさえちょっとした偶然によって歯車が狂ったり、ボロが出たりするスリルに主眼が置かれている。なので、観客に分かるように丁寧にトリックを描く必要があって、どうしても説明台詞的なものが多くなってしまい、かったるい。あと、妻はひたすら受け身なので、代わりに活躍するのは彼女の不倫相手と刑事なんだけど、この二人が取ってつけた感があってキャラクターとして魅力的ではないんだよね。。。あまりハマれなかった。

『私をくいとめて』@prime video

kuitomete.jp

綿矢りさ原作×大九明子監督の第2弾。

綿矢さん×大九さん×ヒロイン のんさんのそれぞれの強いクセがぶつかりあい強烈な化学反応を起こして、中盤くらいまではなかなか乗り切れず。「勝手にふるえてろ」の方が好きだったなー、とぼんやり観ていたはずが、イタリア旅行から帰国したあたりから加速度的に面白くなり、気づけば号泣していた。

裏を返せば、どうやら映画オリジナルらしいイタリア在住の親友を訪ねるエピソードは、あんまり活きてないように見えた。(演じていたのが橋本愛さんなので、メタ的に楽しめる人はたくさんいたのかもしれないけど、私はあまちゃんを観てないので。。)
エンタメを「共感」という尺度で語るのはあまり好きじゃないけど、こちとら伊達にこじらせているわけじゃないので、綿矢さんの原作の時点(これは読んでないけど)からして、わかるーーーーの連続だし、それがこんな立体的に、しかも想像を遥かに超える鮮やかさで立ち上がるんだ、と感動しつつ、長年こじらせてきた想いだけでなく、自分の半生まで乗っけてしまう勢い。

大好きな「カルテット」で、すずめちゃんが言う「白い服着てナポリタン食べる時、そういう時にね、その人がいつもちょっといるの。いてエプロンかけてくれるの。そしたらちょっと頑張れる」。そんな感じなんですよね、Aも多田くんも。いや、Aはエプロンはかけれないけど。一人で生きても好きな人と一緒に過ごしても良くって、その二つは真逆じゃなくて同一線上にあるよね、みたいな(私がこじらせすぎなのか)。

これは「勝手に〜」の松岡茉優さんに続いて、のんさんっていうキャスティングの的確さがあってこその共感性だと思う。最初は、のんさん特有のエキセントリックさとポップな演出の掛け合わせに若干引いてたけど、あの「私をくいとめて!!!」のボルテージまでたどり着けるのは彼女しかいない。Aと多田くんの声が重なる時の「空耳!?」も「それなら私にも出来そう」も。

SCRAP『ワールド謎ツアー』

realdgame.jp

コロナ禍早々にリリースされたこともあって「自宅で海外旅行気分」というコンセプトが惹かれるなーと思っていた謎解きキット。
2人プレイ推奨のため、赤・青2種類のトランクキットをそれぞれに買って、一緒に謎を解いていく。同じ謎、協力しあって初めて答えがわかるもの、一度解いた謎がフリになって更なる謎に繋がるもの…とバリエーション豊かで、ボリュームたっぷりなものの最後まで飽きずに楽しめる。
海外を旅する仕掛けは、Googleマップストリートビューが使われている。ベタな観光地ではなく実際にはなかなか行けないような場所を画像で辿って、その風景を活かしながら謎が解けるように工夫されているのが面白い。謎解きには直接関係のないコラムも、世界ふれあい街歩き的な寄り道気分で楽しかった。

これまでタカラッシュとSCRAPの謎解きキットを何回かずつトライしてみたけど、キットのデザインやこういう+αの工夫、全体のワクワク感みたいなものは、もう圧倒的にSCRAPの勝利ですね。(個人の感想です)
ただ、今まで謎解きとか脱出ゲームは一人か、一人で参加できないものは4人以上でやってきて、今回初めてふたりだったんだけど、サシってきついね…。

何人もいるとワイワイ進めるのでそれほど気にならないし楽しいけど、経験値やスピード感がある程度合致してないと、お互いストレスになるだけだと学んだ。

実は地味に一番辛かったのは、ヒントを見るタイミング。問いを1回読んでわからなければ、秒でヒント(何なら答えも)を見られるのが辛かった。。こうやったら解けるかも、という糸口は閃いて口に出しているし、何人かでやるからには、ああでもないこうでもないと言いながら進めるのが謎解きの醍醐味では‥と思うんだけど…い、言えなかった。その辺りの擦り合わせが遠慮なくできる人とやるべきですね(そんなん初めから分かり切ってる)。

『演技の代償』@衛星劇場

murdermysterytheater.jp

最近、マーダーミステリーに興味があって一度やってみたいのだけれど、アドリブ演技でコミュニケーションを取りながら推理するなんて、果たしてそんなマルチタスクが自分にできるのか?いやできない、という自問自答で、まだ挑戦する決意は固まっていない。

というより以前に、そもそもマーダーミステリーがどんなものかわかってないので、お勉強がてら観てみた。去年、キャストを変えて配信されたマーダーミステリーシアターの7/18夜回(たまたま放送を思い出して録画しただけなので、キャストにこだわりはない)。
登場人物は6名。それぞれが手がかりとなる情報・アイテムを持っている。それを基にお互いに質問したりアイテムを確認し合って推理を組み立て、最後にみんなでディスカッションして犯人を一人に絞る。
手掛かりになるメモや写真などのアイテムは、あくまでもゲームなので、イラストに書かれたカード。これはきっと実際のマーダーミステリーでも同じなんですよね?私はモノから没入感を味わいたいタイプなので、カードではなくって小道具であって欲しいなぁ‥ゲームの性質上それは難しいとは思いつつ。

当たり前ながら、元々は真犯人が誰かを当てるゲームで明確な筋書きはなく第三者に見せるためのものでもないので、思わぬアドリブにふふっとはなるものの、なかなか本筋が進まかったり、推理が全く論理的でなかったり、芝居として面白いわけではない。
ところが、キャストがそれぞれどこまで情報を知らされた上で演技プランを立てていたか、犯人役のキャストは自分が疑われないようにいかに疑惑の目を逸らしたかを語り合う、ゲーム後の感想戦までセットで観ると、あれ?何か面白い。

演じるのが本物の役者さんだから、いつもの演技とは勝手の違う着地点のわからない役を演じることの難しさだったり、ゲームに勝つだけじゃなくて、演劇としてどうやって山場を作って成立させるか、の話にも繋がって、マーダーミステリーとプロの役者という簡単な掛け合わせで、演技論的な話にまで展開していくのは思わぬ収穫。これは違うキャスティングでも観たくなるねー。