だらだらノマド。

趣味、日常をゆるゆる綴るライフログ。

2021年冬 金沢1泊一人旅 その1

金沢21世紀美術館で冨安由真さんと展示と「縛られたプロメテウス」が同時に見られるタイミングを狙って、道後温泉旅の翌週に金沢・富山の一人旅を計画。結果、その後に出張がくっついてしまったため、金沢だけの1泊2日旅になりました。

 

旅程はこちら。

 

 

廻る富山湾 すし玉でランチ

道後温泉の人出はまだこれからだったのに、金沢はすっかり賑わいを取り戻していて、行きのサンダーバードは満席。

到着早々、駅ナカのお寿司へ。すし玉、まいもん寿司のどっちにしようかと迷っていたら、物理的にも(道に)迷いまくってそれどころではなくなった。もうたどり着けたらどっちでもいいわと自暴自棄になり、すし玉へ。

www.100bangai.co.jp

ちょうどお昼時でかなり並んでたものの、回転が早いので15分ほどで入店。ノドグロ、平目、マグロ、ガスエビ、いくら、白エビあたりを思うままに食べたら、かなり…お値段するね…(当たり前)。

でも、特にガスエビは普段関西ではなかなか食べれないので食べれてよかったけど、先週食べたお寿司がすごすぎたので、なんか物足りなさを感じたり。


鈴木大拙

いったんホテルに荷物を預けて、ここからはバス移動。金沢市内1日フリー乗車券のデジタル版があったので、スマホで買ってみた。

www.hokutetsu.co.jp

周遊バスと普通のバスが乗り放題で、美術館もいくらか割引に。普通のバスは路線が多くてややこしいので、極力わかりやすい周遊バスで行き来することに。(ただし、かなり混雑していてバスのダイヤが乱れまくっていたので、なかなか思うように使いこなせなかった。)

www.hokutetsu.co.jp

まずは本多町まで行って鈴木大拙館へ。

www.kanazawa-museum.jp

森美術館の「建築の日本展」で知ってからずっと行ってみたかった場所。翌日が雨予報だったのと、谷口吉生さんの作品なので、谷口記念館に行く前に行きたかったんですよね。

バス停から5分程歩くと、住宅街の中にいきなり現れる。

存じ上げなかったけど、鈴木大拙さんは仏教哲学者で、彼の功績というよりも彼の思想を辿るように作られたのがこの場所。なので、展示はかなりコンパクトにまとめられていて、あとは思索空間が広がっている

ここが驚くほど静かで心穏やかにいられて、まさに思索・瞑想に最適。朝・昼・晩どの時間にきても気持ちよさそう。時たま水面に波紋が生まれてハッとさせられる。

水庭の向こう側には散策路が。行ってみると森が広がっていた。

これが県立美術館やその先の兼六園金沢城あたりまで広がる文化の森だとわかったのは、後のこと。時間的にささっと巡っただけだけど、いつまでもいられそうな場所だった。


KAMU KANAZAWA巡り

次は、私設アートギャラリーのKAMUへ。

www.ka-mu.com

21世紀美術館の「縛られたプロメテウス」を夕方に予約しているので、限られた時間内で巡る。まずバスで香林坊まで行って、KAMU CENTER(広坂1-1-52)へ。

KAMUに関しては行く前から言いたいことが山ほどあり…。まず↑のHPから、KAMUが現在進行中で展示場所を拡大していて、そのうち野外展示の一つ(KAMU SKY)が大雪で損傷して展示中止になってるって、読み取れます‥??展示場所を拡大する度にプレスリリースはされてるっぽいので、興味を持って積極的に情報取ってたらわかりうる(わたしは知った上で行きました)ことだと思うんですが、あまりに不親切すぎへんか、と。インスタでバラバラ告知するようなレベルの話ではないと思うので。あ、当然、それぞれの場所もリリースに載った簡略化されたmapだけしか存在せず、住所はネット上で明かされていないので、当日知らされる感じです。私は方向音痴すぎるので、事前に探しまくってある程度段取りを考えてから行ったけど、旅程組むのに不親切すぎるよね…。

KAMUのオーナーがとあるインタビューで「それぞれに趣が異なる現代アートを巡りながら、金沢の街歩きも楽しめるようにした」と答えていたけど、どの口が言うとんねんて思っちゃった。街を巡るというコンセプトすら事前に掲げられていないので。あ、あと、入館料は1,200円になってた(2021年12月現在)。それすらHPの情報が古い。ここまでくると、こちとら一応元広報だったもので、不信感しか感じないんですよね…。

…と、前置きが長くなったけど、行ったら建物の外に行列ができていた。うわー混んでるーと思ったら、スタッフが一人で切り盛りして「KAMUには5箇所あってそのうち1箇所は展示中止してるので見れません」というのを地図片手に1組ずつ説明してから券売機でチケットを買わせていた…。いやいやそれ、HPで出したり紙用意しとけば話早くない?しかも1組ずつ区切る理由とは?さらに再度1組ずつ館内の注意文言があってからの入場。そりゃ行列できるわ。

ガラス戸の隙間にある超絶取り出しにくいコインロッカー(これも笑える)に荷物を入れてようやくレアンドロ・エルリッヒ。どこまでも続く階段に迷い込んだような、いわゆる“映える”インスタレーション

3階建てになっていて、2階がステファニー・クルール。色んなところに動物が隠れている。

3階が桑田卓郎。染み出したような溶け出したような感触が感じられる物体。

ここから竪町にあるKAMU BLACK BLACK(竪町101)へ。

CENTERからは徒歩10分くらい?竪町の通りには新しいカフェとか韓国グルメとか若い子向けのお店が色々あった。黒川良一氏のLithi。スモークがたかれた暗闇の中、照明と音響によるインスタレーション。これ、カッコよかった。KAMUの中で一番好き。

ここから5分くらいでKAMU TATAMI(竪町1-1)。渡辺豪さんの「〈ひとつの景色〉をめぐる旅」。

暗闇から器がじわじわと浮かび上がってきて明度が上がってソリッドな質感が最高潮に達した時に現実的にありえない分解の仕方でものがずれていく不思議な映像。町屋を改装して作られたスペースだったけど、正直今の展示とうまくマッチングしていたかといえば微妙。

ここから10分で森山大道氏のKAMU L(片町2-23-6とおりゃんせ内)。夜はバーとして営業していることもあって、入り組んだわかりづらい場所にあった。

その名の通り、入るとリップだらけ。森山大道さんの作品。

かなり狭めな上、カウンターにも壁にも触るなと言われてしまう(作品なので当たり前だけど夜はバーやってるんだよね…?)ので、身動き取れず椅子で縮こまる。お姉さんは注意文言をひとしきり言うとスマホをいじり始めてずーっとスマホいじってて面白かった。飲める人はバーとしてきた方が良さそう。わたしのKAMUに対する感情が0になったところで無事KAMUめぐりが終了しました。

↑私だったら事前に自分が巡る場所の住所を知りたいので、KAMUでもらった地図から住所情報を書いてみた。ちなみに、行った後にもさらに別場所がオープンしてるらしいしまた料金が変更になったりしてるかもしれないですねー(遠い目)。


金沢21世紀美術館

KAMU Lから徒歩で15分ほど?土曜で閉館が20時だったのと昼間は混んでそうだったのでこの時間にしてみた。「縛られたプロメテウス」はかなり前に予約して、フェミニズム展は当日予約。

www.kanazawa21.jp

まずは喉が渇いたのでカフェ。この日、やたらパフェが食べたい気分で、”もったいないパフェ”という可愛いメニューがあったんだけど、この時間には既に終了…。仕方ないので、さくっとドリンクだけ飲んでまずは無料展示エリアをぶらぶら。

この美術館、来るのは3度目で、美しいとは思うのですが(SANAA設計)、方向音痴のわたしにとっては非常に辛い作りで、真ん中が有料ゾーンと、それを囲うような無料ゾーンがガラスの壁やらパーテーションで切り分けられていて、ガラスの向こうに見えてるあのエリアに行きたいけど行けない(一見すると無料ゾーンなのか有料ゾーンなのかすらわからない)というフラストレーションがたまりながら、同じところをぐるぐる回っていた。瞬く間に日が暮れていって、タレルの部屋の表情が変わる。

お目当ての一つだった冨安由真さんの作品は、大量の砂に埋もれた荒屋。絶妙なおどろおどろしさではあるものの、ちょっと細かい部分が気になってしまって、何者かの気配を感じるまでの濃密な空気感は感じず。一つの展示室で巨大インスタレーション+1作品だったので、物足りなさも感じた。

いよいよ、小泉明朗さんの「縛られたプロメテウス」へ。わたしが知ったのはあいとり後でその後、シアターコモンズ、YCAMと再演されたものの行けず、文化庁メディア芸術祭はうまく長期出張とかぶったので予約したものの、1ヶ月に1日しかないような休みで体力がなくて泣く泣くキャンセルしたので、今回は念願の参加だった。ただ、まさかこんなに再演するとは思わず、もう絶対に自分は体験できないと思って、どこかのタイミングでネタバレを読んでしまったんですよね‥。あ、ちなみに、シアターコモンズ21のリモートパスで「解放されたプロメテウス」は観てます。

最初は、黒で覆われた広いスペースに15名ほど通され、円状になりVRゴーグルをつける。ゴーグルは実際の目の前の映像と同時に仮想現実が重ね合わさっている。巨大なモノリスや光の玉が現れたりして思わず後ずさったり手を伸ばしてみたりする。一方、スピーカーからは男性の抽象的なモノローグが終始聞こえている。なんとなく不気味さを感じつつ淡々とした語り口から感情やその人らしさが掴みあぐねていると、やがて周りの景色がシャットダウンされ仮想現実しか見えなくなる。周りに人がいてぶつかると危ないので、おのずと体の動きはとまりせいぜい頭の向きを変えてみるぐらいに止まる。そうこうしているうちにVRは終了してゴーグルを取る。

次に、隣のスペースに案内される。ここには、モニターが一列に並べられていて、それぞれ椅子とヘッドフォンが備え付けられている。そこで私たちはモニター映像にALSと闘う武藤さんの姿を見る。そして今度は、となりの部屋から聞こえる先ほどの淡々とした男性の声に重ね合う武藤さんの声を、さっきの部屋とは一転、今度は聴覚のレイヤードとして受容する。さっきの無機質な声と話す内容は同じなのに、武藤さんの振り絞るような言葉や唾液を飲み込む音などで、まるきり印象が変わってくる。

そして、あるタイミングで目の前のカーテンが開かれ、さっきまで自分達がいた空間に次の回のお客さんがVRゴーグルを付けて、ぎこちなく動いている様子が見える。鑑賞者として参加したと思っていたらパフォーマーとしてがっつり組み込まれていたという仕掛け。スピーカーから聞こえてきた、空を見上げる群衆、妻が差し出す手も全て自分達の身振り(自発的なものではなくVRに促される形で)だったのだ、と気付かされる。VRで自由に身体を拡張できる、現実では叶わない夢を見ることができると同時に、実はそのツールにとらわれ、逆に自分たちの自由を狭めているのでは。内容を知った上で体験してもかなりヘビーだった。

フェミニズム展はかなりゆるふわでした。

リカちゃん電話とテレクラを掛け合わせた西山美なコさんの作品が面白かった。当時は本当にテレクラ風の電話番号が書かれたティッシュを配って、電話をかけると、リカちゃんならぬエリカちゃんに繋がったらしい。性風俗とガールズカルチャーという本来正反対なもの同士のはずが”可愛い女の子像”で接続されるってちょっとぞっとするよね。

アウフヘーベンの牢獄」@トリフィート金沢

20時から『アウフヘーベンの牢獄』を予約してしまっていたので、急ぎバスでホテルへ。鼓門は夜も美しい。

ホテルは駅近のトリフィート金沢。コンパクトながら綺麗なお部屋でした。

torifito.jp

アウフヘーベンの感想はこちら。

kotobanomado.hatenablog.com

夜ごはんはUber Eatsで注文した縁もゆかりも無い熊本ラーメンをゴンチャのピスタチオドリンクと共に。

大浴場が付いていたのがこのホテルの決め手だったのに、TVで混雑状況を確認するとアウフヘーベン中に混雑になったっきり24時近くまでずっとそのままだったので、諦めてお部屋のお風呂に入って、就寝。

盛りだくさんの1日目、終了!

 

2日目はこちら。

kotobanomado.hatenablog.com